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poppin' orange. 蓮多
05.
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「おはよ、蓮多」
翌朝。
登校しようと家を出た蓮多の前に木瀬が立っていた。
「な、…っ!?」
朝日を浴びてキラキラと輝く木瀬。霞高制服のブレザーがクールな木瀬に死ぬほど似合っていて、長い足を際立たせている。
え。何こいつ、こんなカッコ良かったっけ???
蓮多は目をガン開いて瞬き、二度見したけど木瀬の格好良さに変化はなかった。
「…なんでいるんだ」
なんだか急速に緊張が込み上げ、声が上ずってしまった挙句に素っ気なくなってしまった。ちょっと待て、なんで俺が木瀬相手にこんな緊張しなくちゃならねんだ?
「一緒に学校行きたくて。ダメ?」
「ダ、…っ!!」
2.2ミリ背が高い木瀬が、つぶらな瞳で見下ろしてくる。
なんだ、この大型ワンコ。カッコいいと可愛いが渋滞しているっっ
「…メ、じゃない、…」
まともに木瀬を見れずにそっぽを向きながら蓮多がつぶやくと、木瀬が嬉しそう寄ってきて蓮多の肩を抱く。
「やった!」
や、…っ、やったとか可愛いこと言うんじゃね――――――っ
「あれ、蓮多、顔赤い? 具合悪い?」
「悪くねえよっ!!」
木瀬が近すぎて切れ気味に返してしまった。お前のせいでなんか俺はおかしくなってんだっての!
「俺と母さん、春日井家に戻ることになって、俺は今やっているバイトは辞めて、凛くんと春日井の関連会社で仕事することになった」
「あ、…そう」
予想通りの展開になって万々歳なのだが、木瀬の距離が近いし、なんかいい匂いがするし、横を向いたら顔に当たりそうだし、つまりうっかりキスしそうだし、心臓の動きがことごとくおかしい。
「だからちょっと時間に余裕が出来るから、帰りとかデートできるな」
ただでさえ近い木瀬が蓮多の耳に顔を寄せてこそっと囁きかけるから、
「デ、…っ!?」
耳に木瀬の吐息がかかって、なんか身体に妙な痺れが走って素っ頓狂な声を上げてしまった。
「何言ってんだっ、お前! 不謹慎だろっ」
「え、…」
「え、…?」
木瀬と顔を見合わせる。俺、今なに口走った?
「…ごめん。俺たち付き合ってんのかと思ってちょっと浮かれた」
見るからに木瀬がしょんぼりしてしまったので蓮多は慌てて、
「お、…おう。付き合ってる。付き合ってるよ! 俺はちゃんとローションも買った!!」
さりげなく何気なく、学校帰りかバイト帰りに『俺んち寄る?』と誘ってスマートにリードするはずだった予定を台無しにしてしまった。
「え、…」
「え、…?」
またしても木瀬と顔を見合わせる。木瀬が信じられないものを見るような目を向けてくるから、
「ちょっと待てっ! 今のなしっ!!」
木瀬の腕からすり抜けて逃走した。顔が燃えるように熱い。
無理。もう無理。
あんなキラキラ男子と付き合うとか、俺には無理かも。
思った以上に自分がポンコツで、自己嫌悪に陥る蓮多は、
「待って、蓮多!」
あっという間に木瀬の長い腕に捕らえられた。
「だからなんでお前はすぐに追いつくんだよっ!?」
納得いかない。0.3ミリ足が長いからってこうも簡単に捕まえられるとか、星丸蓮多の沽券に関わるっ
「…俺のがお前が好きだから?」
なのに木瀬はちょっと困ったように笑って、後ろから連多を抱きすくめてきた。
心臓が飛び出しそうにバクバクして、顔が破裂しそうに熱くて、やることなすことおかしくなってしまうのに、木瀬の腕の中は心地いい。
「今日帰りにデートして、お前んち行ってもいい?」
なんで木瀬の声はこんな艶っぽいんだ。
後ろから囁きかけられただけで下半身が熱くなる。やっぱり俺はおかしいのかもしれない。
蓮多はうなじまで赤らめて、壊れた玩具みたいにこくこく頷くことしか出来ず、
「…無理。お前可愛すぎる」
そのうなじに木瀬の唇を感じて全身がっちんがっちんに固まってしまった。
くそ、…こんなのやっぱ、俺の負けじゃねえか。
悔しいのに、嬉しい。
苦しいのに、愛しい。
本格的に、俺はおかしい。
翌朝。
登校しようと家を出た蓮多の前に木瀬が立っていた。
「な、…っ!?」
朝日を浴びてキラキラと輝く木瀬。霞高制服のブレザーがクールな木瀬に死ぬほど似合っていて、長い足を際立たせている。
え。何こいつ、こんなカッコ良かったっけ???
