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ある日のはるなな(城崎遥陽×七瀬葵)
ゼロ距離フレンド 最終話
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遥陽side
新しい学校。新しい顔ぶれ。新しい環境。
1週間もすれば、女子からラブレターや呼び出しが始まって。
昔なら無視していたけど、今は違う。
心の穴を埋めるように、俺は手当り次第付き合った。
適当に遊んで、適当に生きて。
なんの刺激もなくて、死んだような毎日が過ぎていった。
あっという間に月日が流れていく。
そして、高2になった時、瑠衣くんに出会った。
「あの、君!名前、なんていうんですか!?」そう声をかけられ、アイドルにならないかと持ちかけられた。
なにか刺激を求めていた俺。
やってみてもいいな、と思えた。
「まぁ…別にいいけど」
「え!?ほんとに!?ありがとう~!今日はすごい日だ!1日で2人もスターを見つけちゃったよ!あの子には感謝しないとなぁ」
「あの子?」
「君のこと教えてくれたんだ!七瀬葵くんって言うんだけど!」
「は…っ???」
ななちゃん?
「城崎遥陽ってスゴいかっこいい人がいるって教えてくれたんだよ!いや~すぐに分かったよ!ほんとにかっこ良かった!想像以上だった!」
「………………あの、やっぱ俺パスで」
「え!!!?どうして?!」
「すいません」
びっくりする瑠衣くんを振り切って、家に入った。
心臓がドキドキする。
ななちゃんが俺の名前を口に出した。
それだけで、舞い上がっていく感情。
「ななちゃん………」
1年ぶりにその名を口に出すと、閉じ込めていた気持ちがどんどん溢れてくる。
「…ななちゃん、ななちゃん、ななちゃん。」
あぁ。ダメだ。もう我慢できない。会いたい。会いたい。
外へ出ると瑠衣くんはもういなかった。
俺はななちゃんの家へ向かった。
30分、1時間、1時間半……
無心でななちゃんの家の前で立ちつくす。
そして、もう夕日も沈みあたりも暗くなってきたころ…
「はる…ひ?」
不意に懐かしい声が聞こえた。
「な、なちゃん…」
「遥陽!」
気づくと同時に、ななちゃんの体は俺の腕の中にあった。
「遥陽っ…!久しぶり…!」
そういう声は震えてて。
抱きしめると、1年前とは少し変化があって。
背が少し伸びたね。体格も良くなった。
髪型も前とは違うんだね。声も大人っぽく感じる。
でも、匂いは変わらない。お日様のような体温も。
あぁ…。やっぱり。この温もりがないと俺は。
「ななちゃん…会いたかった」
「俺も…っ、会いたかった!」
ここが外だということも気にせずに、きつく抱きしめる。
何分経ったか分からない。
会わなかったこの1年の空白を埋めるように、お互いの温度を交換した。
「ななちゃん、俺、やっぱりななちゃんいないとダメだ」
素直な思いを口にした。
「遥陽…っ。寂しかった!俺、ごめんね…遥陽の気持ち…分かってなくて…」
「ななちゃん。」
頬に手を添え、上を向かせる。
「俺さ、ななちゃんとただの幼なじみに戻りたくて来たんじゃないんだ」
そう言って、ななちゃんに触れるだけのキスをした。
「…………………っ」
みるみるうちにななちゃんの顔が赤くなっていく。
「ごめん、俺、こういう意味でななちゃんの事を好きって気づいたの」
「えっ、え…と、それは、つまり…」
「ななちゃん、今の嫌だった?」
ななちゃんは戸惑いつつも「ううん」と首を横に振った。
じっと目を見据える。
「じゃあ…ゆっくりでいいから俺の事、受け入れてくれる?」
「待って。遥陽…俺ね、俺もハッキリ言っておきたいことがある。」
「なに?」
ななちゃんが俺の目をじっと見つめる。
「あのね…離れてみてわかったんだ…。遥陽は俺にお世話されてる、なんて言ってたけど…実際は、俺の方が…遥陽に依存してたんだってこと。ずっと寂しかった。遥陽がそばにいないとなにかいつも不安だった。誰といても一人ぼっちな気がして。遥陽を突き放すようなことを言っといて、いざ離れられるとどうしようもなく怖くなっちゃった」
「ななちゃん……」
「思い知ったの。あぁ、俺、遥陽がいないと全然ダメなんだなぁって。」
結衣ちゃんにも、「七瀬くんっていつもほかの何かを考えてるよね。それがなにか、言わなくても分かってるでしょ?」なんて言われてさ。
結局フラれたしね。と、眉を下げて困ったように笑う。
「もう、あんなに辛い思いはしたくない…。なにかが足りなくて、毎日が退屈だった。どんな形であれ…俺は遥陽のそばにいたい。だから、俺のお願い。幼なじみでも…親友でも…恋人でも…遥陽の望む形でいいから…俺を…遥陽のそばにいさせて…っ」
「---っ!!」
言葉が終わるか終わらないか、待てずにななちゃんを抱きしめる。
「ななちゃん、ななちゃん…!」
自分が夢にまで見た言葉を、自分の大切な人が言ってくれた。現実に。
言い表せないエクスタシーを感じる。
あぁ……頭がマヒしそう…。
もう戻れない。
間違っていたとしても、普通じゃないとしても。
どんな世界がこれから待っていようとも。
これが俺たちの正解。
「部屋、行こ?」
そう言うと、ななちゃんはコクンと頷いた。
俺らの間にもう距離はない。
新しい学校。新しい顔ぶれ。新しい環境。
1週間もすれば、女子からラブレターや呼び出しが始まって。
昔なら無視していたけど、今は違う。
心の穴を埋めるように、俺は手当り次第付き合った。
適当に遊んで、適当に生きて。
なんの刺激もなくて、死んだような毎日が過ぎていった。
あっという間に月日が流れていく。
そして、高2になった時、瑠衣くんに出会った。
「あの、君!名前、なんていうんですか!?」そう声をかけられ、アイドルにならないかと持ちかけられた。
なにか刺激を求めていた俺。
やってみてもいいな、と思えた。
「まぁ…別にいいけど」
「え!?ほんとに!?ありがとう~!今日はすごい日だ!1日で2人もスターを見つけちゃったよ!あの子には感謝しないとなぁ」
「あの子?」
「君のこと教えてくれたんだ!七瀬葵くんって言うんだけど!」
「は…っ???」
ななちゃん?
