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番外編Ⅱ
抗えない誘惑
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「ライ様、どうぞお入りになって」
「いやああん、恥じらいになられて、何てお可愛いらしい」
「よろしいのよ、女同士、ご遠慮なさらず」
「お、…おい、…っ」
お姉さま方の奔放な肌が眩しい。
「まあなんて艶のある柔肌でらっしゃるの」
「ウルフ様が愛でられた玉肌、私にも触らせて」
「私も、私も」
「ちょ、…待てって、…お前ら、…っ!!」
あちらこちらから伸ばされるたおやかな手足とたわわな肢体に揉みくちゃにされて訳が分からない。後宮のお姉さま方は危険だ。
お茶会のリベンジがしたいと申し入れがあったのは数日前のこと。
偽酒に惑わされてひどいことをしてしまったと泣きながらミラベル嬢が謝りに来て、その後、ウルフの後宮で徹底した安全対策がとられてから、今後の親睦を深めようとお誘いがあった。
「お前は、…っ」
二つ返事で誘いに乗った俺は、なんか心配性なウルフに散々ねじ込まれて注ぎ込まれて教え込まれて、
「絶対妙な気を起こすなよ」
ここ数日離してもらえなかったんだけど、今になってその心配が少し分かったような気がする。お姉さま方は勢いが凄い。
着せ替えパーティにスウィートフェスティバルに舞踊に華道にエアロビクス。体力には自信があったんだけど、誰よりも最初に息切れしたのは俺だった。
「ライ様。ご一緒に汗を流しましょう」
ヘロヘロの俺は最終的に後宮にある紫陽花の湯殿で身ぐるみはがされ、色とりどりの紫陽花が咲き乱れた広大な浴室の、湯けむり漂う濃厚な乳白色の湯の中にぶち込まれた。
「ねえねえ、ライ様。ささやかですけど、私にもお触りになって」
「あら、ずるい。私もぜひっ」
温かでまろやかな湯に浸り、一息つく間もなく、前後左右からたわわなお姉さま方が迫ってきて、その柔肌に包まれる。
え、あ、ちょ、…
なんか勢いで触れてしまった手触りは、引き締まったウルフの肌とは全然違い、どこまでも埋もれてしまいそうに柔らかい。擦れ合う肌触りもなんかしっとりしていて蕩けそう。
「ライ様は男性でもあるのでしょう?」
「よろしかったら私たち、包んで差し上げますわ」
え、…
四方八方から俺の身体の至るところに、手や乳や唇や舌が寄せられて、なんか爆発してしまいそうになる。
「や、…ダメっ!!」
夢中で目と耳と口を閉じる。
いけない禁断の扉が開いてしまう。
「お、…俺、帰るっ」
ざばあっと湯船から立ち上がり、とにかく埋もれてしまいそうに柔らかいお姉さま方をかき分けて、決死の思いで浴室を出た。
「ああん、ライ様~」「もう少しお楽しみくださっても~~~」
浴室から聞こえるお姉さま方の甘いお誘いを振り払い、ほぼ真っ裸で湯殿から出ると、ふんわりしたタオルケットでぐるぐる巻きにされた挙句にくわえられた。
「アオ、…っ」
銀狼姿のウルフに。
簀巻き状態の俺をくわえたまま、アオは屋根に飛び乗って、風のように走る。くわえられてるのは微妙だけど、何度見てもアオの疾走はカッコいい。速く、力強く、しなやかで、美しい。
あっという間にウルフの居室に戻ってベッドに放り投げられた俺は、簀巻きのタオルからもがき出ると、アオに両手を伸ばした。
「…アオっ、サンキュー」
アオの銀色の毛並みは触り心地最高。艶やかで柔らかく温かくて優しい。
「俺、やっぱお前がいい」
大きなアオの心地よい毛に思いっきりすりすりしていると、
「…ふうん?」
なんか長い腕にがっちりつかまれて馬乗りにされた。
「銀狼の俺がいいのか?」
仰ぎ見ると、半獣半人の半分ウルフで半分アオの飛び切り美しい獣人にのしかかられている。
「え、…」
めちゃくちゃ麗しいウルフとめちゃくちゃカッコいいアオの合わせ技!? そんな至上の贅沢があるのか、…っ
「…正直なやつ」
