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iiyori.06
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「眠れないのか」
白い薄絹の寝着に着替えて、柔らかいお布団に入り、穂月の腕の中にいる。穂月の心臓の音が聞こえて、薄絹の向こうに穂月の温もりとしなやかな身体のラインを感じる。穂月の長い指が私の髪を梳いて、穂月の甘い息がかかる。
みたいなこの状況で、ぐ~すか寝れるわけありますかって!!
「温泉は気持ち良かっただろ?」
穂月がからかうように私の額に唇を寄せた。
それで、否が応でも思い出す。温泉っっ
穂月の部屋で食事を頂いた後、人目を忍んで屋敷を離れ、馬に乗って隠し湯らしきところに連れて行ってもらったのだけど。
「…穂月のバカ」
穂月を上目で見ると、私を抱えている穂月の胸が揺れて、穂月が笑っているのが分かった。
「また連れて行ってやる」
楽しそうな穂月の唇が瞼に触れて、身体中の細胞が穂月の熱を思い出して沸き立った。
「何もしないって言ったくせに」
「してないだろ? お前が怖がることは」
髪を撫でながら、穂月の唇が私の顔中に降り注ぐ。
ねえ、この人ホントに中学生??
この時代の人は結婚するのが早かったっていうけど、それにしても慣れすぎっていうか、巧すぎっていうかさあ、…
自称29歳のお姉さんは心臓がいくつあっても足りないわけですよ。
若き猛将・穂月率いる志田軍は、敵対勢力との戦闘を終え、遠くに見えていた天守閣がある志田城に帰還する途中、負傷した兵士の湯治のため、山麓の村に陣営を張っているらしい。お祭りのようににぎわっていたのは勝ち戦のお祝いで、今宵ばかりは兵士も自由気まま、好き好きに過ごして良いものらしい。
で、自由な穂月にめっちゃカッコいい軍馬に乗せられ、周りに誰もいない山奥の秘湯みたいなところに連れて行ってもらったんだけど。
「なんで一緒!?」
「…危ないから」
「何が!? ねえ、何が危険!?」
「…洗ってやる」
いや、あんたが一番危険じゃんね??
有無を言わせぬ穂月の迫力に負けて、穂月と一緒に温泉に入ってしまったばかりか、隅から隅まで丸々洗われてしまった。
星明りだけの暗い山の中で、正直なにがなんだかよく見えないし、岩や木の根もはびこっているし、うっかり滑るし、尾てい骨打ちそうになるし、で、確かにまあ危険だったかもしれない。
でもさあ、…
後ろから穂月の脚の間に抱かれて、背中に穂月の引き締まって艶めかしい肌の感触を直接感じるとか、…何の羞恥プレイ!?
穂月は知らないかもしれないけど、私は穂月がどんな風に女の子に触るか知ってるわけで。穂月の手と指と唇が死ぬほど気持ち良くて死ぬほど幸せだってこと、一夜にして刻み付けられてしまったわけで。
だから、なんか、もうさあ、…
「また真っ赤」
穂月がくすぐるように耳を撫でて、私の首筋に口づける。
「な、…っ!?」
瞬時に立ち昇る快感に、ぴくんと身体が跳ねてしまった。
「なえ、…」
それはもちろん密着している後ろの穂月にも伝わってしまうわけで、
「口開けろ」
首を傾けて唇にキスすると、甘い舌を差し入れられた。
穂月の滑らかな肌とまろやかなお湯が緩やかに素肌をくすぐる。深く重ね合わされた唇の中で、奔放に動く舌先に奥深くまで探られて、もうどうしようもなく歓喜が駆け巡って、ただそれだけで、びっくりするほど瞬時に昇り詰めてしまった。
白い薄絹の寝着に着替えて、柔らかいお布団に入り、穂月の腕の中にいる。穂月の心臓の音が聞こえて、薄絹の向こうに穂月の温もりとしなやかな身体のラインを感じる。穂月の長い指が私の髪を梳いて、穂月の甘い息がかかる。
みたいなこの状況で、ぐ~すか寝れるわけありますかって!!
「温泉は気持ち良かっただろ?」
穂月がからかうように私の額に唇を寄せた。
それで、否が応でも思い出す。温泉っっ
穂月の部屋で食事を頂いた後、人目を忍んで屋敷を離れ、馬に乗って隠し湯らしきところに連れて行ってもらったのだけど。
「…穂月のバカ」
穂月を上目で見ると、私を抱えている穂月の胸が揺れて、穂月が笑っているのが分かった。
「また連れて行ってやる」
楽しそうな穂月の唇が瞼に触れて、身体中の細胞が穂月の熱を思い出して沸き立った。
「何もしないって言ったくせに」
「してないだろ? お前が怖がることは」
髪を撫でながら、穂月の唇が私の顔中に降り注ぐ。
ねえ、この人ホントに中学生??
この時代の人は結婚するのが早かったっていうけど、それにしても慣れすぎっていうか、巧すぎっていうかさあ、…
自称29歳のお姉さんは心臓がいくつあっても足りないわけですよ。
若き猛将・穂月率いる志田軍は、敵対勢力との戦闘を終え、遠くに見えていた天守閣がある志田城に帰還する途中、負傷した兵士の湯治のため、山麓の村に陣営を張っているらしい。お祭りのようににぎわっていたのは勝ち戦のお祝いで、今宵ばかりは兵士も自由気まま、好き好きに過ごして良いものらしい。
で、自由な穂月にめっちゃカッコいい軍馬に乗せられ、周りに誰もいない山奥の秘湯みたいなところに連れて行ってもらったんだけど。
「なんで一緒!?」
「…危ないから」
「何が!? ねえ、何が危険!?」
「…洗ってやる」
いや、あんたが一番危険じゃんね??
有無を言わせぬ穂月の迫力に負けて、穂月と一緒に温泉に入ってしまったばかりか、隅から隅まで丸々洗われてしまった。
星明りだけの暗い山の中で、正直なにがなんだかよく見えないし、岩や木の根もはびこっているし、うっかり滑るし、尾てい骨打ちそうになるし、で、確かにまあ危険だったかもしれない。
でもさあ、…
後ろから穂月の脚の間に抱かれて、背中に穂月の引き締まって艶めかしい肌の感触を直接感じるとか、…何の羞恥プレイ!?
穂月は知らないかもしれないけど、私は穂月がどんな風に女の子に触るか知ってるわけで。穂月の手と指と唇が死ぬほど気持ち良くて死ぬほど幸せだってこと、一夜にして刻み付けられてしまったわけで。
だから、なんか、もうさあ、…
「また真っ赤」
穂月がくすぐるように耳を撫でて、私の首筋に口づける。
「な、…っ!?」
瞬時に立ち昇る快感に、ぴくんと身体が跳ねてしまった。
「なえ、…」
それはもちろん密着している後ろの穂月にも伝わってしまうわけで、
「口開けろ」
首を傾けて唇にキスすると、甘い舌を差し入れられた。
穂月の滑らかな肌とまろやかなお湯が緩やかに素肌をくすぐる。深く重ね合わされた唇の中で、奔放に動く舌先に奥深くまで探られて、もうどうしようもなく歓喜が駆け巡って、ただそれだけで、びっくりするほど瞬時に昇り詰めてしまった。
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