上 下
10 / 36
ある日のれんりく(結城蓮×咲間凉空)

LOVE only for u 3

しおりを挟む
凉空side

今日はいよいよ最終話の撮影。

御門くんと一緒に仕事するのも最後かぁ~。

〝あいつのあの目、凉空に気があるじゃん〟
ふと思い出す蓮の言葉。

『ううん、そんなわけない!御門くんは演技でああいう感じにしたんだから…』
ブンブンと頭を振ってると、

「咲間くん、どうしたの?」
と御門くんがやってきた。

「なんでもないよぉ」
「そろそろ撮るって。行こう」
「うん!」




「咲間くん、御門くん今日でクランクアップです!ありがとうございました~!」

スタッフさんから花束をもらい、無事ドラマ撮影が終わった。

「いやー、視聴率も上々で2人の息もピッタリだったね!これからに期待してるよ!」
なんて監督から嬉しい言葉も貰って、達成感でいっぱい。

「打ち上げは銀座の~…」
スタッフさん達がお店を選んでくれている。

「咲間くん!」
「御門くん!お疲れ様っ!」
「咲間くん、ちょっと…いい?」
「ん、うん」

こっち、と手を引かれ人気のない所へ連れていかれた。

「咲間くん、俺、ずっと謝りたかったんだ。最初嫌味ばっかり言ってごめんね」

御門くんが頭を下げる。

「ううん、そんな気にしないで…!」

「俺…今回の仕事今まで一番楽しかった。咲間くんのおかげだよ。出来れば…これからも仲良くして欲しいな…なんて」
「御門くん…!」

なんて嬉しい申し出。

「俺も初めてのドラマ…緊張してたんだ…。でも、御門くんのおかげでとっても心強かったの。ありがとう!」
「咲間くん…!」

急にガバッ!と抱きしめられた。
「わわっ!」
勢いが強くて、後ろの壁に倒れる。

「み、御門くん…?」

あったかい…御門くんの胸の鼓動が聞こえてくる。
ギュウウ…と体の隙間が無くなるほど強い力。

えーと、嬉しいのハグ…だよね…?

「あ、ごめんね!急に抱きしめたりして…」
少し体が離れる。

「ううん!嬉しいとハグしたくなるよね!」
「えっ」
「俺も嬉しい!御門くんとこんなに仲良くなれるなんて!」

ギューッと抱きつき返した。

「……………………」
「御門くん?」

何も言わない御門くん。
顔を上げる。

『あ…………………』
俺を見ているギラリと光る御門くんの眼。

「咲間くんってさ…それ天然なの?」
グッと顎を掴まれた。

近づいてくる顔。

『あ……や、ば…………』

キスされる。

そう思った瞬間-----バタン!!!

誰かが後ろのドアを閉める音がして、パッと御門くんの手が離れた。

「「…………………」」

2人の間に流れる沈黙。
き、気まず…。

「咲間くん…」
「はいっ!」

急に呼ばれて、咄嗟に敬語になる。

「咲間くんさ、あんま可愛いのも気をつけた方がいいよ?」
「えっ?…わっ」
そう言って御門くんが俺のおでこにキスをした。

じゃ、俺先戻るねー。
手をヒラヒラして去る御門くん。

残された俺はヘナヘナとその場に座り込んだ。

『こ、腰抜けた……』

なに、今の?き、キキキキス……された???

