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2章.なりそこねた少女は水龍王に愛でられる
09.愛でられた少女は王妃に
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炎の猛攻軍を誇る大国トルギラムに攻め入られ、都を焼かれて降伏直前にあったディアマナス国は、突如降り注いだ雨に加勢され、覇気と希望を取り戻した。更に、50年前から行方が分からなくなっていた先代の第二王子レオン・ディアベルトが、不思議なことに当時の姿のまま城に戻ってきたことで、神の加護を信じた国王と王侯貴族、軍と民が一丸となって城を守り敵軍に立ち向かった。度重なる雨に自慢の炎軍備を台無しにされ、しつこく立ちはだかるディアマナス軍に打つ手を失くしたトルギラムは、撤退を余儀なくされ、ここに隣国トルギラムによるディアマナス国の侵略は終了した。
「レオン、お前が戻って来てくれて信じられないくらい嬉しい」
ディアマナス国の現王ヘンリー・ディアベルトは、50年ぶりの実弟レオンとの再会を心の底から喜んだ。レオンは昔から自由奔放であったが、民意に聡く、発想が柔軟で人の心を掴む。先代が亡くなり、四角四面に長老諸侯たちの言う通りに治世してきた自分は、知らぬ間に圧制を強いて人民を苦しめ、国を細らせ、敵国の侵入を許してしまった。
「レオン、お前に王位を譲りたい。私はお前の後ろ盾となる。私は裏方の方が性に合っているんだ」
ヘンリーは50年前と変わらない若く凛々しいレオンを見つめた。レオンは未来の可能性に満ちている。
「俺の願いは生涯をココリーネと共に過ごすこと。それが叶うなら」
「勿論。彼女は救いの女神だ」
レオンは、雨を呼ぶ娘を連れていた。ひどく美しく雨上がりの空のように澄んだ目をしている。レオンは神の国に赴き、女神を連れて戻ったのではないか。
国民は新王と王妃の誕生に歓喜した。祝福は国を焼かれた痛みから立ち上がる活力になった。
炎に焦がされた大地には、地下深くまで沁み渡った雨が新芽を呼び、ゆっくりと甦っていく。復興に時間はかかるが、王も貴族も平民も手を携えて励まし合い、力を出し合う。労働は、日々の喜びにもなった。
こうして新生ディアマナス王国は、希望の再生を遂げていった。
「ココ、舌出して」
レオンがわざと音を立ててココリーネに口づける。髪に額に、瞼に鼻に。頬を撫で、耳を撫でて、唇を合わせる。王子の唇は甘く柔らかく、心地よくて体温が上げる。自然と吐息みたいな声が漏れる。
「俺、お前の声すごく好き」
レオンが受け取った吐息で笑いながら舌を差し入れる。レオンの舌は奔放で巧妙で頭も身体も一気に溶け落ちる。
「あいつ、…見てたら妬くかな」
何か。レオンがボソリと呟いて、頭の回らないココリーネが蕩け切った瞳を開けると、
ふいに水が落ちてきた。
驚きのあまり固まるココリーネの前で、頭からびしょ濡れになったレオンが毒づく。
「…んだよ! お前だって散々見せつけてただろ。俺がしゃべれないのをいいことにっ」
この水。今どこから出てきた? 自分が降らせたんじゃないとしたら、…
「ま、いいか。どうせ濡れるし」
水滴に彩られたレオンは妙に艶っぽく、触れる肌は少し冷んやりしているのに、中は熱い。ぞくぞくするような快感にあっという間に落とされた。
「レオン、お前が戻って来てくれて信じられないくらい嬉しい」
ディアマナス国の現王ヘンリー・ディアベルトは、50年ぶりの実弟レオンとの再会を心の底から喜んだ。レオンは昔から自由奔放であったが、民意に聡く、発想が柔軟で人の心を掴む。先代が亡くなり、四角四面に長老諸侯たちの言う通りに治世してきた自分は、知らぬ間に圧制を強いて人民を苦しめ、国を細らせ、敵国の侵入を許してしまった。
「レオン、お前に王位を譲りたい。私はお前の後ろ盾となる。私は裏方の方が性に合っているんだ」
ヘンリーは50年前と変わらない若く凛々しいレオンを見つめた。レオンは未来の可能性に満ちている。
「俺の願いは生涯をココリーネと共に過ごすこと。それが叶うなら」
「勿論。彼女は救いの女神だ」
レオンは、雨を呼ぶ娘を連れていた。ひどく美しく雨上がりの空のように澄んだ目をしている。レオンは神の国に赴き、女神を連れて戻ったのではないか。
国民は新王と王妃の誕生に歓喜した。祝福は国を焼かれた痛みから立ち上がる活力になった。
炎に焦がされた大地には、地下深くまで沁み渡った雨が新芽を呼び、ゆっくりと甦っていく。復興に時間はかかるが、王も貴族も平民も手を携えて励まし合い、力を出し合う。労働は、日々の喜びにもなった。
こうして新生ディアマナス王国は、希望の再生を遂げていった。
「ココ、舌出して」
レオンがわざと音を立ててココリーネに口づける。髪に額に、瞼に鼻に。頬を撫で、耳を撫でて、唇を合わせる。王子の唇は甘く柔らかく、心地よくて体温が上げる。自然と吐息みたいな声が漏れる。
「俺、お前の声すごく好き」
レオンが受け取った吐息で笑いながら舌を差し入れる。レオンの舌は奔放で巧妙で頭も身体も一気に溶け落ちる。
「あいつ、…見てたら妬くかな」
何か。レオンがボソリと呟いて、頭の回らないココリーネが蕩け切った瞳を開けると、
ふいに水が落ちてきた。
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「…んだよ! お前だって散々見せつけてただろ。俺がしゃべれないのをいいことにっ」
この水。今どこから出てきた? 自分が降らせたんじゃないとしたら、…
「ま、いいか。どうせ濡れるし」
水滴に彩られたレオンは妙に艶っぽく、触れる肌は少し冷んやりしているのに、中は熱い。ぞくぞくするような快感にあっという間に落とされた。
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