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secret.Ⅱ

01.

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「…、で。どの辺がレイ姫じゃないんだ?」

「お、前っ、…んなとこでしゃべんなよっ」

俺の身体の中心を舐めながら、ウルフが囁きかける。

快感に痙攣して敏感に腫れ上がった股の間に使い慣れた重みはなく、代わりに嬉々としてウルフを受け入れることのできる穴がある。そこに奥深くまでねじ込まれたまま、否応なく全身をさらけ出して、ウルフに撫でられ、舐められ、囁きかけられている。かんがみるに、クソみそに恥ずかしい格好でウルフと繋がっている。

「めちゃくちゃ喜んで俺を欲しがってる。濡れて震えて溢れかえってる。可愛いな」

「解説すんなっ」

ウルフがついばむようなキスを繰り返し、俺はその些細な刺激にさえ敏感に反応して、どうしようもなく続く絶頂の波から逃れられない。肌の温度も唇も舌も吐息も、ウルフの全てが俺に快感を刻み込む。ウルフに刻み込まれた俺の身体は、ウルフの髪の匂いにさえ濡れてしまう。

心なしかS度が増したウルフは、俺を快感の渦潮に叩き込みながら、俺が恥じらうのを楽しんでいる節がある。このドS! エロ魔王!

「ちゃんと繋ぎとめてないとお前は暴走するからな。なあ、もっと欲しいだろ?」

「も、…っ」

もう無理だという甘い悲鳴はウルフの唇に飲み込まれた。
そのまま、長い舌を喉の奥までねじ込まれ、上も下も繋がって、身体中どこも、腕も足も絡まり合って、一ミリの隙間なく密着して、爆発する快感に弾き飛ばされる。喘ぎの絶叫も止められない絶頂も炸裂する身体も、全部ウルフが受け止めてくれる。形をなくした俺はウルフに溶けだしてウルフに繋ぎ止められる。ウルフと繋がっているところだけで、俺は存在する。



「ウルフ様にはお前を癒やす力がある。お前に与えられたのは、ウルフ様の精気の結晶じゃ」

「…精液??」

聞き返したら、すぱこーん、と婆に頭をはたかれた。痛えよ、何すんだ。

ウルフの居室の窓から落ちた俺は、気づいたらまた女の姿になって婆に見舞われていた。俺が無傷で済んだのはとっさに助けに出たウルフが、その精え、…精気? の結晶とやらを飲ませたかららしい。

「お前たちは互いに補い癒し高め合う存在。唯一無二のなくてはならない存在じゃ。お前の身体が変化するのはそれを成しえるのに必要じゃからじゃろう」

「…でもそれ、本当はレイが受け取るはずだったんだろ?」

婚姻前夜、逃亡する前にレイが俺に飲ませたのも、ウルフからたまわった? ものらしい。ウルフはレイが好きで、レイと結婚するつもりだったんだもんな。媚薬みたいな働きをしてレイとがっつり結ばれるはずだった。それを俺が邪魔して、でも俺は男だからウルフを受け入れるために女になった、…

精気の結晶ってのは、お互いに都合のいいように作用するってことか?

「本来、とはどの時点で見るかによって変わるものじゃ。お前がどうしたいのか、自分の心に従って決めるが良い。これは時流を見定めてきた我が満月ハニームーン一族のたどり着くべき形なのやもしれぬ」

婆の論理はよくわからないけど、俺を慰めてくれているのは分かる。
とりあえず女の姿だったら、このままここにいても当面何も問題はないわけだけど。

「お前が真実を明かしたいのならばわしは止めぬ。裁きが下されるなら共に受けよう。一人で、生き急ごうとするでない」

俺がレイとしてここに留まっていた方が、婆も安全だし本物のレイも見つかりにくくなるわけだけど。

婆の慰めに、良心、のようなものがぐらぐら揺れる。

「…その、精気の結晶ってやつ。またもらえるかな?」

「お前が望めば与えてくださるじゃろうし、ウルフ様と交わり続けていればその効力は強くなるじゃろう」

さらりと言われて顔面から火を噴いた。
俺とウルフがヤリまくってるって婆にバレてる。いや待て。結婚した夫婦はねやから出ないとか言ってたよな? つまり。俺とウルフがヤリまくってるってこの国の全国民にバレてる、…

「お前もレイも、心のままに生きて良いんじゃよ」

羞恥に駆られて布団に潜り込んだ俺を、婆は布団の上からポンポン撫でた。
幼い時によくしてくれていたのと同じ、婆の手のひらは優しかった。
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