『蓮の言ってたこと…正しかった…??』
 
うぅ~と恥ずかしさでパンクしそうな頭を抱えた。


御門side

やってしまった。

思わずおでこにキスをしてしまった。

柄にもなく、顔が赤くなる。

『なんであんな可愛すぎんだ、咲間くん』

この前のアドリブシーンの練習の時…
抱きしめた時のあのドキドキは間違いなく恋のそれだった。

男にときめくなんて。
信じられなかったし、認めたくなかったけどあのシーンが放送されて、咲間くんを見つめる自分を見て認めざるを得なかった。

『やばいな………』

もっと、咲間くんのこと知りたい…。




「「ドラマお疲れ様~!!!」」

カンパーイ!!!とみんなでグラスを掲げる。

隣にいる咲間くんのグラスにコンと軽く当てた。
「咲間くん、お疲れ様」
「う、うん。お疲れ様!」

さっきの事意識してるのか、ふいっと伏し目がちに話す咲間くん。

『なーんで、そこで顔赤くすんだって…。ほんとに無自覚なのか?』

赤く染る頬。恥ずかしそうに伏せる目。キュッと力の入る唇。…そして、時折見せる上目遣い。

どれもがあざとく、俺の下心を誘い込む。

『誘ったのは、そっちだから』
あいにく、俺はこういう飲みの場での立ち回りには慣れている。

そして俺はすぐに気づいた。
多分、咲間くんは酒強くない。

俺は、咲間くんにどんどん酒を進めた。


凉空side

飲んでも飲んでもすぐに追加されるお酒。

ハイペースで飲むみんなに合わせてると、気づいた時にはとっくにキャパオーバーしていた。

「咲間くん…大丈夫??」
「ん、……御門くぅん…」
「水、飲んで?ね?」
「ありがと……」
「あっ、零れてるよ!」

ガヤガヤとみんなが盛りあがる声が、ぼんやり聞こえる。

『帰らなきゃ……蓮に…怒られちゃう…』

そうは思っても、体は鉛のように重い。

「監督~!咲間くん、寝ちゃいそうなんで俺送ってきます!」
「お先失礼しますー!」

御門くんの声。

よいしょ。と担がれ、「ほら、歩ける?」と支えてくれた。

バタン。とタクシーに乗ると、その心地良さに睡魔が襲う。

そして、タクシーは走り出した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

とろとろ【R18短編集】

ちまこ。
BL
ねっとり、じっくりと。 とろとろにされてます。 喘ぎ声は可愛いめ。 乳首責め多めの作品集です。

僕が玩具になった理由

Me-ya
BL
🈲R指定🈯 「俺のペットにしてやるよ」 眞司は僕を見下ろしながらそう言った。 🈲R指定🔞 ※この作品はフィクションです。 実在の人物、団体等とは一切関係ありません。 ※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨 ので、ここで新しく書き直します…。 (他の場所でも、1カ所書いていますが…)

[R18] ヤンデレ彼氏のお仕置き

ねねこ
BL
優しいと思って付き合った彼氏が実はヤンデレで、お仕置きされています。

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。

白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。 最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。 (同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!) (勘違いだよな? そうに決まってる!) 気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

おねしょ癖のせいで恋人のお泊まりを避け続けて不信感持たれて喧嘩しちゃう話

こじらせた処女
BL
 網谷凛(あみやりん)には付き合って半年の恋人がいるにもかかわらず、一度もお泊まりをしたことがない。それは彼自身の悩み、おねしょをしてしまうことだった。  ある日の会社帰り、急な大雨で網谷の乗る電車が止まり、帰れなくなってしまう。どうしようかと悩んでいたところに、彼氏である市川由希(いちかわゆき)に鉢合わせる。泊まって行くことを強く勧められてしまい…?

無理やりお仕置きされちゃうsubの話(短編集)

みたらし団子
BL
Dom/subユニバース ★が多くなるほどえろ重視の作品になっていきます。 ぼちぼち更新

Innocent Noise

叶けい
BL
アイドルグループ『star.b』のメインボーカルを務める牧野碧生。気が強く皮肉屋な性格だが、伸びやかな優しい歌声の持ち主。恋愛経験ほぼナシにも関わらず、ラブソングの歌詞を書く事になり悩んでいた。 私立大学で中国語の非常勤講師をしている英亮。『star.b』のダンストレーナーを務める友人の松岡朝陽に頼まれ、『star.b』メンバーに中国語を教える事に。 アイドルに全く興味が無かった亮だが、透明感ある優しい碧生の歌声を聞き、心を動かされる。 一方の碧生も、クールな雰囲気のせいで近寄り難く感じていた亮の優しい一面を知り、段々と心を開いていく。 …知らない内に惹かれて、気づいたら笑顔になっていた。 些細な事で不安になって、嫉妬したり、すれ違ってしまったり…。 二人は少しずつ、恋する気持ちを知っていく。

処理中です...