視覚だけで張りつめて期待に濡れ落ちる俺を見て、ウルフが口の端で笑った。
「お前は流されやすいから心配だ」
タオルケットを開いて、一糸まとわぬ姿になった俺を半獣のウルフが舌先だけでたどる。滑らかな舌の感触に、艶やかな毛の感触が続き、そのくすぐったさとじれったさに底知れぬ快感が込み上げてぞくぞくする。
「ウルフ、…っ」
堪らなくなって身をよじり、ウルフを求めて両手ですがりつく。
もっと。
触れて欲しい。キスして欲しい。
奥まで欲しい。全部欲しい。
絡まり合って繋がってどこまでも溶け合いたい。そう思うのは、…
「…お前にだけだし」
湯上り美人なお姉さま方に迫られて分かった。
男でも女でも。俺が欲しいのはウルフだけだ。
「…まあ。誘惑から逃げてきたようだからな。許してやる」
ウルフが喉を鳴らして笑いながら、俺を丸ごと包んで奥深くまで差し入れた。
強くたくましい半獣の毛並みに包まれて、しなやかな尻尾で背後をしっかり支えられながら中心を深々と穿たれると、密着感が半端ない。長い爪で束ねられて鋭い牙でなぞられ甘く噛まれると、甘美な痺れに狂いそうになる。快感を解き放ちたくて開いた口も喘ぎも伸ばした舌も、長い舌に絡めとられて呼吸ごと全て奪われる。野生的で荒々しいのに、ウルフの動きは繊細で、俺を触る手も爪も舌も牙も甘く優しい。
「ウルフ、…っ、ウルフ、…っ、ウルフ、…っ!!」
お姉さま方との禁断の扉は開かないけど、銀狼とのいけない扉を開けない自信はない。要するに、…
「…俺、お前なら何でもいい、…」
ウルフとアオに同時に抱かれているような背徳感と高揚感に、めちゃくちゃ感じてしまった俺は、恐ろしいほどの快感に骨の髄まで溶け切って、蕩け切って、前と後ろからウルフとアオにいっぱいに満たされたまま、恍惚の海に彷徨いまどろみ、
「そんな可愛いこと言われると、人型に戻りたくなくなるんだが」
ちょっと困ったようなウルフに優しくキスされる夢を見た。
自分が何か踏み外しているような気もしないでもないけど、ウルフの誘惑にだけは抗えない。
――――――――――――――――――
もう2篇 →
番外編 公開予定です。
「いやああん、恥じらいになられて、何てお可愛いらしい」
「よろしいのよ、女同士、ご遠慮なさらず」
「お、…おい、…っ」
お姉さま方の奔放な肌が眩しい。
「まあなんて艶のある柔肌でらっしゃるの」
「ウルフ様が愛でられた玉肌、私にも触らせて」
「私も、私も」
「ちょ、…待てって、…お前ら、…っ!!」
あちらこちらから伸ばされるたおやかな手足とたわわな肢体に揉みくちゃにされて訳が分からない。後宮のお姉さま方は危険だ。
お茶会のリベンジがしたいと申し入れがあったのは数日前のこと。
偽酒に惑わされてひどいことをしてしまったと泣きながらミラベル嬢が謝りに来て、その後、ウルフの後宮で徹底した安全対策がとられてから、今後の親睦を深めようとお誘いがあった。
「お前は、…っ」
二つ返事で誘いに乗った俺は、なんか心配性なウルフに散々ねじ込まれて注ぎ込まれて教え込まれて、
「絶対妙な気を起こすなよ」
ここ数日離してもらえなかったんだけど、今になってその心配が少し分かったような気がする。お姉さま方は勢いが凄い。
着せ替えパーティにスウィートフェスティバルに舞踊に華道にエアロビクス。体力には自信があったんだけど、誰よりも最初に息切れしたのは俺だった。
「ライ様。ご一緒に汗を流しましょう」
ヘロヘロの俺は最終的に後宮にある紫陽花の湯殿で身ぐるみはがされ、色とりどりの紫陽花が咲き乱れた広大な浴室の、湯けむり漂う濃厚な乳白色の湯の中にぶち込まれた。
「ねえねえ、ライ様。ささやかですけど、私にもお触りになって」
「あら、ずるい。私もぜひっ」
温かでまろやかな湯に浸り、一息つく間もなく、前後左右からたわわなお姉さま方が迫ってきて、その柔肌に包まれる。
え、あ、ちょ、…
なんか勢いで触れてしまった手触りは、引き締まったウルフの肌とは全然違い、どこまでも埋もれてしまいそうに柔らかい。擦れ合う肌触りもなんかしっとりしていて蕩けそう。
