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Ⅵ章.赤色のスキル【攻撃】
02.四元素【火】炎の荒野を克服せよ
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「おう。おれぁ、メガロドンのメガ。【攻撃】の番人ぞ」
メガロドンのスペシャル技に感服し、言葉を失っているルオと赤目ルオにメガロドンのメガが話し始めた。話すたびに大きな口が開き、鋭くとがった歯がのぞく。側面にはのこぎりみたいなギザギザが付いていて、一つの歯がルオの両手ぐらいの大きさだ。
「龍神の申し子ルオ。ようやく【攻撃】まで来たか。ちっと遅いような気もするが、まあ致し方ない。いいかルオ坊、【攻撃】を手に入れるためには、四元素、いわゆる火・水・風・土の四つの試練をクリアしなきゃならん。まずは火だ。迫りくる炎を己のものとした後、攻撃に転じるんだ」
…ルオ坊。
【攻撃】の番人はいわゆるべらんめえ調で一気にしゃべった。
つまり、今目の前でメガロドンがやってみせたようなことが出来なければならないということだ。
炎を飲み込んで吐き出す。いやいや。無理でしょ。
ルオは即座にあきらめたが、赤目ルオは嬉しそうに飛びついた。
「OK.OK! オレ、炎の中を潜り抜けるとか一遍やってみたかったんだよなー。さっそくいっくぜーっ」
赤目ルオは自らの周りに張った結界をあっという間に取り消すと、四方から襲い掛かる火の玉に突っ込んでいく。
ちょっとちょっと、赤目のオレ! 無鉄砲すぎるでしょ。
ハラハラするルオを尻目に、炎を盛大に浴びた赤目ルオはあっさり黒焦げと化した。
もお、だから言ったのに。
「痛ってーな、ちくしょう」
赤目ルオが起き上がり、せっせと自分に【回復】を施した。同じく黒焦げの衝撃を味わったルオ本体も【回復】しなければならない。
こっちはダメージだけは大きく受けるんだから、もうちょっと慎重にさ、…
赤目ルオに語り掛けるが、彼は全く耳を貸さず、
「もう一度、いっくぜ――――っ」
無防備なまま火の玉に突進する。再びただただ焼け焦がされる。
オレってこんな考えなしに突っ込む一面があったんだな。
何度も何度も焼かれては回復し、焼かれては回復することを繰り返すと、ルオには疲労と痛手だけが蓄積されていった。こんなアホみたいに突進して、炎を己のものになんてできるんだろうか、…
ルオはだんだんうんざりしてきたが、赤目ルオはまったくひるまない。
何度も炎に焼かれるうちに、焼かれ方のコツを体得してきた。
炎の向き、熱の伝わり方、燃え盛る周囲にあるものの勢い。そういったものを身体で感じ取り、炎に包まれる前に避けたり、止まったり、障害物を越えたりしていく。赤目ルオは荒野に広がる西部の街を炎に焼かれながら駆け抜けていく。崩れ落ちる天井や壁。落ちてくる柱、抜ける床。熱風。煙。次々に飛んでくる火の玉の爆撃。何度も炎に包まれ、焼かれながら、ルオは炎の行く先を「読んで」いた。
「こっちだ、炎。オレに従え!」
ついに、赤目ルオは業火の中で龍剣を抜き、炎に切りかかった。
すると、燃え盛る炎が龍剣の中に吸い込まれていくではないか。ルオは驚きに目を見張った。
「はあ、はあ、……や、…やったか、…?」
肩で息をする赤目ルオが捧げ持っている龍剣は、燃えるように熱い。その熱さはルオ本体にも伝わってくる。
すごいな、赤目。ついに炎を己のものとした。
「やったピピ、赤目ルオ。それじゃあ吸収した炎を使って熱を制御し、感情で増幅させるピッピ」
と、思う間もなく、龍剣から声が聞こえた。誰、…?
