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secret.Ⅱ
09.
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「なあ、どうしても行くのか? 俺は全然お勧めしないぞ? なあ、俺も行った方がいいんじゃないか? 本当についていかなくていいのか?」
ウルフの後宮とやらに乗り込む気満々な俺に、ウルフは浮かない顔をして俺の周りでそわそわしている。女癖の悪さを暴かれるのが心配なのかと思ったけど、
「…くれぐれも妙な気を起こすなよ? お前は女で、相手も女なんだからな?」
ポイントがずれているような気がする。
「だから何だよ?」
俺が女相手に暴れるとでも思ってんのか。
ウルフはよく分からないことをぶつぶつつぶやいて、執拗に俺を貪る。今日はこれからミラベル嬢をはじめとしたウルフの愛妃に会いに行き、後宮におわすお姉さま方と楽しくお茶会をする、というイベントが催されるのだが、ウルフが俺を離さない。
「だから、…っ」
ウルフがもどかしそうに俺を揺らす。
夜通しずっと繋がってたのに全然足りないみたいに、乱暴なまでに激しく俺をかき回し、注ぎ込んで、溢れさせて、果てしなく俺を吹き飛ばす。狂いそうなほどの快感に襲われて、何が何だか分からなくなって、何度も懇願するのに止めてくれない。
「…ウ、…ルフっ、…も、無理、…って」
快感の激流に放り出されて、真っ白に弾けた世界に一人惑う。ウルフだけが俺のよすがなのに。ウルフは何度も何度も俺を穿ち、快感に叩き落として、執拗にウルフを刻み付ける。もう俺は、頭のてっぺんから足の爪先までウルフでいっぱいで、ウルフしか残っていない。
「俺だけ見てろ」
俺を満たすウルフの声は少し切なくて、ずっとこのままウルフと繋がっていられるなら、もうそれだけでいいかもしれない、などと思えてくる。本当は俺だって傷つくだけだって分かってる。ウルフには俺の知らない顔がある。綺麗なお姉さんたちとどんな愛欲の時を過ごしてきたのかなんて、知らない方がいいに決まってる。
けど。
俺にはウルフしかいないのに。
とっくにウルフしか見えないのに。
ウルフばっかずるい。
俺だって。ウルフを俺でいっぱいにしたい。
願わくは、朝も昼も夜も俺のことだけ考えて、俺しか見えなくなればいい。
「…俺だって、お前しか知らないわけじゃねえしな」
なんて。
たいそうな野望を抱きながらちょっぴり探りを入れてみたら、ウルフにがっちりつかまれた。
「おい、もう、支度、…」
さすがにこんなウルフ臭満載で後宮に出向くわけにはいかねえだろ。
「もう一回言ってみろ」
と、思うのに、仰向けにベッドに押し倒されて、長身のウルフに上から抑え込まれた。
「誰の、何を知ってるって?」
後宮に行くにあたり、風呂入ったり、塗りたくったり、着替えたり、髪をどうにかしたりしなきゃならないのに、青い瞳を剣呑に光らせて、俺をベッドに縫い留めるウルフから目を逸らせない。
「だ、…から。…した、こと、ある、…って」
言い方を間違えた。いや、言うタイミングを間違えた。
俺のような初心者がウルフみたいな熟練エキスパートを焦らせたいとか大それた野望を持ったのがそもそも間違いだった。
「…誰と、何をしたって?」
ウルフの迫力が凄い。
氷点下の吹雪に見舞われて心臓が凍り付く。なまじ顔面が美麗なせいで、静かな物言いが似合い過ぎて怖い。有無を言わせぬ無言の圧力に動けなくなる。余計な探り入れるんじゃなかったとか後悔しても後の祭りだ。
誰ともしてねえよ。全部お前が初めてだよっ
と、やけくそに叫びそうになって閃いた。
「…キ、ス」
そうだ、俺。キスしたことあるんだ。この間夢に見て思い出した。
俺の初キス。…ぎりキスだよな?