「ライ様は男性でもあるのでしょう?」
「よろしかったら私たち、包んで差し上げますわ」
え、…
四方八方から俺の身体の至るところに、手や乳や唇や舌が寄せられて、なんか爆発してしまいそうになる。
「や、…ダメっ!!」
夢中で目と耳と口を閉じる。
いけない禁断の扉が開いてしまう。
「お、…俺、帰るっ」
ざばあっと湯船から立ち上がり、とにかく埋もれてしまいそうに柔らかいお姉さま方をかき分けて、決死の思いで浴室を出た。
「ああん、ライ様~」「もう少しお楽しみくださっても~~~」
浴室から聞こえるお姉さま方の甘いお誘いを振り払い、ほぼ真っ裸で湯殿から出ると、ふんわりしたタオルケットでぐるぐる巻きにされた挙句にくわえられた。
「アオ、…っ」
銀狼姿のウルフに。
簀巻き状態の俺をくわえたまま、アオは屋根に飛び乗って、風のように走る。くわえられてるのは微妙だけど、何度見てもアオの疾走はカッコいい。速く、力強く、しなやかで、美しい。
あっという間にウルフの居室に戻ってベッドに放り投げられた俺は、簀巻きのタオルからもがき出ると、アオに両手を伸ばした。
「…アオっ、サンキュー」
アオの銀色の毛並みは触り心地最高。艶やかで柔らかく温かくて優しい。
「俺、やっぱお前がいい」
大きなアオの心地よい毛に思いっきりすりすりしていると、
「…ふうん?」
なんか長い腕にがっちりつかまれて馬乗りにされた。
「銀狼の俺がいいのか?」
仰ぎ見ると、半獣半人の半分ウルフで半分アオの飛び切り美しい獣人にのしかかられている。
「え、…」
めちゃくちゃ麗しいウルフとめちゃくちゃカッコいいアオの合わせ技!? そんな至上の贅沢があるのか、…っ
「…正直なやつ」
視覚だけで張りつめて期待に濡れ落ちる俺を見て、ウルフが口の端で笑った。
「お前は流されやすいから心配だ」
タオルケットを開いて、一糸まとわぬ姿になった俺を半獣のウルフが舌先だけでたどる。滑らかな舌の感触に、艶やかな毛の感触が続き、そのくすぐったさとじれったさに底知れぬ快感が込み上げてぞくぞくする。
「ウルフ、…っ」
堪らなくなって身をよじり、ウルフを求めて両手ですがりつく。
もっと。
触れて欲しい。キスして欲しい。
奥まで欲しい。全部欲しい。
絡まり合って繋がってどこまでも溶け合いたい。そう思うのは、…
「…お前にだけだし」
湯上り美人なお姉さま方に迫られて分かった。
男でも女でも。俺が欲しいのはウルフだけだ。
「…まあ。誘惑から逃げてきたようだからな。許してやる」
ウルフが喉を鳴らして笑いながら、俺を丸ごと包んで奥深くまで差し入れた。
強くたくましい半獣の毛並みに包まれて、しなやかな尻尾で背後をしっかり支えられながら中心を深々と穿たれると、密着感が半端ない。長い爪で束ねられて鋭い牙でなぞられ甘く噛まれると、甘美な痺れに狂いそうになる。快感を解き放ちたくて開いた口も喘ぎも伸ばした舌も、長い舌に絡めとられて呼吸ごと全て奪われる。野生的で荒々しいのに、ウルフの動きは繊細で、俺を触る手も爪も舌も牙も甘く優しい。
「ウルフ、…っ、ウルフ、…っ、ウルフ、…っ!!」
お姉さま方との禁断の扉は開かないけど、銀狼とのいけない扉を開けない自信はない。要するに、…
「…俺、お前なら何でもいい、…」
ウルフとアオに同時に抱かれているような背徳感と高揚感に、めちゃくちゃ感じてしまった俺は、恐ろしいほどの快感に骨の髄まで溶け切って、蕩け切って、前と後ろからウルフとアオにいっぱいに満たされたまま、恍惚の海に彷徨いまどろみ、
「そんな可愛いこと言われると、人型に戻りたくなくなるんだが」
ちょっと困ったようなウルフに優しくキスされる夢を見た。
自分が何か踏み外しているような気もしないでもないけど、ウルフの誘惑にだけは抗えない。
――――――――――――――――――
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