秘密の令嬢は敵国の王太子に溶愛(とか)される【完結】

remo

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secret.Ⅰ

02.

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身体の奥が熱い。
得体のしれない硬くて大きなものに穿うがたれて息ができない。

「大丈夫だ。泣くな」
「泣いて、ねえ、…」

言葉とは裏腹に涙がポロポロ頬を伝い落ちる。

しっとりとした張りのある肌にがんじがらめに包まれて、逃れようともがくのに一ミリも動けない。一糸まとわぬ状態で、鋼のように引き締まった身体に抑え込まれ、身体の全てを開かれて、余すところなくさらしながら、中心に途轍とてつもなく大きな熱量のものを奥深くまで受け入れている。腹の底の方で深くしっかりつながっていて、そいつがわずかに揺れるだけで身体中の細胞が波打つ。得も言われぬ快感に。

「…泣くな。止まれなくなる」

俺の身体を押し開きながら、少し困ったようにやたら美麗な顔をしかめているのはまだ若い男で、その割に屈強な肢体をもって、思うがままに俺を揺らす。奥深くまで貫かれているせいで、その男が放つわずかな息遣いにも俺の全身は反応してしまう。その低い声にも。寄せられる甘やかな唇にも。俺をたどる長い指にも。滑らかな手のひらにも。

「ちょ、…待て、…って」

止まれないんだか止まる気がないんだか、俺をしっかり繋ぎ止めながら揺らす男のせいで、身体が途方もない熱量に押し上げられていく。みるみるうちに高まって、信じられないような快感が押し寄せ、手足の指一本一本にまで沁み渡って、痺れるような歓喜にとめどなく喘いでしまう。自分がどんな状態でどんな声を上げているのか、感覚が追い付かない。俺を包み貫く熱量と、喉奥にまで差し込まれた長く甘い舌に翻弄されて、いまだかつて感じたことのない圧倒的な快感に身体が弾け飛ぶ。

「や、…っ、う、…っ」

気持ち良すぎて怖い。自分が自分じゃなくなりそうで目の前の男に必死でしがみつくと、男は俺の背中に回した長い腕でしっかりと俺を抱き寄せ、

「ウルフだ。大丈夫。俺はここにいる」

低い声で耳をくすぐる。
涙の向こうにウルフを見上げると、ウルフは深い青い瞳を煌めかせて優しく笑い、俺を快楽の滝つぼに叩き落とした。

「…ウルフ、…っ」

とめどない快感に呑まれて、身体の奥が立て続けに弾けて止まれない。ウルフの滑らかな手が、長い舌が、絡められた足が、交わる腰が、俺に触れるウルフのすべてが気持ちよくて、身体がドロドロに溶けて蕩けて溢れ出す。それなのに、まだもっとずっと深い快楽を与えられて、もうどうしようもなくウルフにすがる。

「ウ、…ルフ、ウルフ、…っ」
「うん。大丈夫だ。大丈夫だよ、ラ、…」

ウルフと交わって、一ミリの隙間もなく繋がって、注ぎ込まれて溢れて、混ぜ合わされて弾けて、身体中隅々まで満たされて、どこまでが俺でどこからがウルフか分からない。

「…レイ、愛してる」

ウルフの声も匂いも形も、息遣いもしなやかさも、すべてが心地いい。当の昔に思考は溶かされて、ただただ貪欲にウルフを求める。繰り返し繰り返し、穿たれるたびに高まる快感に、注がれ続ける熱に、交わり溶けてねだって溢れて、この上なく激しく満たされた。
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