秘密の令嬢は敵国の王太子に溶愛(とか)される【完結】

remo

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番外編Ⅰ. そんなバレンタインデー

【後編】そんなお決まりのふたり

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こちらはライが橙龍国に連れていかれる前。
青龍国王宮でウルフといちゃいちゃ過ごしていた時の一幕です。
番外編としてお気軽にお楽しみいただけましたら幸いです。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――



「だ、…っ、からっ! そんなとこ、舐めんなって、…っ」
「お前の身体で舐めてないところなんて一つもないが」
「んなこと威張いばんなよっ!!」

俺をたどるウルフの舌が、手が目が吐息が、熱くて甘くておかしくなりそうだ。

バレンタインデー当日。
ウルフに連れ込まれた居室内の浴室は、まさかのチョコレート風呂になっていて、芳醇ほうじゅんなチョコレートの香りが浴室いっぱいに立ち込めていた。チョコレートに含まれているポリフェノールに抗酸化作用があるとか、カカオに保湿効果と血行促進効果があるとか、よく分かんないけど身体に良いということで、チョコレート色のお湯の中に突っ込まれた。

「ちゃんと中からも摂取しないとな」

甘い匂いの立ち込めるチョコレート原料の湯に浸かると、単純に甘美な気分になってきて、そこにすかさずウルフの滑らかな肌がこすれるから、ついさっきまでウルフと繋がっていたのに、またすぐに欲しくなってしまう。ウルフをねだって擦り寄ると、焦らすように甘く笑ったウルフにチョコレートトリュフを口に入れられた。

「チョコはさっき食べたじゃん」

ウルフに内緒で夜中に作ったミントチョコレートを、こっそり部屋に戻ってから、あさイチで何事もなかったかのように渡すと、ウルフは眩しすぎる笑顔で受け取ってくれた。

「美味い、ありがとう」

俺の作ったゲンコツみたいなミントチョコレートを、本当に嬉しそうに食べてくれて、なんでか当然みたいに俺にも口移しで分けてくれて、味は宮廷厨房責任者のナムラが手伝ってくれたから完璧だったと思うんだけど、絡まる舌と刻まれる律動に速攻で訳が分からなくなって、…後に残ったミントの爽快感しか記憶にない。

「バレンタインデーだからな。俺からも渡したい」

お返しはホワイトデーじゃないのかな、とちらりと思ったけど、ウルフに放り込まれたトリュフは、中にオレンジピールが入っていて、酸味と苦みが絶妙で、蕩ける柔らかさも舌触りもちょうどよくて、

「うまっ、おかわりっ」

思わず堪能して、おかわりをねだってしまった。

「まあ、早く食べないと溶けるからな」

ウルフは次々に俺の口にチョコレートトリュフを放り込み、中にはドライピーチやホワイトストロベリーのチョコもあって新鮮な感動に打ち震えた。

「すげー、美味いっ!!」
「…良かった」

チョコレートトリュフを満喫した俺を優しい顔で引き寄せると、ウルフが徐にキスをした。

「まあまあかな」

俺の舌を味わって肩をすくめたウルフに、

「もしかして、お前が作ったの!?」

本気で驚いたんだけど、ウルフは口の端で浅く笑って、俺にキスを繰り返した。マジで、マジか。くっそ、こいつ、スペック高すぎるだろう! こんな本格スイーツを作れるくせに、俺のげんこつミントチョコを本気で嬉しそうに食べてくれる。そりゃあみんな好きになるよな、…

ウルフに対する好きがまた加速する俺を、ウルフの唇がついばむ。

甘くてくすぐったくて気持ちよくて物足りなくて、

「ウルフ、…」

自分から舌を伸ばした。

「お前はどこも、本当に甘いな」

ウルフが笑って舌を絡ませ、チョコレート色の湯の中で、俺の身体を滑らせる。まろやかなお湯と滑らかな肌に瞬く間に心地よさが立ち昇り、ウルフと擦れ合っているだけなのに、軽く弾ける。

「あ、…ウル、…っ」

ウルフの手のひらと指とチョコレートの湯が、敏感になった俺の身体を隅々まで撫でるから、また立て続けに弾けてしまう。甘やかな官能に涙でにじむ俺に視線を這わせながら、ウルフの舌が俺の身体に絡みついた。

本当に、全部。
耳の先端も指の爪も、あらゆるところをウルフの舌がたどり、チョコレートの香りとまろやかな湯ざわりに刺激されて、感覚が爆発する。舌先だけで何度砕け散ったか分からない。

怖いくらい溢れてるのに、まだ受け入れさせてもらえない身体の中心が熱くて欲しくておかしくなる。

「ウルフ、…っ、ウルフ、…っ! も、無理、むり、…っ、もう、欲しいっ」

泣き喘いで懇願する俺を、待ち焦がれた一突きでウルフが深々と貫く。
いつも極限だと思うけど、更に高く深く果てしなく、ウルフに導かれて至上の幸福に溶ける。真っ白にスパークして、ウルフしか見えなくて、ウルフしか感じられなくて、とめどなく沸き起こる快感の嵐に飲み込まれる。

「来年もまた、一緒にバレンタイン祝おうな」

ウルフの甘くかすれた低い声が愛しくて、愛しすぎて、涙が止まらなかった。
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