「キス?」
ウルフの声が一オクターブ下がる。もともと低いけど。なんか地を這うような低さというか。全身に痺れるというか。下半身に響くというか。
「…へえ?」
ウルフの長い指が俺の唇の輪郭をたどった。一点しか触れていないのに、瞬く間に熱が広がる。押されてなぞられて摘ままれて膨らむ。ウルフは指先一つで俺を虜にする。
ウルフの後宮とやらに乗り込む気満々な俺に、ウルフは浮かない顔をして俺の周りでそわそわしている。女癖の悪さを暴かれるのが心配なのかと思ったけど、
「…くれぐれも妙な気を起こすなよ? お前は女で、相手も女なんだからな?」
ポイントがずれているような気がする。
「だから何だよ?」
俺が女相手に暴れるとでも思ってんのか。
ウルフはよく分からないことをぶつぶつつぶやいて、執拗に俺を貪る。今日はこれからミラベル嬢をはじめとしたウルフの愛妃に会いに行き、後宮におわすお姉さま方と楽しくお茶会をする、というイベントが催されるのだが、ウルフが俺を離さない。
「だから、…っ」
ウルフがもどかしそうに俺を揺らす。
夜通しずっと繋がってたのに全然足りないみたいに、乱暴なまでに激しく俺をかき回し、注ぎ込んで、溢れさせて、果てしなく俺を吹き飛ばす。狂いそうなほどの快感に襲われて、何が何だか分からなくなって、何度も懇願するのに止めてくれない。
「…ウ、…ルフっ、…も、無理、…って」
快感の激流に放り出されて、真っ白に弾けた世界に一人惑う。ウルフだけが俺のよすがなのに。ウルフは何度も何度も俺を穿ち、快感に叩き落として、執拗にウルフを刻み付ける。もう俺は、頭のてっぺんから足の爪先までウルフでいっぱいで、ウルフしか残っていない。
「俺だけ見てろ」
俺を満たすウルフの声は少し切なくて、ずっとこのままウルフと繋がっていられるなら、もうそれだけでいいかもしれない、などと思えてくる。本当は俺だって傷つくだけだって分かってる。ウルフには俺の知らない顔がある。綺麗なお姉さんたちとどんな愛欲の時を過ごしてきたのかなんて、知らない方がいいに決まってる。
けど。
俺にはウルフしかいないのに。
とっくにウルフしか見えないのに。
ウルフばっかずるい。
俺だって。ウルフを俺でいっぱいにしたい。
願わくは、朝も昼も夜も俺のことだけ考えて、俺しか見えなくなればいい。
「…俺だって、お前しか知らないわけじゃねえしな」
なんて。
たいそうな野望を抱きながらちょっぴり探りを入れてみたら、ウルフにがっちりつかまれた。
「おい、もう、支度、…」
さすがにこんなウルフ臭満載で後宮に出向くわけにはいかねえだろ。
「もう一回言ってみろ」
と、思うのに、仰向けにベッドに押し倒されて、長身のウルフに上から抑え込まれた。
「誰の、何を知ってるって?」
後宮に行くにあたり、風呂入ったり、塗りたくったり、着替えたり、髪をどうにかしたりしなきゃならないのに、青い瞳を剣呑に光らせて、俺をベッドに縫い留めるウルフから目を逸らせない。
「だ、…から。…した、こと、ある、…って」
言い方を間違えた。いや、言うタイミングを間違えた。
俺のような初心者がウルフみたいな熟練エキスパートを焦らせたいとか大それた野望を持ったのがそもそも間違いだった。
「…誰と、何をしたって?」
ウルフの迫力が凄い。
氷点下の吹雪に見舞われて心臓が凍り付く。なまじ顔面が美麗なせいで、静かな物言いが似合い過ぎて怖い。有無を言わせぬ無言の圧力に動けなくなる。余計な探り入れるんじゃなかったとか後悔しても後の祭りだ。
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と、やけくそに叫びそうになって閃いた。
「…キ、ス」
そうだ、俺。キスしたことあるんだ。この間夢に見て思い出した。
俺の初キス。…ぎりキスだよな?
「キス?」
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「…へえ?」
ウルフの長い指が俺の唇の輪郭をたどった。一点しか触れていないのに、瞬く間に熱が広がる。押されてなぞられて摘ままれて膨らむ。ウルフは指先一つで俺を虜にする。
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