蓮多は目をガン開いて瞬き、二度見したけど木瀬の格好良さに変化はなかった。
「…なんでいるんだ」
なんだか急速に緊張が込み上げ、声が上ずってしまった挙句に素っ気なくなってしまった。ちょっと待て、なんで俺が木瀬相手にこんな緊張しなくちゃならねんだ?
「一緒に学校行きたくて。ダメ?」
「ダ、…っ!!」
2.2ミリ背が高い木瀬が、つぶらな瞳で見下ろしてくる。
なんだ、この大型ワンコ。カッコいいと可愛いが渋滞しているっっ
「…メ、じゃない、…」
まともに木瀬を見れずにそっぽを向きながら蓮多がつぶやくと、木瀬が嬉しそう寄ってきて蓮多の肩を抱く。
「やった!」
や、…っ、やったとか可愛いこと言うんじゃね――――――っ
「あれ、蓮多、顔赤い? 具合悪い?」
「悪くねえよっ!!」
木瀬が近すぎて切れ気味に返してしまった。お前のせいでなんか俺はおかしくなってんだっての!
「俺と母さん、春日井家に戻ることになって、俺は今やっているバイトは辞めて、凛くんと春日井の関連会社で仕事することになった」
「あ、…そう」
予想通りの展開になって万々歳なのだが、木瀬の距離が近いし、なんかいい匂いがするし、横を向いたら顔に当たりそうだし、つまりうっかりキスしそうだし、心臓の動きがことごとくおかしい。
「だからちょっと時間に余裕が出来るから、帰りとかデートできるな」
ただでさえ近い木瀬が蓮多の耳に顔を寄せてこそっと囁きかけるから、
「デ、…っ!?」
耳に木瀬の吐息がかかって、なんか身体に妙な痺れが走って素っ頓狂な声を上げてしまった。
「何言ってんだっ、お前! 不謹慎だろっ」
「え、…」
「え、…?」
木瀬と顔を見合わせる。俺、今なに口走った?
「…ごめん。俺たち付き合ってんのかと思ってちょっと浮かれた」
見るからに木瀬がしょんぼりしてしまったので蓮多は慌てて、
「お、…おう。付き合ってる。付き合ってるよ! 俺はちゃんとローションも買った!!」
さりげなく何気なく、学校帰りかバイト帰りに『俺んち寄る?』と誘ってスマートにリードするはずだった予定を台無しにしてしまった。
「え、…」
「え、…?」
またしても木瀬と顔を見合わせる。木瀬が信じられないものを見るような目を向けてくるから、
「ちょっと待てっ! 今のなしっ!!」
木瀬の腕からすり抜けて逃走した。顔が燃えるように熱い。
無理。もう無理。
あんなキラキラ男子と付き合うとか、俺には無理かも。
思った以上に自分がポンコツで、自己嫌悪に陥る蓮多は、
「待って、蓮多!」
あっという間に木瀬の長い腕に捕らえられた。
「だからなんでお前はすぐに追いつくんだよっ!?」
納得いかない。0.3ミリ足が長いからってこうも簡単に捕まえられるとか、星丸蓮多の沽券に関わるっ
「…俺のがお前が好きだから?」
なのに木瀬はちょっと困ったように笑って、後ろから連多を抱きすくめてきた。
心臓が飛び出しそうにバクバクして、顔が破裂しそうに熱くて、やることなすことおかしくなってしまうのに、木瀬の腕の中は心地いい。
「今日帰りにデートして、お前んち行ってもいい?」
なんで木瀬の声はこんな艶っぽいんだ。
後ろから囁きかけられただけで下半身が熱くなる。やっぱり俺はおかしいのかもしれない。
蓮多はうなじまで赤らめて、壊れた玩具みたいにこくこく頷くことしか出来ず、
「…無理。お前可愛すぎる」
そのうなじに木瀬の唇を感じて全身がっちんがっちんに固まってしまった。
くそ、…こんなのやっぱ、俺の負けじゃねえか。
悔しいのに、嬉しい。
苦しいのに、愛しい。
本格的に、俺はおかしい。
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