21 / 92
iiyori.03
03.
しおりを挟む
「まあ、あんたがダメなのは今に始まったことじゃないけど」
放課後の保健室で養護教諭の真木鈴華にバッサリ切られる。
「マキちゃん、ちょっとはフォローしようよ。私ったら、真面目なだけが取り柄の高校教師だよね??」
私の親友は今日もクールに過ぎる。
「あんたが見ず知らずの年下イケメンと同居できるようなタイプじゃないのは知ってるよ。手に負えなくなる前に、解消した方がいいんじゃない?」
マキちゃんは憐れむような目を向けた。
…仰る通りです。
所詮、何の面白みもない人生を歩んできたアラサー女は、キラキラの年下イケメン侍に振り回されて、よれよれです。もう精も根も尽きたっていうか、八方塞がりっていうか、…
「ははうえ、いけめんとはなんですか?」
今日も大人しく保健室で絵を描いたり石を並べたりして遊んでいたらしい卯月がこっちに向き直った。
「ん? あんたの父さんみたいな人だよ」
マキちゃんがざっくり簡潔にまとめる。
「なるほど。ちちうえのことですか」
納得したらしい卯月がにっこり頷く。可愛いが渋滞しているっっ
…でも。
でもさ、卯月みたいな賢くて可愛い子どもから母上とか慕われてさ、出来ることならなんか、何でもしてあげたくなっちゃうじゃん。この子が寂しい思いをするのは嫌っていうか、これはもう母性っていうか。それに穂月は、…穂月みたいな人には、…
多分もう、この先一生出会えない。
「ただでさえ、年頃の男女が一緒に住んでたら面白おかしく想像されるからね。変なボロが出ないうちに、…」
「マキちゃんせんせー、三年の男子が屋上で果たし合いしてる―――っ」
マキちゃんに最もなお説教をされていると、唐突に保健室のドアが開いて、坂下さん以下何名かの女子生徒が顔をのぞかせた。
「果たし合い―――?? なんだそれ、穏やかじゃないな?」
やれやれと言った感じで、マキちゃんが救急セットを手に立ち上がる。
うちの生徒たちは基本いい子ばかりなんだけど、たまに力技に出て殴り合いのけんかに発展したりすることがある。三年生徒ってうちのクラスじゃ、…
「あ、なえちゃんセンセ―いたんだ。なんか鷹峰が木刀持ってなえちゃんの隠し子呼び出したみたいだよ?」
全っ然、うちのクラスじゃん!!
てか、鷹峰くん。さっきの今で、何してくれちゃってんの―――っ??
放課後の保健室で養護教諭の真木鈴華にバッサリ切られる。
「マキちゃん、ちょっとはフォローしようよ。私ったら、真面目なだけが取り柄の高校教師だよね??」
私の親友は今日もクールに過ぎる。
「あんたが見ず知らずの年下イケメンと同居できるようなタイプじゃないのは知ってるよ。手に負えなくなる前に、解消した方がいいんじゃない?」
マキちゃんは憐れむような目を向けた。
…仰る通りです。
所詮、何の面白みもない人生を歩んできたアラサー女は、キラキラの年下イケメン侍に振り回されて、よれよれです。もう精も根も尽きたっていうか、八方塞がりっていうか、…
「ははうえ、いけめんとはなんですか?」
今日も大人しく保健室で絵を描いたり石を並べたりして遊んでいたらしい卯月がこっちに向き直った。
「ん? あんたの父さんみたいな人だよ」
マキちゃんがざっくり簡潔にまとめる。
「なるほど。ちちうえのことですか」
納得したらしい卯月がにっこり頷く。可愛いが渋滞しているっっ
…でも。
でもさ、卯月みたいな賢くて可愛い子どもから母上とか慕われてさ、出来ることならなんか、何でもしてあげたくなっちゃうじゃん。この子が寂しい思いをするのは嫌っていうか、これはもう母性っていうか。それに穂月は、…穂月みたいな人には、…
多分もう、この先一生出会えない。
「ただでさえ、年頃の男女が一緒に住んでたら面白おかしく想像されるからね。変なボロが出ないうちに、…」
「マキちゃんせんせー、三年の男子が屋上で果たし合いしてる―――っ」
マキちゃんに最もなお説教をされていると、唐突に保健室のドアが開いて、坂下さん以下何名かの女子生徒が顔をのぞかせた。
「果たし合い―――?? なんだそれ、穏やかじゃないな?」
やれやれと言った感じで、マキちゃんが救急セットを手に立ち上がる。
うちの生徒たちは基本いい子ばかりなんだけど、たまに力技に出て殴り合いのけんかに発展したりすることがある。三年生徒ってうちのクラスじゃ、…
「あ、なえちゃんセンセ―いたんだ。なんか鷹峰が木刀持ってなえちゃんの隠し子呼び出したみたいだよ?」
全っ然、うちのクラスじゃん!!
てか、鷹峰くん。さっきの今で、何してくれちゃってんの―――っ??
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説

忙しい男
菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。
「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」
「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」
すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。
※ハッピーエンドです
かなりやきもきさせてしまうと思います。
どうか温かい目でみてやってくださいね。
※本編完結しました(2019/07/15)
スピンオフ &番外編
【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19)
改稿 (2020/01/01)
本編のみカクヨムさんでも公開しました。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる