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Ⅴ章.橙色のスキル【複製】
09.雲の居城 玉座の間
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今度こそ、先に進めると思ったのに。
本物のドランと行ったらケツァルコアトルスに会えるんじゃないの―――?
…腑に落ちない。
「チュチュ―――?」
チューリッピも訝しげに首を傾げている。
「ねえドラン、どういうこと? どのドランが本物なの? ていうか、オレ三人全員と一緒に行ってみたんだけど?」
わけが分からずドランに尋ねてみると、
「俺が本物イエー」
「ボクに決まってるじゃん」
「恐れながら拙者一択でござる」
三人とも自分が本物だと言い張る。
本当にどういうことだろう? 何がどうなっているのか?
ルオの頭の中にはてなマークがぐるぐる回る。ダンスバトルの余韻で未だに自分も回っているような気になってくる。
うーん。まわる、まわる、…
考えこむルオの脳裏に、【回復】の番人シロナガスクジラのスーガの声が蘇った。
まわるまわるぐるぐるまわる、…ーーーー
『答えは一つではない。物事には様々な側面がある。幻影に惑わされず、己を信じて進め』
答えは一つじゃない?
様々な側面がある?
ルオの頭に何かが閃いた。解答がすぐそこまで出かかっている。
様々な側面、…
この三人は、ドランの異なる側面なんじゃないだろうか。
ドランは陽気だけど不安に泣きたくなる時もあるし、呑気だけどいろいろなことを知っている。
てことは。つまり、…
三者三様のドランを順に見比べ、叫んだ。
「分かった! みんな本物なんだ! だからさ、誰か一人を選ぶんじゃなくて、三人みんなと一緒に行けばいいんだ!」
「さすがルオ!」「やっぱり大好き!」「感服にござる」
三人のドランが一斉にルオに飛びついてきた。
「うわぁ」
その勢いに押され、ルオは後ろに転がり、尻もちをつく。でもしっかりと三人のドランを抱きしめた。
三者三様。でもみんな本当のドランなんだ。
ドランとまた会えて嬉しい。
そう思うルオの腕の中で、三人のドランが揺れて重なり合い一つに統合された。
「よお。待たせたな。行こうぜ、ルオ」
パリピで泣き虫で時代系なたった一人のドランがルオを見上げて笑っている。
「うん!」「チュー!」
ルオが頷くと、ドランとチューリッピが手と手を取り合った。
その時、大広間全体がグラグラと揺れ動いた。はずみでルオは、ドランとチューリッピを抱えたまま後方回転を繰り返す。オレ、後ろ回り絶対上手になったよな。
しょうもないことを考えていると、ルオの目の前で大広間が形を変え始めた。ルオが転がってぶつかった広間後方に巨大な扉が出現し、その扉が大きく開かれる。覗いてみると、その先に天井を突き抜けて上へ上へと続く螺旋階段が見えた。
「道が開けた。行くぞ、ケツァルコアトルスが呼んでいる!」
ドランの先導でルオとチューリッピは長い長い螺旋階段をくるくる回りながら進んでいった。どこまでも、永遠に続くかのように遥か上まで階段を登ると、……
「ケツァルコアトルス!」
【複製】の番人ケツァルコアトルスがいる玉座の間に続いていた。
本物のドランと行ったらケツァルコアトルスに会えるんじゃないの―――?
…腑に落ちない。
「チュチュ―――?」
チューリッピも訝しげに首を傾げている。
「ねえドラン、どういうこと? どのドランが本物なの? ていうか、オレ三人全員と一緒に行ってみたんだけど?」
わけが分からずドランに尋ねてみると、
「俺が本物イエー」
「ボクに決まってるじゃん」
「恐れながら拙者一択でござる」
三人とも自分が本物だと言い張る。
本当にどういうことだろう? 何がどうなっているのか?
ルオの頭の中にはてなマークがぐるぐる回る。ダンスバトルの余韻で未だに自分も回っているような気になってくる。
うーん。まわる、まわる、…
考えこむルオの脳裏に、【回復】の番人シロナガスクジラのスーガの声が蘇った。
まわるまわるぐるぐるまわる、…ーーーー
『答えは一つではない。物事には様々な側面がある。幻影に惑わされず、己を信じて進め』
答えは一つじゃない?
様々な側面がある?
ルオの頭に何かが閃いた。解答がすぐそこまで出かかっている。
様々な側面、…
この三人は、ドランの異なる側面なんじゃないだろうか。
ドランは陽気だけど不安に泣きたくなる時もあるし、呑気だけどいろいろなことを知っている。
てことは。つまり、…
三者三様のドランを順に見比べ、叫んだ。
「分かった! みんな本物なんだ! だからさ、誰か一人を選ぶんじゃなくて、三人みんなと一緒に行けばいいんだ!」
「さすがルオ!」「やっぱり大好き!」「感服にござる」
三人のドランが一斉にルオに飛びついてきた。
「うわぁ」
その勢いに押され、ルオは後ろに転がり、尻もちをつく。でもしっかりと三人のドランを抱きしめた。
三者三様。でもみんな本当のドランなんだ。
ドランとまた会えて嬉しい。
そう思うルオの腕の中で、三人のドランが揺れて重なり合い一つに統合された。
「よお。待たせたな。行こうぜ、ルオ」
パリピで泣き虫で時代系なたった一人のドランがルオを見上げて笑っている。
「うん!」「チュー!」
ルオが頷くと、ドランとチューリッピが手と手を取り合った。
その時、大広間全体がグラグラと揺れ動いた。はずみでルオは、ドランとチューリッピを抱えたまま後方回転を繰り返す。オレ、後ろ回り絶対上手になったよな。
しょうもないことを考えていると、ルオの目の前で大広間が形を変え始めた。ルオが転がってぶつかった広間後方に巨大な扉が出現し、その扉が大きく開かれる。覗いてみると、その先に天井を突き抜けて上へ上へと続く螺旋階段が見えた。
「道が開けた。行くぞ、ケツァルコアトルスが呼んでいる!」
ドランの先導でルオとチューリッピは長い長い螺旋階段をくるくる回りながら進んでいった。どこまでも、永遠に続くかのように遥か上まで階段を登ると、……
「ケツァルコアトルス!」
【複製】の番人ケツァルコアトルスがいる玉座の間に続いていた。
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