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Ⅵ章.赤色のスキル【攻撃】

01.赤の【攻撃】番人メガロドン

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「うわああ、…っ」

ここは一体どこだろうとぼんやりあたりを見回していると、突然巨大な火の玉が飛んできてルオにぶつかり、あっという間に全身焼き尽くされて丸焦げになった。

「あちち、あちち、…っ」

ルオが飛び跳ねながら慌てて「奥義【回】」と自身の回復を図っていると、

「あっち――――っ! チックショー! 結界張り忘れたぜ」

丸焦げになってぱったり倒れ込んだルオが、大声で吠えつつ、またむっくりと起き上がった。
起き上がったルオの目の前に赤い膜が現れ、そこに文字が浮かんでいる。

『You are lose. Continue?(負けたよ。続ける?)』

「ったりめーだろ。オレは負けるのが嫌いなんだ」

ルオは何も言っていないのに、好戦的なルオの声が発せられたかと思うと、

「奥義【結】」

背中から龍剣が引き抜かれ、周りに結界が張られた。
再び、今度は後方から襲い掛かってきた火の玉が結界にぶつかって大きくバウンドし、はじき返された。
ゴオオオオ――――、……
火の玉はうなり声をあげ、周辺を焼き尽くしながら後退していく。

「へへ、どんなもんだ。かかってこいや」

龍剣をジグザクに振り回し、ルオが得意げにポーズを決めた。

……なるほど。
ここにきて、ルオは事情が呑み込めてきた。

荒野に飛ばされて火の玉の攻撃を受けているのは、鏡の中で【複製】された赤目のルオなのだ。ルオは赤目ルオの目を通して同じ体験をしているが、実際に攻撃したりダメージを受けたりするのは赤目ルオで、ルオは彼が受けた被害だけが降りかかってくる。

つまり、遠くに自分の分身を飛ばして代わりに戦ってもらっているような状態である。

え。すごく便利じゃない? これが【複製】の力ってやつか。
まあでも、こっちもひどいダメージは受けるんだけど。

コピーでありオリジナルである。ルオと赤目ルオは一心同体ということか。

頷きながら赤目ルオの状況を見守っていると、

「防御だけではダメだ! 攻撃しなければ敵は倒せんっ」

低くしわがれた鋭い声が飛んできた。

何事かと見ると、横から巨大な鱗がにゅっと飛び出してきた。

な、なに。うろこぉ――――!?

白とグレー。大きな口。強靭な歯。ルオの十五倍はある巨体。弾丸型の鋭いボディ。
まさか、…

「め、……メガロドン―――!?」

勿論ルオは見たことがないが、映画や動画に出てくるメガロドン。古代に生息していたとされる伝説的な巨大ザメのようである。

突如出現したメガロドンは次々と飛んでくる巨大な火の玉を大きな口で一飲みにすると、

「ぐわおおお――――っ」

飲んだ炎を口から吐き出し、辺り一面を焼き尽くした。視界が真っ赤に染まり、ちらちらと火の粉が舞い上がる。

「すごい、……」
「すっげ―――」

思わず、ルオと赤目ルオのセリフがハモった。
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