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feel.12
05.
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「教えてくれてありがとう。ゆのちゃん、黎と似てるんだね。だから惹かれたのかな。ツインレイってやつなのかな」
澪さんがわずかに首を傾けながら、優しく言う。
ツインレイ?
「ゆのちゃん、大丈夫だよ。私、きれいな人間じゃないから、ゆのちゃんをがっかりさせるかもしれないけど、でも、仲良くなりたいし、分かり合いたいし、黎の大事な人を大事に思ってる」
無意識のうちに、涙が落ちた。
今日はもう、何回泣いただろう。
悲しくて、苦しくて、恐ろしくて、…
そして、嬉しくて。
目も瞼も頬も腫れて痛いのに、温かな涙が止まらない。
「ゆのちゃん、今日は一緒に寝よ? 斗哉も一緒で狭いけど、なんか、…くっつきたい」
完璧に整った美しくて可愛くて優しい人が、私をふんわり抱きしめてくれた。
黄金の蜂蜜のような。
ハニーミルクティみたいな。
心温まる甘い匂いがする。
澪さんのマンションの一室で、柔らかくて温かいお布団に入れてもらって、斗哉くんの健やかな寝息を聞きながら、溢れるくらいの幸福感に包まれて眠った。
気持ち悪いって言われなかった。
あっちに行ってって言われなかった。
私、まだ地上に居てもいいかな。
黎くんのそばに居てもいいかな。
黎くんが私にくれた。
友だちみたいな、家族みたいな。
大切な人が出来た。
「ゆのちゃん、おやすみなさい」
澪さん、ありがとう。
黎くん、ありがとう。大好き。
「黎くん、大好き‼」
そのテンションのまま、翌日黎くんの病室を訪ね、
ベッドで半身を起こしている至上の魅力に溢れた黎くんの姿を見たら、
口が勝手に動いて身体が勝手に飛びついていた。
「…なに、お前」
黎くんにまじまじと見つめられて我に返る。
おかしいわ、私。
浮かれ過ぎてキャラ崩壊が甚だしい。
「あ、いや、…」
慌てて身を引こうとすると、黎くんの長い腕に絡めとられて、
「なんでそんな可愛くなってんの」
黎くんの甘くて優しい唇にたくさんのキスを落とされた。
とける。とろける。
泣きたいくらい優しくて甘くて愛おしい。
夢みたいに心地よくて柔らかくて吐息が香る。
どうしよう。
頭も身体もキャラメルみたいに溶けて力が入らない。
黎くんの胸の中に倒れ込んだ私を、黎くんは余裕そうな笑みを浮かべながら支えてくれた。
今更だけど。
黎くんて、なんか。スキルが高い。
多分。
ちょっと、いろいろ。高すぎる。
黎くんの胸に埋もれたまま脱力している私の髪を、長い滑らかな指が優しく撫でる。
「なんかあった?」
黎くんに聞かれて溶けたキャラメル頭がぼんやり回転する。
そうだった。
今朝、幸せなまどろみが斗哉くんの一蹴りで破られた時。
急にひらめいたんだった。
黎くんと私が似てるって澪さんが言ったこと。
ツインレイって言った意味。
黎くんの匂いが視えない理由。
もしかして。もしかしたらだけど。
黎くんは、…
澪さんがわずかに首を傾けながら、優しく言う。
ツインレイ?
「ゆのちゃん、大丈夫だよ。私、きれいな人間じゃないから、ゆのちゃんをがっかりさせるかもしれないけど、でも、仲良くなりたいし、分かり合いたいし、黎の大事な人を大事に思ってる」
無意識のうちに、涙が落ちた。
今日はもう、何回泣いただろう。
悲しくて、苦しくて、恐ろしくて、…
そして、嬉しくて。
目も瞼も頬も腫れて痛いのに、温かな涙が止まらない。
「ゆのちゃん、今日は一緒に寝よ? 斗哉も一緒で狭いけど、なんか、…くっつきたい」
完璧に整った美しくて可愛くて優しい人が、私をふんわり抱きしめてくれた。
黄金の蜂蜜のような。
ハニーミルクティみたいな。
心温まる甘い匂いがする。
澪さんのマンションの一室で、柔らかくて温かいお布団に入れてもらって、斗哉くんの健やかな寝息を聞きながら、溢れるくらいの幸福感に包まれて眠った。
気持ち悪いって言われなかった。
あっちに行ってって言われなかった。
私、まだ地上に居てもいいかな。
黎くんのそばに居てもいいかな。
黎くんが私にくれた。
友だちみたいな、家族みたいな。
大切な人が出来た。
「ゆのちゃん、おやすみなさい」
澪さん、ありがとう。
黎くん、ありがとう。大好き。
「黎くん、大好き‼」
そのテンションのまま、翌日黎くんの病室を訪ね、
ベッドで半身を起こしている至上の魅力に溢れた黎くんの姿を見たら、
口が勝手に動いて身体が勝手に飛びついていた。
「…なに、お前」
黎くんにまじまじと見つめられて我に返る。
おかしいわ、私。
浮かれ過ぎてキャラ崩壊が甚だしい。
「あ、いや、…」
慌てて身を引こうとすると、黎くんの長い腕に絡めとられて、
「なんでそんな可愛くなってんの」
黎くんの甘くて優しい唇にたくさんのキスを落とされた。
とける。とろける。
泣きたいくらい優しくて甘くて愛おしい。
夢みたいに心地よくて柔らかくて吐息が香る。
どうしよう。
頭も身体もキャラメルみたいに溶けて力が入らない。
黎くんの胸の中に倒れ込んだ私を、黎くんは余裕そうな笑みを浮かべながら支えてくれた。
今更だけど。
黎くんて、なんか。スキルが高い。
多分。
ちょっと、いろいろ。高すぎる。
黎くんの胸に埋もれたまま脱力している私の髪を、長い滑らかな指が優しく撫でる。
「なんかあった?」
黎くんに聞かれて溶けたキャラメル頭がぼんやり回転する。
そうだった。
今朝、幸せなまどろみが斗哉くんの一蹴りで破られた時。
急にひらめいたんだった。
黎くんと私が似てるって澪さんが言ったこと。
ツインレイって言った意味。
黎くんの匂いが視えない理由。
もしかして。もしかしたらだけど。
黎くんは、…
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