秘密の令嬢は敵国の王太子に溶愛(とか)される【完結】

remo

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secret.Ⅳ

08.

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「お、…まっ、…ちょ、…っ」

言葉にならない。

ちょっと待て、とか。そんな急に、とか。ここって外なんじゃ、とか。
畏れ多くも虹龍にじりゅうの中で、とか、…

言いたいことはたくさんあるのに、恐ろしいほどの快感に飲み込まれて一つも言葉に出来ない。受け止めきれない快感を空に放つための喘ぎ声にしかならない。

「…我慢できなかった」

いつになくウルフに余裕がなくて、俺を求める動きが切羽詰まっていて、堪えきれないように俺の中で立て続けにはちきれる。それがどうしようもなく俺の快感を加速させ、更なる新しい刺激に全身の細胞が弾き飛ばされ、強い快感で壊れそうになる。

「お前の告白が可愛すぎた」

「…ば、…っ!」

いい加減にしろよ、このエロバカっ

などと突っ込む余裕は一ミリもない。

ウルフの勢いに飲まれて、身体の内側も外側も全てが性感帯になっていて、わずかな感触にも摩擦にも、息遣いにも温度にも、敏感に反応してしまう。快感が強すぎて、涙と喘ぎ声しか出ない俺をさらに奥までぴったり満たして、ゆっくり巧みにかき混ぜながら、強い腕でしっかり引き寄せ、身体のあらゆる部分に手のひらと指を遊ばせる。撫でて這わせて摘まんで転がす。揉みしだいて慰めて尖らせて膨らませる。身体中全てが、こね回されて舐められ吸われて、待ち焦がれて、歓喜に痺れ、感涙にむせぶ。

「ウル…っ、…も、……むっ、…!!」

口の中で。身体の奥で。
これ以上ないほどしっかり繋がって溢れかえらせているのに、ささやかな舌の動きにも指の角度にも耳に響く水音にも、かき立てられて高められて、乱れて弾けて、何度も何度も解き放って締め付ける。

「…俺も。もう絶対離さないから」

身体中の細胞がばらばらに砕け散るようなもの凄い快感の中で、甘いウルフの声を聞きながら、どこまでも果てしなくウルフと溶け合った。

「…空中じゃん」

かろうじて衣服の端っこを引っかけたような状態で、いまだ俺をかき回すウルフに揺られながら、正面から抱き合ったままウルフに全身をゆだねている。無意識に弾かれる快感の波に乗るのは止められないけど、もう1ミリも動けない。

「誰にも見えないって」

ハレンチ王子をなじる俺の唇を長い指でつまんで、ウルフが甘やかに笑う。

「誇り高い虹龍まで巻き込んで、…」
「虹龍は俺たちでできてるんだから、普通に喜んでると思うけどな?」

お前そんな、俺がひたすら喜んでたみたいにさあ、…

「…気持ち良かった?」

また確信犯的な顔で、ウルフが俺の唇を摘まんだまま口づけた。

「知らね、…っ」

気持ち良かったに決まってるけど。怖いくらい気持ち良かったけど。
まんまと流された自分にふてくされて顔を背けたら、

「…ああ」

ゆっくりと起き上がったウルフがいまだしっかり繋がったまま、俺を軽やかに回転させて、蕩け切って潤んで溢れかえっている俺の奥深くを後ろから満たした。

「や、…っ!?」
「こっちからだった」

艶やかな低い声に耳元で囁かれて、一突きで再び極限の快楽に落ちる。

だから空中で。虹龍で。世界が目の前に広がっていて。
敬虔けいけんな祈りが聞こえるような状態で、…

…やばい。

虹龍に乗って空間を渡る。広い広い空の下。
開かれた世界を眼前にして羞恥心と背徳感がたちどころに込み上げて、いけない快感を増幅させる。

「や、…だ、…も、…だめ、…ウル、…っ」

ハレンチ王子のように羞恥心を捨てきれない俺は、禁断の相乗効果でどうしようもなく快感に喘いでしまい、思うがままにウルフに弄ばれる。

「…うん。好きだよ?」

嚙み合ってねえだろっ

快感が過ぎて怖くて、身体をひねってしがみつく俺をウルフは優しく受け止め、でも容赦なく突き上げる。絶妙な角度と深さが新しい刺激と快感を連れてきて、もう訳が分からず声にならない。快感のメーターはとっくに振り切れているのに溶けても溶けても感じてしまう自分が怖い。

ウルフを想う気持ちに限度はなく、ウルフがくれる快感も限界を超えていく。

溶けて。溶け落ちて。俺とウルフの境界を越えて。
上も下も真ん中もぴったり一つに繋がって。
どこまでが自分でどこまでがウルフか分からなくなる。この限りない至福の時に何もかもが溶け切って、ウルフとの繋がりだけが全てで、ウルフを想う気持ちだけが全てになる。

もし、そこから世界が生まれたのなら、
世界は愛でできているのかもしれない。
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