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poppin' orange. 蓮多

06.

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「おー、蓮多、木瀬。おはよ」
「仲よく登校じゃん」「仲直りしたん? 良かったな」

学校に着くと、東と仁志、喜田と皆実らいつものメンバーが寄ってきて、木瀬と蓮多を囲んだ。

「うん。これからもよろしく」

それに木瀬は爽やかな笑みで返すが、

「べ、…っ、別に喧嘩してねえしっ! なんも変わってねえしっ!!」

蓮多は気が気ではない。
俺と木瀬が相思相愛だっていうオーラがばら撒かれているかもしれん。主にっ!! 木瀬が俺を『大』好きだというオーラが、…っ

と、辺りを警戒するが、

「そういえば、担任が木瀬のこと探してたよ」
「大会のことじゃん? 昨日マジカッコよかった」

「応援来てくれてありがとう。ちょっと行ってくる」

木瀬はさっさと席を立って行ってしまうし、

「クリスマスのさあ、彼氏のプレゼント何が良いと思う~?」
「皆実、ティファニーねだるんでしょ? それなりのもの返すか、いっそペアリングとか」

女子たちの意識は既に冬の一大イベントに飛んでいる。
というか、…

「…お前らススんでるな」
「え?」「どした、蓮多?」

ペアリングか。

そうか、世の中のカップルというのはデートやクリスマスやプレゼントを楽しむものだよな。俺は一体何を血迷ってローションに走ってしまったんだろう。

「クリスマスはカップルの祭典だよな」

木瀬は料理が上手いから、葉山に教えてもらってチキンとか焼いてケーキも焼いてポテトも揚げて、…シャンパンとか飲んだり、プレゼント交換したり、イルミネーション見に行ったり、…

え、なにそれ。めっちゃ楽しそう。
で、0時を過ぎて、もう帰らなきゃ門限ばばあの春日井凛都が木瀬を閉め出すとか言って、でもまだ帰りたくないって木瀬がごねて、仕方ないから俺んち泊まれよって俺が木瀬を、…

「わぁ―――っ、無理ぃいいい――――――っ!!」

自分の机に頭をバンバンぶつけて悶える蓮多に、

「なに蓮多、恋しちゃった、…?」「や、元からおかしいけどね、…?」

喜田と皆実はおかしさ半分、憐み半分の目を向けるのだった。
そしてその後の学校生活でも、蓮多のおかしさは加速していき、

「木瀬、問四の解答は」
「sin15°cos105°=√3/4-2/4」

どうしよう、木瀬が天才に見える。

「木瀬、パースっ」
「ナイスシュート!」

どうしよう、木瀬のシュートが神がかっている。

「蓮多、昼一緒に食お」
「お、…う」

どうしよう、木瀬が眩しくて食えねえ。

ようやく授業が終わり、放課後になって学校から解放された時には、蓮多は既に疲れ果てていた。

「俺らちょっと寄るとこあるから」
「おー、また明日な~」

もはや生ける屍と化している蓮多は木瀬に引きずられるようにして学校を後にし、

「今日の連多、いつにも増しておかしかったというか」「通常運転というか」
「木瀬くんに構ってもらって嬉しそうだったというか」「なんか幸せそうだったねっ」

友人たちには正確な評価を下されていた。
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