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secret.Ⅱ

06.

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「…ほ、…っ」

欲しいに決まってんだろ、この薄らトンカチっ!!
妙なSっ気出してないで、さっさとよこせよっ

と、叫ぶ寸前で何とか思い留まった。

…外じゃん。

日も暮れかけたとはいえ、外。遮るものが何もない、野外。まんま、野ざらし。残光に街の明かりがあちこち灯されるのが見える。緑の匂いがする。木立を抜ける風を感じる。

「…む、り、…っ」

そうだ、俺。ちょっと待て。
いくら何でもこんなところで。まごうことなく外、かつ、馬上。
馬上とかお前っ、なんつーシチュエーションだよ!? さすがにシーザーにも申し開きが出来ないだろう。

と思う俺を煽るように、シーザーが力強く蹴り出し、俺を揺らす。

何すんだ、シーザー。そんな、したら、我慢できなくなるだろうっ!?

「…レイ?」

ウルフが蕩けるように甘い声で俺を呼ぶ。ずるい。ウルフは俺の弱いところを熟知している。もう俺は、ウルフの声だけで感じる。耳たぶが熱い。俺に触れるウルフの手も足も胸板も、指も唇も舌も吐息も、快感が過ぎて俺の理性を崩壊させる。

「ウル、フ、…っ」

ぎりぎりで焦らされる。届きそうで届かない。
もっと。早く。もっと。頼むから。
もっと。深く。もっと。奥まで。もっと。たくさん、…

だって俺はその先を知っている。何ものにも代え難い恍惚の瞬間。ウルフが俺の一番奥深くで繋がって弾け合って飛び散る。至上の快感に砕け散る狂喜。

「…む、り、…っ、…でも、…欲し、…っ」

ウルフをねだって声が濡れる。耐え切れずに涙がこぼれる。

「…泣くな。全部お前にやるから」

ウルフが俺の涙を舐めとって、同時に一突きでぴったりと奥まで俺を満たした。

瞬間、凄まじい快感が爆発して、自分が吹き飛ばされた。目の前が真っ白に弾けて、いくつもの波に砕けて、叫び声を上げていた。すごい。こんな。熱が。熱さが。砕けても砕けても終わらない。想像を絶する快感に爆発が止まらない。何度も何度も繰り返される快感に我を忘れた。

シーザーが、やってらんねえぜとばかりに、フンっといななく。

違うって、俺じゃねえって。お前の主人が度を超えたエロ魔王なんだって。

と、釈明したいけど、喘ぎの絶叫はウルフに塞がれ、快感に粉砕される身体はウルフに繋ぎ止められている。

「な、…無理っ、もう、…無理っ」

想像の遥か上をいく快感に怖くなる。こんな凄まじい衝撃、感覚が壊れる。俺じゃなくなる。もう元に戻れない。

「こわ、…れるっ、…こわ、い、…って」

自分が何を口走っているか定かではないが、快感の大暴流に投げ込まれて、ウルフだけが最後の砦なのに、そのウルフが更に奥の奥まで深々と俺を貫いてくるから、もうどこにも逃げられない。

「ウ、…ルフ、…っ」

泣きながら懇願する俺に、

「うん? 大丈夫だよ? ごめんな。俺は抑えようとしてるんだが、シーザーが俺を突き上げてくるから、…」

ウルフが飄々ひょうひょううそぶく。

ふざけんな、ぜってーわざとじゃん!
もう、無理。無理っ、声が、…声が止まんね、…っ

泣き喚く俺に首を回して、ウルフが唇で唇を塞いだ。止まらない喘ぎがウルフの中に飲み込まれていく。

身体を捻って密着しているせいで、いつもよりもっと、ずっと奥までウルフを感じる。それが疾走の振動に限界まで突き入れられ、ふいに引かれたかと思うと、また一息に穿たれる。その激しさが、緩急が、限界を超えた繋がりが、…

死ぬほど気持ちいい。

野外で。風が頬をくすぐって。木々のざわめきが聞こえて。遠くの街も見渡せて。なんならそこここに人の気配があって、日常の会話も想像できるような、そんなのどかな夕暮れなのに。

馬上で。二人乗りして、ただ乗馬してるだけのような顔をして、服の下を密かにさらして、これ以上ないほどしっかり結び付いているなんて。ウルフに奥の奥まで穿たれて死ぬほど気持ち良くなっているなんて。

この上ない羞恥心と背徳感に、…
信じられないくらい感じてしまった。
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