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iiyori.05
05.
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あ。なんかヤバい気がする、…
女の勘というか、本能的に察知した。
なんていうかこの男の人たち、色欲の匂いがする。
「あー、…っと、すみませんっ!! 間違えましたぁ、…っっ」
退却必須っ!!
じりじり後ずさりして脱兎のごとく逃げようとするも、
「こら、どこへ行く」
太い腕にあっさり捕まった。
「初めてで怖気づいたか」「なに、少し我慢すればすぐに終わる」
「初物だ、礼もはずむ」「四、五人相手すればよいだけじゃ」
がっちりしたお兄さんに軽く担ぎ上げられ、脇を他の男の人たちにしっかり固められて、いそいそと陣幕の中に運ばれていく。
「ちょ、…っ!? いや、違うんですっ!! 間違いっ!! 間違いですって!!」
ものすごくヤバい気がする。会話と雰囲気から察するに、不吉な予感しかない。みんなそれが当然みたいな軽い感じだし、周りには他にも人が大勢いるのに誰一人として助けてくれる気配がない。
「いやあああ――――っ、離してっ!! 離してぇええええ~~~~~~っ」
危険察知本能が炸裂して、無茶苦茶に手足を振り回し、大声でわめき立てるも、自分で思ってるよりずっと力弱い。
「やだやだ、ちょっとっ!! 誰か通報っ、通報してぇええ――――――っ」
「こら、暴れるな」
それでも必死で抵抗していたら、面倒くさくなったのか、私を担いでいる大柄な男の人にベチンっ!と頬を殴られた。
痛いというより、ショックで身体が固まった。
なんせ今まで平和に生きてきて、殴られたりするようなことはなかったので、理解が追い付かない。
「そうだ、大人しくしていろ」「いい子にしていれば悪いようにはせぬ」
男の人たちが口々になだめ、背中をポンポン叩いたけど、ぞわっとしたおぞまじさに全身が震え、反射的に涙が溢れた。
嫌だ、怖い。
恐怖に竦んで身体が動かない。声も出せない。
陣幕を抜けるとその先には由緒ある旅館のようなお屋敷が続いていて、そこに入ると離れ部屋のような一室に連れ込まれた。
「特別に屋敷の中だ」「寝具もある」
「終わったら休んで帰って良いぞ」
温情に感謝しろみたいな空気出してくるけど、何にも良くない。
男の人に部屋の中に降ろされるなり、本能的に後ろ手に飛びのいたけれど、直ぐに壁にぶつかった。逃げられない。追い詰められた。
「生きのいい女子じゃ」「まあ無反応なのもつまらぬし」
男の人たちが吞気に笑いながら迫ってくる。
犯罪を犯しているという意識は全くないようで、ごく日常の当然のことのような雰囲気があり、それがとても怖かった。救いようがない。
「…、き」
男の人に足をつかまれ、仰向けに引きずられた。
生理的な嫌悪感と恐怖と絶望にボロボロ涙が零れ落ちる。
「穂月ぃいいい~~~~~っっ!!」
もう終わりだと思った時、浮かんだのは穂月の顔だった。
女の勘というか、本能的に察知した。
なんていうかこの男の人たち、色欲の匂いがする。
「あー、…っと、すみませんっ!! 間違えましたぁ、…っっ」
退却必須っ!!
じりじり後ずさりして脱兎のごとく逃げようとするも、
「こら、どこへ行く」
太い腕にあっさり捕まった。
「初めてで怖気づいたか」「なに、少し我慢すればすぐに終わる」
「初物だ、礼もはずむ」「四、五人相手すればよいだけじゃ」
がっちりしたお兄さんに軽く担ぎ上げられ、脇を他の男の人たちにしっかり固められて、いそいそと陣幕の中に運ばれていく。
「ちょ、…っ!? いや、違うんですっ!! 間違いっ!! 間違いですって!!」
ものすごくヤバい気がする。会話と雰囲気から察するに、不吉な予感しかない。みんなそれが当然みたいな軽い感じだし、周りには他にも人が大勢いるのに誰一人として助けてくれる気配がない。
「いやあああ――――っ、離してっ!! 離してぇええええ~~~~~~っ」
危険察知本能が炸裂して、無茶苦茶に手足を振り回し、大声でわめき立てるも、自分で思ってるよりずっと力弱い。
「やだやだ、ちょっとっ!! 誰か通報っ、通報してぇええ――――――っ」
「こら、暴れるな」
それでも必死で抵抗していたら、面倒くさくなったのか、私を担いでいる大柄な男の人にベチンっ!と頬を殴られた。
痛いというより、ショックで身体が固まった。
なんせ今まで平和に生きてきて、殴られたりするようなことはなかったので、理解が追い付かない。
「そうだ、大人しくしていろ」「いい子にしていれば悪いようにはせぬ」
男の人たちが口々になだめ、背中をポンポン叩いたけど、ぞわっとしたおぞまじさに全身が震え、反射的に涙が溢れた。
嫌だ、怖い。
恐怖に竦んで身体が動かない。声も出せない。
陣幕を抜けるとその先には由緒ある旅館のようなお屋敷が続いていて、そこに入ると離れ部屋のような一室に連れ込まれた。
「特別に屋敷の中だ」「寝具もある」
「終わったら休んで帰って良いぞ」
温情に感謝しろみたいな空気出してくるけど、何にも良くない。
男の人に部屋の中に降ろされるなり、本能的に後ろ手に飛びのいたけれど、直ぐに壁にぶつかった。逃げられない。追い詰められた。
「生きのいい女子じゃ」「まあ無反応なのもつまらぬし」
男の人たちが吞気に笑いながら迫ってくる。
犯罪を犯しているという意識は全くないようで、ごく日常の当然のことのような雰囲気があり、それがとても怖かった。救いようがない。
「…、き」
男の人に足をつかまれ、仰向けに引きずられた。
生理的な嫌悪感と恐怖と絶望にボロボロ涙が零れ落ちる。
「穂月ぃいいい~~~~~っっ!!」
もう終わりだと思った時、浮かんだのは穂月の顔だった。
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