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セレモニア王国編 第3章王都奪還
第72話 第3の幹部
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頭に何か柔らかい感触がある。
起きてすぐに俺が思ったことである。
「起きたのね、ケンイチ」
上の方からシェリーの声がした。そちらを見てみると、顔を赤くしながらこちらを見ているシェリーがいた。
「おはよう、シェリー」
「もう大丈夫なの?」
「ああ、ゆっくり休めたおかげで半分くらいは回復できた」
「それならいいんだけど」
「それよりも早く先へ進もう。次で最後の戦いだ」
俺は気配察知で城の中の気配を策って見た。反応する気配は後一つ。奥の部屋にいる魔族の物のみであった。
「でも、もう少し休んだ方がいいんじゃない」
「大丈夫だよ。それにヒョウカ達はもう救出を成功させたみたいだし。俺達も負けてられないだろ」
城の中エメル戦前にあった地下の人達の気配がなくなっていた。多分ヒョウカ達が救出したんだろう思った。
「そうね。私達も頑張らないとね」
シェリーも気合いを入れた声で言う。
俺は立ち上がると、まず城全体に闇魔法封じを付与した結界を張り直した。王都全体に張っていた特性封じの結界よりも闇魔法封じを優先したのは、一番やっかいな『ディスペル』を封じるためである。それに、俺自身の魔力は半分も回復していない。せいぜい四分の一がいいところである。そのため張れる結界はこれ一つだけである。
「よし!! 行こう」
俺達は階段を上り二階へと上がった。
二階はいくつかの通路があったがどれも一本道でそのうちの一つが魔族のいる部屋につながっている。
「ケンイチ、どの通路なの?」
「こっちだ」
俺は、迷わずに真ん中の通路に指さした。
「行きましょう」
それだけ言い、歩き出した。通路は人が二人通れる位の広さで戦闘になればかなり戦いにくそうである。
「ここでの戦闘だけは避けたいわね」
シェリーは通路を見渡しながら言ってくる。
「そうだな。俺も出来ればここでは戦いたくないよ」
狭い場所での戦闘では、回避スペースがない。さすがにここではかなり不利になるだろう。
お互いにそんな事を考えていると、いつの間にか目的の部屋の前に着いていた。
「ごくり!!」
のどを鳴らす二人。
「開けるぞ」
「ええ」
ドアノブを回して扉を開けると、部屋の奥に魔族が一人座っている。
「やっと来たか。待ちくたびれたぞ」
奥にいる魔族は手に持っているグラスに口を付けながら話し掛けてくる。
俺はシェリーの前に立ち守るような体勢をとる。
「お前は一体何者だ!!」
「聞かなくても気づいておるのではないか。私が魔族幹部でこの王都クリモスを襲った最後の一人だと言うことを。それにセシルとエメルもそのメンバ-だと言うこともな」
そではないかと思っていた。だがしかし俺自身確信があった訳ではない。
ただ、王都にいる魔族の中で一番大きな気配を持っている三人の魔族。エレナ様の話しに出てきた最初にこの王都を襲った魔族。この二つが別々の存在名分けがないと考えていた。
「予想はしていたが本当にそうだとは思わなかったよ」
「やはりな。さすがは特殊魔法の使い手と言ったところか」
「やはりお前もそのことを知っているんだな」
「そりゃ知ってるさ。千年前の戦いで散々見てきたからな」
千年前? 確か勇者が魔王を倒した頃か。
「だが、お前はあの力は使えなようだな」
「何のことだ!!」
「知らないんならいいんだ」
こいつは何を言っているんだ? 魔族は特殊魔法の一つ、魔法反射しかしらないはずじゃないのか。
「お前は一体何を知っているんだ!!」
「ケンイチ少し落ち着きなさいよ」
後ろにいるシェリーが止めようとしてくるが、俺はそれを無視した。
「お前達は魔法反射しか知らないはずだろ」
「それはセシルとエメルだけだよ。あの二人はそれしか見てなかったからな」
「それならお前はこの魔法の何を知っているんだと言うんだ」
「そうだな……例えばお前がこの城を囲むように張っている結界魔法とかかな」
ドッキとした。それと同時に嫌な汗が出てくる。
「図星か。昔その魔法を使っている奴も同じ事をしていたからもしやと思ったが」
「それがどうした。お前にこの結界を消すことが出来るのか!!」
「無理だな。さっきから魔法を使おうとしているが発動せん。多分この結界には闇魔法封じが付与されているのだろ」
「もしそうだとしたらどうするだ」
「な~に、魔法を使えない位どうって事無い。お前達と戦うに丁度いいハンデだよ」
余裕そうに言ってくる。
