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Ⅳ章.緑色のスキル【回復】
05.なぞかけ②大きくなればなるほど小さくなるもの
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「それでは第二問」
あ。スーガさん、納得したんだ。それで問題は続くわけね。
ルオは地面、…スーガさんの胃? から立ち上がって耳を澄ませた。顔に飛んできた水しぶきはすがすがしい香りがした。
「大きくなればなるほど小さくなるもの」
えー? 大きくなると??
ルオは水路を渡る時、水中変化術で普段の二倍の大きさになった。何だろう。何が小さくなったかな。
「えーと、風? いや水圧?」
いや。それは大きくなればなるほど大きくなるのか。ていうか、オレ、水圧感じないタイプだった、…
「チュ―!」「え、自信?」「チュ?」「…可能性って、ヤなこと言うね」
「チュチュ?」「力? そう? 逆に大きくなるんじゃない?」
「チュッチュ―」「なるほど、年の差」
チューリッピと一緒に頭をひねるが、
「ふうむ」
イマイチ外してるらしい。なんだろう、他に何があるかなあ?
「チュウ?」
チューリッピがルオの洋服をつかんで引っ張る。
「あ、確かに。洋服は小さくなるよね!」
これで決まりじゃない? と期待して洞窟を仰ぎ見たが、イマイチらしくスーガは静まり返っている。
「じゃあ、靴、とか?」
なんだか寂しい沈黙が落ちる。間違っているわけじゃないと思うんだけど。だんだんルオは焦ってきた。
オレ、こんなのんびりなぞなぞ解いてる場合なの?
「ううーん、ルオ様、…?」
地面、というかスーガの胃の中であっちへこっちへ無駄に転がされたアンモの意識が戻った。
「アンモさんっ! 大丈夫? もう心配いらないよ。今、【回復】の番人の胃の中だから」
ルオは駆け寄ってアンモを抱きかかえる。
「ああ、…ありが、……」
アンモはわずかにのぞかせた目を再び閉じてしまった。
でも、確実に回復している! そうか。スーガさんのお腹の環境や、煌めきを増したように見える胃液がアンモさんの回復を促しているんだ。さすが【回復】の番人。
ルオは赤ちゃんがお母さんのお腹の中でゆっくり着実に育っていく様を思い浮かべた。うん、大丈夫。アンモさん、絶対に良くなるからゆっくり休んでね。
「チュ、……」
その様子を見ていたチューリッピがルオを指さして言う。
「え? 恐怖?」
「チュチュ―」
「オレが? そんな感じに見えた?」
「チュ―」
チューリッピが自信たっぷりに頷く。ルオの度量が大きくなって恐怖が小さくなったと言っているのだ。そうかなあと思っていると、静まり返っていた胃の中が愉快そうに揺れた。
「ワ――――ッ、ハッハッハッハァ―――――――」
スーガの温かみのある笑い声が洞窟、…お腹の中に反響した。心地よい和音を奏でている。
おー、スーガさんも納得してくれた。もんどりうって転がりながら、ルオはなんだか嬉しい気持ちになった。
確かに。龍の都に来て初めてアクアを見た時はどうしようもないほど不気味で怖くて仕方なかったけど。アクアに対する恐怖や使命に対する不安はチューリッピを見つけ、傷ついたアンモを背負うにつれ、薄れていったような気がする。今は怖いというより、使命を果たしてみんなで平和を取り戻したいという気持ちが強い。そうか。自分に出来ることが多くなれば、恐怖は小さくなるんだ。
パシャパシャとルオを祝福するように跳ね上がっている水しぶきは、さきほどより量が増え、水位も高くなっている。煌めきも一層強くなって、エメラルドグリーンの輝きは神秘的でとてもきれいだ。汚れたものが洗われていくような清らかでさわやかな心持ちがする。森林の中にいるような匂いがする。だから【回復】は緑なのかもしれない。緑は心を癒すから。
あ。スーガさん、納得したんだ。それで問題は続くわけね。
ルオは地面、…スーガさんの胃? から立ち上がって耳を澄ませた。顔に飛んできた水しぶきはすがすがしい香りがした。
「大きくなればなるほど小さくなるもの」
えー? 大きくなると??
ルオは水路を渡る時、水中変化術で普段の二倍の大きさになった。何だろう。何が小さくなったかな。
「えーと、風? いや水圧?」
いや。それは大きくなればなるほど大きくなるのか。ていうか、オレ、水圧感じないタイプだった、…
「チュ―!」「え、自信?」「チュ?」「…可能性って、ヤなこと言うね」
「チュチュ?」「力? そう? 逆に大きくなるんじゃない?」
「チュッチュ―」「なるほど、年の差」
チューリッピと一緒に頭をひねるが、
「ふうむ」
イマイチ外してるらしい。なんだろう、他に何があるかなあ?
「チュウ?」
チューリッピがルオの洋服をつかんで引っ張る。
「あ、確かに。洋服は小さくなるよね!」
これで決まりじゃない? と期待して洞窟を仰ぎ見たが、イマイチらしくスーガは静まり返っている。
「じゃあ、靴、とか?」
なんだか寂しい沈黙が落ちる。間違っているわけじゃないと思うんだけど。だんだんルオは焦ってきた。
オレ、こんなのんびりなぞなぞ解いてる場合なの?
「ううーん、ルオ様、…?」
地面、というかスーガの胃の中であっちへこっちへ無駄に転がされたアンモの意識が戻った。
「アンモさんっ! 大丈夫? もう心配いらないよ。今、【回復】の番人の胃の中だから」
ルオは駆け寄ってアンモを抱きかかえる。
「ああ、…ありが、……」
アンモはわずかにのぞかせた目を再び閉じてしまった。
でも、確実に回復している! そうか。スーガさんのお腹の環境や、煌めきを増したように見える胃液がアンモさんの回復を促しているんだ。さすが【回復】の番人。
ルオは赤ちゃんがお母さんのお腹の中でゆっくり着実に育っていく様を思い浮かべた。うん、大丈夫。アンモさん、絶対に良くなるからゆっくり休んでね。
「チュ、……」
その様子を見ていたチューリッピがルオを指さして言う。
「え? 恐怖?」
「チュチュ―」
「オレが? そんな感じに見えた?」
「チュ―」
チューリッピが自信たっぷりに頷く。ルオの度量が大きくなって恐怖が小さくなったと言っているのだ。そうかなあと思っていると、静まり返っていた胃の中が愉快そうに揺れた。
「ワ――――ッ、ハッハッハッハァ―――――――」
スーガの温かみのある笑い声が洞窟、…お腹の中に反響した。心地よい和音を奏でている。
おー、スーガさんも納得してくれた。もんどりうって転がりながら、ルオはなんだか嬉しい気持ちになった。
確かに。龍の都に来て初めてアクアを見た時はどうしようもないほど不気味で怖くて仕方なかったけど。アクアに対する恐怖や使命に対する不安はチューリッピを見つけ、傷ついたアンモを背負うにつれ、薄れていったような気がする。今は怖いというより、使命を果たしてみんなで平和を取り戻したいという気持ちが強い。そうか。自分に出来ることが多くなれば、恐怖は小さくなるんだ。
パシャパシャとルオを祝福するように跳ね上がっている水しぶきは、さきほどより量が増え、水位も高くなっている。煌めきも一層強くなって、エメラルドグリーンの輝きは神秘的でとてもきれいだ。汚れたものが洗われていくような清らかでさわやかな心持ちがする。森林の中にいるような匂いがする。だから【回復】は緑なのかもしれない。緑は心を癒すから。
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