戦国男子高校生に言い寄られてます!?【完結】

remo

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三姫の一人酒宴会が滞りなく終わり、消えていなくなってしまうと、地下牢にはまた元の不気味な静寂が戻った。

はあ、やれやれ。
お騒がせな幽霊、…じゃなくて実体だったな、三宮さん、…

と、無意識にため息を吐きかけて、我に返る。

やれやれしている場合じゃないよね!?

三姫のおかげで何が起こっているのか理解はできたけど、自分の置かれている状況はまるで変わっていない。酒飲みの愚痴を聞かされただけで、未だろくに動けず、しゃべれず、閉じ込められたまま、明日の処刑を待つという、…絶望的な状況には、何の変化もないわけで。

あの酒豪、どうせ実体なら縄の一本くらい切ってってくれればいいのに、…と、恨みがましく思っても後の祭り。

「はんひへ――、はんひへっへは―――っ」

役に立たない幽霊だな、おいっ
と、挑発してみても、戻ってくる気配はなかった。使えない。

しかもあの人、私の姿で穂月を夜這うとか恐ろしいこと言ってなかった!?

『今夜も来いよ』

穂月を、…夜這う??

穂月はなんか、基本いつもウェルカムモードだし、『夜は娼婦』が本気出して迫ったら、ひとたまりもないっていうか、めっちゃ盛り上がってしまうのでは??

29歳まで何の経験も技術もなく、遠い過去でちゃっかり青春やり直し的な幸運に恵まれているちんけな石ころ(←微妙に根に持っている)より、ずっと濃密で楽しい一夜になってしまうのでは??

自分の想像に自分で刺された。

痛い。胸が痛い。苦しい。息が止まる。
穂月があの目で、手で、唇で。私にしたみたいに。甘い声音で名前を呼んで、宝物みたいに優しく触る。なんて、そんなの嫌だ。絶対嫌だ。

なんとなく。
穂月の『なえ』はやっぱり私で、このまま穂月の唯一のなえとして過ごしていけるような気がしていた。

だけど。
穂月が三姫をなえと思って共に過ごしていったら、やっぱり三宮さんが本物のなえだったってことも、普通にあり得る。

私と穂月の関係には何の保証もない。
今も昔も確かなものなんて何もない。

牢屋の石床の冷たさが身に沁みる。

でも。それでも。
私が穂月の唯一じゃなくても、穂月は私の唯一なんだよ、…

どうしようもない焦りと悲しみに涙がこみ上げ、

『どうじゃ? 良いであろう? 羨ましかろう、悔しかろう、ほ~れほれほれ、もっと悔し涙をこぼすが良い!!』

同時に、三姫の煽り声が甦った。
その途端、悲しみよりも腹立たしさが猛烈に込み上げてきて、急に不屈の闘志が湧いた。

いや、泣いてる場合じゃないわ。何が何でも止めてやる。
こんなところで黙ってなされるがままだと思うなよっ!!
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