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iiyori.04
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「ねえ、なんで!? なんでなの!? やっぱ腐ってた?? 腐ってたってことぉ???」
「喚くな、鬱陶しい」
29歳。真面目なだけが取り柄の高校教師が、めっちゃくちゃカッコいいけど子持ちで、ちょっと風変わりな高校生とめくるめく禁断の一夜を過ごしたら捨てられました。
「…ってこと? 何でよぉ!? これが噂のやり逃げってやつなの??」
翌朝の学校で、全く受け止めきれない現実を前にマキちゃんにぶちまけてみると、
「まあ冷静に考えたら、あの顔であれだけのスペックを持ってる若い男があんたを選ぶ理由が分かんないよね」
「マキちゃん!? 慰めてっ!? 傷心な親友をもうちょっと優しく慰めて~~~~~っ??」
「いやだって、あの青少年から見たら、あんたただのちんけな年増よ?」
同僚の養護教諭、真木鈴華は今日も絶好調にシビアだった。
「う、う、う、…卯月ぃいいい~~~~~っ」
『ちんけな年増』があまりにもピッタリ自分に当てはまって、泣きつく先は3歳の息子、卯月しかいない。
「だいじょぶですよ。ちちうえはははうえがすきですよ」
卯月が丸い小さな手で私の頭をよしよし撫でてくれる。
ちょっとこの子、いい子過ぎる、…
そうは言っても、卯月を置いて穂月がどこかに行くわけがないと思うから、何か事情があるんだろうと思う。気になるのはクローゼットにしまっておいた刀剣がなくなっていることで、穂月が危険な目に遭っていないといいんだけど、…
「ていうかさあ、忠告したよねえ? なに青少年相手にうっかり恋に落ちて、ちゃっかりヤッちゃってんの!?」
欝々していたら至極もっともなマキちゃんのお叱りが落ちた。
それについては言い訳出来ない。
でも、敢えて言わせてもらおう。
「…だってさああっ!! あの人凄いんだよ!? 静かに強引??でさあ、全然っ、全くっ、痛いとかないの!! あんな若くてしれっとした顔して、どんだけ巧いんだっていう、…」
思い出すだけで今後100年は幸せに生きていける。
あんなの絶対、抗える女子はいない。
「そりゃあまあお幸せな初めてでよかったことですけども」
マキちゃんのひんやりした声音にギックリと腰が引ける。
「巧いってことはそれだけ慣れてるってことだからね」
「む、…?」
「つまり、ヤリまくり」
「や、…っ!?」
ヤリまくり、ヤリまくり、ヤリまくり、…がリフレインする。
あれ? やっぱり私、遊ばれただけ的な、…?
「私がちんけだから愛想尽かしたの、…?」
「まあそれだけスキルが高いんなら、ちんけな年増に身体目当てってことはないでしょ。多分、金か、保護力か。あの青少年は息子の世話係を探していて、ちょうどいい感じの年増を見つけた、とかじゃないの?」
マキちゃんが凄く的確なところを突いてきた。
それ、最初に私も思ったような、…
「そうか、子守り、…え? 子守り要員? 私、子守り採用ってこと!?」
「他に考えられん」
マキちゃん? 私に子守り以外の魅力はないと?
「まあ、一晩いい思いしたと思って育児に専念しなよ」
マキちゃんが同情満載の顔でポンポンと私の肩をたたく。
「ねえ、もう一回聞くけど、他に可能性ない? 子守り以外になんかない?」
「ないね」
即答。今朝もうちのクールビューティは切れ味が鋭い。
「喚くな、鬱陶しい」
29歳。真面目なだけが取り柄の高校教師が、めっちゃくちゃカッコいいけど子持ちで、ちょっと風変わりな高校生とめくるめく禁断の一夜を過ごしたら捨てられました。
「…ってこと? 何でよぉ!? これが噂のやり逃げってやつなの??」
翌朝の学校で、全く受け止めきれない現実を前にマキちゃんにぶちまけてみると、
「まあ冷静に考えたら、あの顔であれだけのスペックを持ってる若い男があんたを選ぶ理由が分かんないよね」
「マキちゃん!? 慰めてっ!? 傷心な親友をもうちょっと優しく慰めて~~~~~っ??」
「いやだって、あの青少年から見たら、あんたただのちんけな年増よ?」
同僚の養護教諭、真木鈴華は今日も絶好調にシビアだった。
「う、う、う、…卯月ぃいいい~~~~~っ」
『ちんけな年増』があまりにもピッタリ自分に当てはまって、泣きつく先は3歳の息子、卯月しかいない。
「だいじょぶですよ。ちちうえはははうえがすきですよ」
卯月が丸い小さな手で私の頭をよしよし撫でてくれる。
ちょっとこの子、いい子過ぎる、…
そうは言っても、卯月を置いて穂月がどこかに行くわけがないと思うから、何か事情があるんだろうと思う。気になるのはクローゼットにしまっておいた刀剣がなくなっていることで、穂月が危険な目に遭っていないといいんだけど、…
「ていうかさあ、忠告したよねえ? なに青少年相手にうっかり恋に落ちて、ちゃっかりヤッちゃってんの!?」
欝々していたら至極もっともなマキちゃんのお叱りが落ちた。
それについては言い訳出来ない。
でも、敢えて言わせてもらおう。
「…だってさああっ!! あの人凄いんだよ!? 静かに強引??でさあ、全然っ、全くっ、痛いとかないの!! あんな若くてしれっとした顔して、どんだけ巧いんだっていう、…」
思い出すだけで今後100年は幸せに生きていける。
あんなの絶対、抗える女子はいない。
「そりゃあまあお幸せな初めてでよかったことですけども」
マキちゃんのひんやりした声音にギックリと腰が引ける。
「巧いってことはそれだけ慣れてるってことだからね」
「む、…?」
「つまり、ヤリまくり」
「や、…っ!?」
ヤリまくり、ヤリまくり、ヤリまくり、…がリフレインする。
あれ? やっぱり私、遊ばれただけ的な、…?
「私がちんけだから愛想尽かしたの、…?」
「まあそれだけスキルが高いんなら、ちんけな年増に身体目当てってことはないでしょ。多分、金か、保護力か。あの青少年は息子の世話係を探していて、ちょうどいい感じの年増を見つけた、とかじゃないの?」
マキちゃんが凄く的確なところを突いてきた。
それ、最初に私も思ったような、…
「そうか、子守り、…え? 子守り要員? 私、子守り採用ってこと!?」
「他に考えられん」
マキちゃん? 私に子守り以外の魅力はないと?
「まあ、一晩いい思いしたと思って育児に専念しなよ」
マキちゃんが同情満載の顔でポンポンと私の肩をたたく。
「ねえ、もう一回聞くけど、他に可能性ない? 子守り以外になんかない?」
「ないね」
即答。今朝もうちのクールビューティは切れ味が鋭い。
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