戦国男子高校生に言い寄られてます!?【完結】

remo

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穂月のキスが好き。
優しくて。甘くて。どこか懐かしくて。
頑なな自分を溶かしてくれて。

安心する。

触れ合う唇から好きが伝わってくるみたいで。目を開けると穂月のきれいな顔が見えて、伏せられた長いまつ毛が愛しくて。心の奥がぎゅっとなって、もっと近づきたいと思ってしまう。

穂月の匂いが好き。
爽やかで。男気に満ちて。唯一無二の。
包み込まれると心強くて。

癒される。

穂月の温もりが好き。
温かくて。ちょうどよく肌に伝わる。
しっとりなじむ。体温が好き。

穂月の手が、目が、温もりが、私を形作っていく。

穂月に触れられると、ドキドキして恥ずかしくて、だけどそれ以上に、気持ち良くて、存在がかたどられて、私はここにいるんだと分かる。自分では届かないところに触れる穂月の私より大きな手が、どこまでも優しくて温かくて、涙が出る。

穂月のまなざしは全部承知しているように優しくて、不安も恥じらいも溶かして、私をただの女の子にする。全部、ありのままの自分をさらけ出して。それでも受け入れてくれる。その大きな温かさが、すごくかけがえがなくて。

「好き、…」

溢れ出してしまう。
気持ちがこぼれて、穂月と触れる全てから伝わってしまう。
隠し切れない。暴かれていく。

住む世界も時代も年齢も進む未来も、何もかも噛み合わないかもしれない。
だけど、それでも。

「好き、…」

勝手に零れ落ちてくる涙に、穂月が口づけた。

「なえ、…」

名前を呼ばれるだけで、心が潤って、今、ここに自分でいられることが嬉しい。

穂月の目が、唇が、舌先が、私を溶かして潤ませて溢れさせていく。
穂月に全部包まれて、1ミリの隙間なく抱き合って、どっちの心臓の音かどっちの肌の温度か分からないくらい近づいて、それでも、もっとそばに行きたくて。

「…ほ、…づき、…っ」

穂月が欲しくて。穂月を求めて手を伸ばす。
もっと深く。もっと奥まで。穂月の全てを感じたい。
自分でも知らなかった深い深い繋がりを。

「…なえ、…っ」

少しも怖くなかった。
穂月は私を全部知ってるって言ってたけど、多分その通りだった。
溶けて。溶け合って。交わって。混ざり合って。
ただ気持ち良くて。気持ち良さしかなくて。気持ち良さが極限まで高まって。

弾けて。弾け飛んでもまだ終わらなくて。ずっとずっともっと。
とめどない快感の波に翻弄されてどこまでも弾け飛ばされて必死でしがみつく。穂月と繋がるその一点だけが私の全てでたった一つのよすがだった。

もう全部、なくしてもいい。
全部嘘で、騙されていて、ボロボロに傷ついたとしても。
こんなにも誰かを好きになれるなんて思わなかった。
こんなにも好きな人に会えたことが嬉しい。

穂月。穂月、…

「…だいすき」

穂月に抱かれて眠った幸せ過ぎる翌朝。

穂月がいなくなっていた。
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