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iiyori.08
03.
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真っ暗な地下の入り組んだ坑道を走り抜け、迷路のように幾重にもある分かれ道を適当に曲がり、息が続かなくなるまで走り回った結果。
多分、法師と弟子たちの追跡も撒いたけど、自分自身も完全に迷子になった。
ていうか、ここどこだし!?
思ってた100倍くらい地下は広かったし!?
法師たちは私を捜して他の地下牢も見て回ったようだったけど、もしかしたら地下牢は中で全部繋がっているのかもしれない。それほどに広いし、ここはお城だから、緊急時の脱出用とかで地下に通路が作ってあるのかもしれない。
ということを一応想定して地下の更に奥の方に逃げたわけだけど、思っていた以上に出口に当たらない。このまま地下で野垂れ死ぬという可能性も、ないとは言い切れなくなってきた。
全力で散々走り回って、疲れも限界に達してる。へたり込まないよう気力で足を動かすのがやっと。肩で息をする。黴臭いとか埃臭いとか文句は言えない。空気吸えるだけ有難い。
暗闇の中では時々光る眼があったり、バサバサいう羽音があったり、キーキー耳障りな鳴き声があったりする。
法師の弟子がネズミの大群に追いかけられたとか言ってたけど、まさにそれっぽい集団に遭遇したし、詳細は知りたくない虫たちにも次々接触するし、だからと言って悲鳴を上げるわけにもいかないし。唇を噛んで耐えるしかない。
気持ち悪い気持ち悪い誰か助けて。
暗い。怖い。苦しい。もうヤダ。
メンタルはとっくに崩壊している。
ただ、…穂月に会いたい。
それだけで前に進んでいる。
穂月は今、どこで何をしているんだろう。
三姫のこと、私だと思っているのかな。
どうしてスマホがないんだろう。今すぐ。すぐに。連絡取りたいのに。
喉が渇いて涙も出ない。どこに向かっているかもわからない。それでも行かなきゃ。足を止めたら終わりだ。
這うように進んでたら、不安定な足元に蹴躓いて派手に転んだ。立ち上がらなきゃと思ったけど、力が出ない。ダメージが半端ない。どのくらい歩いたのか、朝なのか夜なのか、今何がどうなっているのか、まるで分からない。
分かるのは、ここが戦国時代の城の地下で。
暗く閉ざされて土埃と黴と湿気にまみれて。気味の悪い虫と小動物がうじゃうじゃいて。早く進まなきゃいけないのに、もうどうにも立ち上がれないってこと。
やだな、穂月。
こんな誰にも見つけてもらえない不気味なところで一人ぼっちでいなくなるのは。
「…―――え、…―――っ」
穂月に間者と思われたままいなくなるのは。
「…な、…―――、…―――っ」
本当は、穂月に会いに来たんだって。
穂月みたいに時空を超えてきたんだって。ちゃんと伝えてからいなくなりたかった。
「…―――な、…―――なえ、…――――――っ」
目が回って意識が混濁してきた。
私を呼ぶ穂月の声が聞こえたような気がしたけど。
私を見つけた法師たちの声かもしれないし、空耳かもしれないし、
最後に抱いた身勝手な願望だったのかもしれない。
多分、法師と弟子たちの追跡も撒いたけど、自分自身も完全に迷子になった。
ていうか、ここどこだし!?
思ってた100倍くらい地下は広かったし!?
法師たちは私を捜して他の地下牢も見て回ったようだったけど、もしかしたら地下牢は中で全部繋がっているのかもしれない。それほどに広いし、ここはお城だから、緊急時の脱出用とかで地下に通路が作ってあるのかもしれない。
ということを一応想定して地下の更に奥の方に逃げたわけだけど、思っていた以上に出口に当たらない。このまま地下で野垂れ死ぬという可能性も、ないとは言い切れなくなってきた。
全力で散々走り回って、疲れも限界に達してる。へたり込まないよう気力で足を動かすのがやっと。肩で息をする。黴臭いとか埃臭いとか文句は言えない。空気吸えるだけ有難い。
暗闇の中では時々光る眼があったり、バサバサいう羽音があったり、キーキー耳障りな鳴き声があったりする。
法師の弟子がネズミの大群に追いかけられたとか言ってたけど、まさにそれっぽい集団に遭遇したし、詳細は知りたくない虫たちにも次々接触するし、だからと言って悲鳴を上げるわけにもいかないし。唇を噛んで耐えるしかない。
気持ち悪い気持ち悪い誰か助けて。
暗い。怖い。苦しい。もうヤダ。
メンタルはとっくに崩壊している。
ただ、…穂月に会いたい。
それだけで前に進んでいる。
穂月は今、どこで何をしているんだろう。
三姫のこと、私だと思っているのかな。
どうしてスマホがないんだろう。今すぐ。すぐに。連絡取りたいのに。
喉が渇いて涙も出ない。どこに向かっているかもわからない。それでも行かなきゃ。足を止めたら終わりだ。
這うように進んでたら、不安定な足元に蹴躓いて派手に転んだ。立ち上がらなきゃと思ったけど、力が出ない。ダメージが半端ない。どのくらい歩いたのか、朝なのか夜なのか、今何がどうなっているのか、まるで分からない。
分かるのは、ここが戦国時代の城の地下で。
暗く閉ざされて土埃と黴と湿気にまみれて。気味の悪い虫と小動物がうじゃうじゃいて。早く進まなきゃいけないのに、もうどうにも立ち上がれないってこと。
やだな、穂月。
こんな誰にも見つけてもらえない不気味なところで一人ぼっちでいなくなるのは。
「…―――え、…―――っ」
穂月に間者と思われたままいなくなるのは。
「…な、…―――、…―――っ」
本当は、穂月に会いに来たんだって。
穂月みたいに時空を超えてきたんだって。ちゃんと伝えてからいなくなりたかった。
「…―――な、…―――なえ、…――――――っ」
目が回って意識が混濁してきた。
私を呼ぶ穂月の声が聞こえたような気がしたけど。
私を見つけた法師たちの声かもしれないし、空耳かもしれないし、
最後に抱いた身勝手な願望だったのかもしれない。
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