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Ⅳ章.緑色のスキル【回復】
03.緑の【回復】番人シロナガスクジラ
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「まわるまわるぐるぐるまわる、ぐるぐるぐるぐる、ぐるぐるまわる、まわるまわる、…――――――」
呪文のような子守唄のようなおかしな歌が反響して聞こえる。
目を開けると、ルオは洞窟の壁面に寄りかかって倒れていた。
「チュー、……」
ハツカネズミのチューリッピがルオの胸の上に乗り、無事を確認するかのように小さな舌でルオの頬を舐める。
「うん、大丈夫だよ。チューリッピも無事でよかった」
言って、がばっと立ち上がり、辺りを見回す。
アンモさんは!?
アンモナイトのアンモは、殻の中に籠った状態のまま、ルオの傍らに倒れていた。
「アンモさん、大丈夫?」
アンモはアクア王に襲われて重傷を負っている。一刻も早く【回復】の施術をしなければならない。
そっとアンモに手を触れると、わずかではあるがしっかりとした鼓動を感じる。良かった。まだ息がある。でも早く【回復】の番人を探さないと、…
「まわるまわるぐるぐるまわる、ぐるぐるぐるぐる、ぐるぐるまわる、まわるまわる、…――――――」
ルオは渦潮に流された末に海底にある洞窟の中に彷徨いこんだようだった。
洞窟は薄緑色の壁面に囲まれていて、その壁はゆっくり膨らんだり縮んだり振動している。足元の地面にはやはり緑がかった水が溜まっている。その水面に波紋を描き、壁面を大きく揺らすような、なにやら不思議な音が響き渡っていた。
「とりあえず、奥に進んでみようか」
アンモを背負い、チューリッピを琥珀のペンダントに乗せて歩き始めると、突然、洞窟全体が大きく揺れた。
うわ。何? 海底地震?
ルオは慌てて洞窟の壁にしがみついた。しかし壁は案外柔らかく、それ自体が意志を持っているかのように激しく揺れるので、逆にバランスが取れない。
ななな、なにごと?
動揺するルオを面白がるかのように、洞窟がぐらんぐらんと大きく揺れ、大音量が響き渡った。
「我はシロナガスクジラのスーガ。緑の【回復】の番人である。【回復】の力を求める者よ、我が問いに答え給え」
「ええ―――、ちょっと待って。今、洞窟がしゃべったよね? てことは、この洞窟、…」
チューリッピと目を見合わせる。
「シロナガスクジラのお腹――――っ!?」
「チュー―――っ!?」
二人同時に叫ぶと、肯定するかのようにまた洞窟全体が大きく揺れた。
「ワ――――ッ、ハッハッハッハァ―――――」
同時に耳をつんざくような轟音が響く。ルオはとても立っていられず、チューリッピ、アンモとともに地面に倒れ、ゴロゴロと転がった。洞窟の壁や地面に弾かれてボールになったかのようにバウンドする。洞窟は柔らかくぶつかっても痛くない。
この轟音、…もしかして、クジラのスーガさん、笑ってる?
ルオは座り込んだまま揺れが収まるのを待った。
呪文のような子守唄のようなおかしな歌が反響して聞こえる。
目を開けると、ルオは洞窟の壁面に寄りかかって倒れていた。
「チュー、……」
ハツカネズミのチューリッピがルオの胸の上に乗り、無事を確認するかのように小さな舌でルオの頬を舐める。
「うん、大丈夫だよ。チューリッピも無事でよかった」
言って、がばっと立ち上がり、辺りを見回す。
アンモさんは!?
アンモナイトのアンモは、殻の中に籠った状態のまま、ルオの傍らに倒れていた。
「アンモさん、大丈夫?」
アンモはアクア王に襲われて重傷を負っている。一刻も早く【回復】の施術をしなければならない。
そっとアンモに手を触れると、わずかではあるがしっかりとした鼓動を感じる。良かった。まだ息がある。でも早く【回復】の番人を探さないと、…
「まわるまわるぐるぐるまわる、ぐるぐるぐるぐる、ぐるぐるまわる、まわるまわる、…――――――」
ルオは渦潮に流された末に海底にある洞窟の中に彷徨いこんだようだった。
洞窟は薄緑色の壁面に囲まれていて、その壁はゆっくり膨らんだり縮んだり振動している。足元の地面にはやはり緑がかった水が溜まっている。その水面に波紋を描き、壁面を大きく揺らすような、なにやら不思議な音が響き渡っていた。
「とりあえず、奥に進んでみようか」
アンモを背負い、チューリッピを琥珀のペンダントに乗せて歩き始めると、突然、洞窟全体が大きく揺れた。
うわ。何? 海底地震?
ルオは慌てて洞窟の壁にしがみついた。しかし壁は案外柔らかく、それ自体が意志を持っているかのように激しく揺れるので、逆にバランスが取れない。
ななな、なにごと?
動揺するルオを面白がるかのように、洞窟がぐらんぐらんと大きく揺れ、大音量が響き渡った。
「我はシロナガスクジラのスーガ。緑の【回復】の番人である。【回復】の力を求める者よ、我が問いに答え給え」
「ええ―――、ちょっと待って。今、洞窟がしゃべったよね? てことは、この洞窟、…」
チューリッピと目を見合わせる。
「シロナガスクジラのお腹――――っ!?」
「チュー―――っ!?」
二人同時に叫ぶと、肯定するかのようにまた洞窟全体が大きく揺れた。
「ワ――――ッ、ハッハッハッハァ―――――」
同時に耳をつんざくような轟音が響く。ルオはとても立っていられず、チューリッピ、アンモとともに地面に倒れ、ゴロゴロと転がった。洞窟の壁や地面に弾かれてボールになったかのようにバウンドする。洞窟は柔らかくぶつかっても痛くない。
この轟音、…もしかして、クジラのスーガさん、笑ってる?
ルオは座り込んだまま揺れが収まるのを待った。
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