「城崎遥陽ってスゴいかっこいい人がいるって教えてくれたんだよ!いや~すぐに分かったよ!ほんとにかっこ良かった!想像以上だった!」
「………………あの、やっぱ俺パスで」
「え!!!?どうして?!」
「すいません」
びっくりする瑠衣くんを振り切って、家に入った。
心臓がドキドキする。
ななちゃんが俺の名前を口に出した。
それだけで、舞い上がっていく感情。
「ななちゃん………」
1年ぶりにその名を口に出すと、閉じ込めていた気持ちがどんどん溢れてくる。
「…ななちゃん、ななちゃん、ななちゃん。」
あぁ。ダメだ。もう我慢できない。会いたい。会いたい。
外へ出ると瑠衣くんはもういなかった。
俺はななちゃんの家へ向かった。
30分、1時間、1時間半……
無心でななちゃんの家の前で立ちつくす。
そして、もう夕日も沈みあたりも暗くなってきたころ…
「はる…ひ?」
不意に懐かしい声が聞こえた。
「な、なちゃん…」
「遥陽!」
気づくと同時に、ななちゃんの体は俺の腕の中にあった。
「遥陽っ…!久しぶり…!」
そういう声は震えてて。
抱きしめると、1年前とは少し変化があって。
背が少し伸びたね。体格も良くなった。
髪型も前とは違うんだね。声も大人っぽく感じる。
でも、匂いは変わらない。お日様のような体温も。
あぁ…。やっぱり。この温もりがないと俺は。
「ななちゃん…会いたかった」
「俺も…っ、会いたかった!」
ここが外だということも気にせずに、きつく抱きしめる。
何分経ったか分からない。
会わなかったこの1年の空白を埋めるように、お互いの温度を交換した。
「ななちゃん、俺、やっぱりななちゃんいないとダメだ」
素直な思いを口にした。
「遥陽…っ。寂しかった!俺、ごめんね…遥陽の気持ち…分かってなくて…」
「ななちゃん。」
頬に手を添え、上を向かせる。
「俺さ、ななちゃんとただの幼なじみに戻りたくて来たんじゃないんだ」
そう言って、ななちゃんに触れるだけのキスをした。
「…………………っ」
みるみるうちにななちゃんの顔が赤くなっていく。
「ごめん、俺、こういう意味でななちゃんの事を好きって気づいたの」
「えっ、え…と、それは、つまり…」
「ななちゃん、今の嫌だった?」
ななちゃんは戸惑いつつも「ううん」と首を横に振った。
じっと目を見据える。
「じゃあ…ゆっくりでいいから俺の事、受け入れてくれる?」
「待って。遥陽…俺ね、俺もハッキリ言っておきたいことがある。」
「なに?」
ななちゃんが俺の目をじっと見つめる。
「あのね…離れてみてわかったんだ…。遥陽は俺にお世話されてる、なんて言ってたけど…実際は、俺の方が…遥陽に依存してたんだってこと。ずっと寂しかった。遥陽がそばにいないとなにかいつも不安だった。誰といても一人ぼっちな気がして。遥陽を突き放すようなことを言っといて、いざ離れられるとどうしようもなく怖くなっちゃった」
「ななちゃん……」
「思い知ったの。あぁ、俺、遥陽がいないと全然ダメなんだなぁって。」
結衣ちゃんにも、「七瀬くんっていつもほかの何かを考えてるよね。それがなにか、言わなくても分かってるでしょ?」なんて言われてさ。
結局フラれたしね。と、眉を下げて困ったように笑う。
「もう、あんなに辛い思いはしたくない…。なにかが足りなくて、毎日が退屈だった。どんな形であれ…俺は遥陽のそばにいたい。だから、俺のお願い。幼なじみでも…親友でも…恋人でも…遥陽の望む形でいいから…俺を…遥陽のそばにいさせて…っ」
「---っ!!」
言葉が終わるか終わらないか、待てずにななちゃんを抱きしめる。
「ななちゃん、ななちゃん…!」
自分が夢にまで見た言葉を、自分の大切な人が言ってくれた。現実に。
言い表せないエクスタシーを感じる。
あぁ……頭がマヒしそう…。
もう戻れない。
間違っていたとしても、普通じゃないとしても。
どんな世界がこれから待っていようとも。
これが俺たちの正解。
「部屋、行こ?」
そう言うと、ななちゃんはコクンと頷いた。
俺らの間にもう距離はない。
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