「その余裕何処まで持つかな?」
「さてな」
そして、俺と最後の魔族幹部との戦闘が開始されるのだった。
起きてすぐに俺が思ったことである。
「起きたのね、ケンイチ」
上の方からシェリーの声がした。そちらを見てみると、顔を赤くしながらこちらを見ているシェリーがいた。
「おはよう、シェリー」
「もう大丈夫なの?」
「ああ、ゆっくり休めたおかげで半分くらいは回復できた」
「それならいいんだけど」
「それよりも早く先へ進もう。次で最後の戦いだ」
俺は気配察知で城の中の気配を策って見た。反応する気配は後一つ。奥の部屋にいる魔族の物のみであった。
「でも、もう少し休んだ方がいいんじゃない」
「大丈夫だよ。それにヒョウカ達はもう救出を成功させたみたいだし。俺達も負けてられないだろ」
城の中エメル戦前にあった地下の人達の気配がなくなっていた。多分ヒョウカ達が救出したんだろう思った。
「そうね。私達も頑張らないとね」
シェリーも気合いを入れた声で言う。
俺は立ち上がると、まず城全体に闇魔法封じを付与した結界を張り直した。王都全体に張っていた特性封じの結界よりも闇魔法封じを優先したのは、一番やっかいな『ディスペル』を封じるためである。それに、俺自身の魔力は半分も回復していない。せいぜい四分の一がいいところである。そのため張れる結界はこれ一つだけである。
「よし!! 行こう」
俺達は階段を上り二階へと上がった。
二階はいくつかの通路があったがどれも一本道でそのうちの一つが魔族のいる部屋につながっている。
「ケンイチ、どの通路なの?」
「こっちだ」
俺は、迷わずに真ん中の通路に指さした。
「行きましょう」
それだけ言い、歩き出した。通路は人が二人通れる位の広さで戦闘になればかなり戦いにくそうである。
「ここでの戦闘だけは避けたいわね」
シェリーは通路を見渡しながら言ってくる。
「そうだな。俺も出来ればここでは戦いたくないよ」
狭い場所での戦闘では、回避スペースがない。さすがにここではかなり不利になるだろう。
お互いにそんな事を考えていると、いつの間にか目的の部屋の前に着いていた。
「ごくり!!」
のどを鳴らす二人。
「開けるぞ」
「ええ」
ドアノブを回して扉を開けると、部屋の奥に魔族が一人座っている。
「やっと来たか。待ちくたびれたぞ」
奥にいる魔族は手に持っているグラスに口を付けながら話し掛けてくる。
俺はシェリーの前に立ち守るような体勢をとる。
「お前は一体何者だ!!」
「聞かなくても気づいておるのではないか。私が魔族幹部でこの王都クリモスを襲った最後の一人だと言うことを。それにセシルとエメルもそのメンバ-だと言うこともな」
そではないかと思っていた。だがしかし俺自身確信があった訳ではない。
ただ、王都にいる魔族の中で一番大きな気配を持っている三人の魔族。エレナ様の話しに出てきた最初にこの王都を襲った魔族。この二つが別々の存在名分けがないと考えていた。
「予想はしていたが本当にそうだとは思わなかったよ」
「やはりな。さすがは特殊魔法の使い手と言ったところか」
「やはりお前もそのことを知っているんだな」
「そりゃ知ってるさ。千年前の戦いで散々見てきたからな」
千年前? 確か勇者が魔王を倒した頃か。
「だが、お前はあの力は使えなようだな」
「何のことだ!!」
「知らないんならいいんだ」
こいつは何を言っているんだ? 魔族は特殊魔法の一つ、魔法反射しかしらないはずじゃないのか。
「お前は一体何を知っているんだ!!」
「ケンイチ少し落ち着きなさいよ」
後ろにいるシェリーが止めようとしてくるが、俺はそれを無視した。
「お前達は魔法反射しか知らないはずだろ」
「それはセシルとエメルだけだよ。あの二人はそれしか見てなかったからな」
「それならお前はこの魔法の何を知っているんだと言うんだ」
「そうだな……例えばお前がこの城を囲むように張っている結界魔法とかかな」
ドッキとした。それと同時に嫌な汗が出てくる。
「図星か。昔その魔法を使っている奴も同じ事をしていたからもしやと思ったが」
「それがどうした。お前にこの結界を消すことが出来るのか!!」
「無理だな。さっきから魔法を使おうとしているが発動せん。多分この結界には闇魔法封じが付与されているのだろ」
「もしそうだとしたらどうするだ」
「な~に、魔法を使えない位どうって事無い。お前達と戦うに丁度いいハンデだよ」
余裕そうに言ってくる。
「その余裕何処まで持つかな?」
「さてな」
そして、俺と最後の魔族幹部との戦闘が開始されるのだった。
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