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Ⅷ章.龍王城で直接対決
01.むしり取られたチューブワーム
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「待って、アクア王。その統一世界は本当にみんなにとって幸せなのかな」
アクアたちが発する絶望的な悲しみと虚しさに呆然としていたルオは、はっと我に返った。いやいや、ここでぼんやりしてたら永久にこのまま地中深くにいることになっちゃう。
「オレ思ったんだけど、この都を龍宮とアクア帝国、どっちも一緒にするってのはどう?」
いまやマグマの海はアクアたちのおぞましさに触れ、絶望感に埋め尽くされている。ルオ自身も虚しさに襲われ、あきらめそうになるが、気力を振り絞って必死に叫んだ。ルオの龍剣には、手に入れたばかりの【信念】の青い宝玉が宿っている。
「なるほど。小僧は石化しているのか。それで私の【停止】から免れているのだな」
確かに。アクア王が【停止】の力を使って、青目ルオもチューブワームもバクテリアたちも時間を止めてしまったけれど、ルオは話が出来た。シスト状なのでどのみち動くことは出来ないが。
「まあ良い。どうせ動けぬのだから」
アクア王は泥のような声で冷たく言い放つ。
「いいことを教えてやろう。一緒などあり得ないのだ。共生などただの理想。実際は奪うか奪われるか。支配するかされるか。意思ある限り争いは続くのだ」
時が止まった中、アクア王の声だけが不気味に響く。
「そんなの、やってみなきゃ分からないって」
ルオは必死で言い返すが、アクア王はそれ以上耳を貸さず、部下たちを連れてマグマの海を上昇していってしまった。
「ま、待ってってば」
ルオは焦った。せっかくバクテリアの質問に答えたのに、チューブワームの中に埋もれたまま、一生ここにいるなんて無理―――っ
しかし焦るばかりでどうにもできない。やばい。やばいって。
その時、立ち去るアクアの中の一体が、その巨大な触手をチューブワームに巻き付けた。
いい? えええ?
アクアの触手が幾重にも絡みつき、ルオが中に入っているチューブワームが力尽くでむしり取られていく。
ぶちぶちぶち、…
戸惑うルオも、ぴたりと動きを止めているバクテリアたちも一緒に、アクアはむしり取ったチューブワームを自分の口と思われる部分に放り込んだ。
えええ―――、今度はアクアの中~~~?
飲み込まれる瞬間、ルオは仰天しながらそのアクアが外に貼り付けている表情を見た。
え、…海老沼さん?
アクアは顔と思われる部分にアクア化されたときの表情を張り付けている。それは海洋研究所の職員、海老沼の顔だった。龍宮に着いた時、潜水艇に乗っていた職員全員がアクア化された。アクア化とは、ゾンビに噛まれてゾンビになるように、アクアの光線を浴びてアクアの外見になり、意思をなくしてアクア王の奴隷と化すことである。
でも今、海老沼さん、勝手にオレをむしり取ったよね? ここにオレを置き去りにするつもりのアクア王に逆らったような、…?
そういえば以前、塩田さんと佐藤さんもアクア王の目を盗んでルオに「スーツ」と知らせてきたような。
もしかしたら、……
ルオはアクアの体内で考えた。
アクアの体内はとても広く、無数のパネルが並んでいる。乗ったことはないが映像などで見る宇宙船内のようだった。
「…海老沼さんたちはアクア化されたように見せかけているだけなのかも、…」
「その通りだ海藤ルオくん」
背後から突然聞こえた声にルオは驚いて飛び上がりそうになった。まあ、石化しているので動けないのだけど。
アクアたちが発する絶望的な悲しみと虚しさに呆然としていたルオは、はっと我に返った。いやいや、ここでぼんやりしてたら永久にこのまま地中深くにいることになっちゃう。
「オレ思ったんだけど、この都を龍宮とアクア帝国、どっちも一緒にするってのはどう?」
いまやマグマの海はアクアたちのおぞましさに触れ、絶望感に埋め尽くされている。ルオ自身も虚しさに襲われ、あきらめそうになるが、気力を振り絞って必死に叫んだ。ルオの龍剣には、手に入れたばかりの【信念】の青い宝玉が宿っている。
「なるほど。小僧は石化しているのか。それで私の【停止】から免れているのだな」
確かに。アクア王が【停止】の力を使って、青目ルオもチューブワームもバクテリアたちも時間を止めてしまったけれど、ルオは話が出来た。シスト状なのでどのみち動くことは出来ないが。
「まあ良い。どうせ動けぬのだから」
アクア王は泥のような声で冷たく言い放つ。
「いいことを教えてやろう。一緒などあり得ないのだ。共生などただの理想。実際は奪うか奪われるか。支配するかされるか。意思ある限り争いは続くのだ」
時が止まった中、アクア王の声だけが不気味に響く。
「そんなの、やってみなきゃ分からないって」
ルオは必死で言い返すが、アクア王はそれ以上耳を貸さず、部下たちを連れてマグマの海を上昇していってしまった。
「ま、待ってってば」
ルオは焦った。せっかくバクテリアの質問に答えたのに、チューブワームの中に埋もれたまま、一生ここにいるなんて無理―――っ
しかし焦るばかりでどうにもできない。やばい。やばいって。
その時、立ち去るアクアの中の一体が、その巨大な触手をチューブワームに巻き付けた。
いい? えええ?
アクアの触手が幾重にも絡みつき、ルオが中に入っているチューブワームが力尽くでむしり取られていく。
ぶちぶちぶち、…
戸惑うルオも、ぴたりと動きを止めているバクテリアたちも一緒に、アクアはむしり取ったチューブワームを自分の口と思われる部分に放り込んだ。
えええ―――、今度はアクアの中~~~?
飲み込まれる瞬間、ルオは仰天しながらそのアクアが外に貼り付けている表情を見た。
え、…海老沼さん?
アクアは顔と思われる部分にアクア化されたときの表情を張り付けている。それは海洋研究所の職員、海老沼の顔だった。龍宮に着いた時、潜水艇に乗っていた職員全員がアクア化された。アクア化とは、ゾンビに噛まれてゾンビになるように、アクアの光線を浴びてアクアの外見になり、意思をなくしてアクア王の奴隷と化すことである。
でも今、海老沼さん、勝手にオレをむしり取ったよね? ここにオレを置き去りにするつもりのアクア王に逆らったような、…?
そういえば以前、塩田さんと佐藤さんもアクア王の目を盗んでルオに「スーツ」と知らせてきたような。
もしかしたら、……
ルオはアクアの体内で考えた。
アクアの体内はとても広く、無数のパネルが並んでいる。乗ったことはないが映像などで見る宇宙船内のようだった。
「…海老沼さんたちはアクア化されたように見せかけているだけなのかも、…」
「その通りだ海藤ルオくん」
背後から突然聞こえた声にルオは驚いて飛び上がりそうになった。まあ、石化しているので動けないのだけど。
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