ルオが目を凝らすと、龍剣の中から人差し指サイズの精霊が飛び出してきた。蝶々くらいの大きさで、赤い羽根をひらひらさせ、つり気味の目をかっと見開いている。戸惑うルオの周りをひらひら舞い、赤い鱗粉のような精霊の粉を振りまいた。
「アタシ、ピッピ。炎の精霊。四元素にはそれぞれ守護精霊が宿っているピピ。そもそも森羅万象この世のありとあらゆるものには精霊がいるピピけどね」
なんか、変なのでてきた――――っ
メガロドンのスペシャル技に感服し、言葉を失っているルオと赤目ルオにメガロドンのメガが話し始めた。話すたびに大きな口が開き、鋭くとがった歯がのぞく。側面にはのこぎりみたいなギザギザが付いていて、一つの歯がルオの両手ぐらいの大きさだ。
「龍神の申し子ルオ。ようやく【攻撃】まで来たか。ちっと遅いような気もするが、まあ致し方ない。いいかルオ坊、【攻撃】を手に入れるためには、四元素、いわゆる火・水・風・土の四つの試練をクリアしなきゃならん。まずは火だ。迫りくる炎を己のものとした後、攻撃に転じるんだ」
…ルオ坊。
【攻撃】の番人はいわゆるべらんめえ調で一気にしゃべった。
つまり、今目の前でメガロドンがやってみせたようなことが出来なければならないということだ。
炎を飲み込んで吐き出す。いやいや。無理でしょ。
ルオは即座にあきらめたが、赤目ルオは嬉しそうに飛びついた。
「OK.OK! オレ、炎の中を潜り抜けるとか一遍やってみたかったんだよなー。さっそくいっくぜーっ」
赤目ルオは自らの周りに張った結界をあっという間に取り消すと、四方から襲い掛かる火の玉に突っ込んでいく。
ちょっとちょっと、赤目のオレ! 無鉄砲すぎるでしょ。
ハラハラするルオを尻目に、炎を盛大に浴びた赤目ルオはあっさり黒焦げと化した。
もお、だから言ったのに。
「痛ってーな、ちくしょう」
赤目ルオが起き上がり、せっせと自分に【回復】を施した。同じく黒焦げの衝撃を味わったルオ本体も【回復】しなければならない。
こっちはダメージだけは大きく受けるんだから、もうちょっと慎重にさ、…
赤目ルオに語り掛けるが、彼は全く耳を貸さず、
「もう一度、いっくぜ――――っ」
無防備なまま火の玉に突進する。再びただただ焼け焦がされる。
オレってこんな考えなしに突っ込む一面があったんだな。
何度も何度も焼かれては回復し、焼かれては回復することを繰り返すと、ルオには疲労と痛手だけが蓄積されていった。こんなアホみたいに突進して、炎を己のものになんてできるんだろうか、…
ルオはだんだんうんざりしてきたが、赤目ルオはまったくひるまない。
何度も炎に焼かれるうちに、焼かれ方のコツを体得してきた。
炎の向き、熱の伝わり方、燃え盛る周囲にあるものの勢い。そういったものを身体で感じ取り、炎に包まれる前に避けたり、止まったり、障害物を越えたりしていく。赤目ルオは荒野に広がる西部の街を炎に焼かれながら駆け抜けていく。崩れ落ちる天井や壁。落ちてくる柱、抜ける床。熱風。煙。次々に飛んでくる火の玉の爆撃。何度も炎に包まれ、焼かれながら、ルオは炎の行く先を「読んで」いた。
「こっちだ、炎。オレに従え!」
ついに、赤目ルオは業火の中で龍剣を抜き、炎に切りかかった。
すると、燃え盛る炎が龍剣の中に吸い込まれていくではないか。ルオは驚きに目を見張った。
「はあ、はあ、……や、…やったか、…?」
肩で息をする赤目ルオが捧げ持っている龍剣は、燃えるように熱い。その熱さはルオ本体にも伝わってくる。
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「アタシ、ピッピ。炎の精霊。四元素にはそれぞれ守護精霊が宿っているピピ。そもそも森羅万象この世のありとあらゆるものには精霊がいるピピけどね」
なんか、変なのでてきた――――っ
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