19 / 92
iiyori.03
01.
しおりを挟む
「『梓弓引けど引かねど昔より心は君によりにしものを』っつったんだけども、帰っちゃったんだよ、男がさあ」
「なえちゃん、それ昨日やったよ」「てか、今日も既に3回目だよ」
「どしたん?」「妙に荒れてるじゃん」
男子高校生に真っ裸を見られた挙句に腐ってると言われた。
そんな気まずさの境地に君臨しても仕事はしなければならない。こちとらしがないサラリーマンですから!?
「腐ってるってなに、腐ってるって~~~???」
でも立ち直れない。
教卓をバンバン叩いてしまう。
「飽きたの? ねえ、飽きたってこと!?」
余裕過ぎる穂月の横顔が頭から離れない。私の真っ裸は騒ぐ価値もないってことですか??
「飽きたのはあれでしょ、筒井筒の方でしょ」
「自分でしゃもじ持ってたから冷めたんでしょ。信じらんない。お前がやれよ」
見慣れてるってこと? がっかりしたってこと?
ていうか私は男子高校生に何てお見苦しいもの見せちゃったわけなの―――??
「だいたいさあ、三年縛りでなんでその最終日に帰ってくるかね」「もっとさっさと帰って来いよ」
「女もさあ、そんな死ぬほど好きなら、最後まで待てし」
「てか、あっさり引くなよ。奪い合えよ」
「…しばらく自習」
げんなりして、気分転換に廊下に出た。
クラスの奴らは意外とちゃんと伊勢物語を考察しているからよしとしよう。
廊下の窓から外を見ると、校庭で体育の授業を受けている穂月の姿が見えた。日差しに黒髪が映える。ジャージ姿もカッコいい、…
と思いかけて自分の横っ面を引っぱたいた。
待て、私。正気を保て!! 老成した18歳に一体どんだけダメージを、…
「…なえちゃん。恋しちゃったの?」
自分を立て直していたら急に声をかけられてビック―――っと大げさに後退ってしまった。
「な、…なんだ、鷹峰くん」
無駄に動揺した心臓を鎮める。最近過労気味なんだから脅かさないで欲しい。
「あのイケメン過ぎる隠し子となんかあった??」
窓枠に腕をついて、なんか可愛い感じで私を覗き込む鷹峰くんは、ちょっとチャラい陽キャの塊みたいな生徒で、ピアス穴がジャラジャラ開いてて、女性教師とみるやからかってくる男子生徒の典型ともいえる。
「なっ!? なんにもないよ? あるわけないじゃん!!」
そう、そうだ。ここは毅然とっ!!
と、至って冷静に返答するも、
「風呂で裸見られたりぃ? キスしちゃったり??」
なんでかぴったり言い当てられた。
「え、…っ!?」
…エスパー??
「なえちゃん、それ昨日やったよ」「てか、今日も既に3回目だよ」
「どしたん?」「妙に荒れてるじゃん」
男子高校生に真っ裸を見られた挙句に腐ってると言われた。
そんな気まずさの境地に君臨しても仕事はしなければならない。こちとらしがないサラリーマンですから!?
「腐ってるってなに、腐ってるって~~~???」
でも立ち直れない。
教卓をバンバン叩いてしまう。
「飽きたの? ねえ、飽きたってこと!?」
余裕過ぎる穂月の横顔が頭から離れない。私の真っ裸は騒ぐ価値もないってことですか??
「飽きたのはあれでしょ、筒井筒の方でしょ」
「自分でしゃもじ持ってたから冷めたんでしょ。信じらんない。お前がやれよ」
見慣れてるってこと? がっかりしたってこと?
ていうか私は男子高校生に何てお見苦しいもの見せちゃったわけなの―――??
「だいたいさあ、三年縛りでなんでその最終日に帰ってくるかね」「もっとさっさと帰って来いよ」
「女もさあ、そんな死ぬほど好きなら、最後まで待てし」
「てか、あっさり引くなよ。奪い合えよ」
「…しばらく自習」
げんなりして、気分転換に廊下に出た。
クラスの奴らは意外とちゃんと伊勢物語を考察しているからよしとしよう。
廊下の窓から外を見ると、校庭で体育の授業を受けている穂月の姿が見えた。日差しに黒髪が映える。ジャージ姿もカッコいい、…
と思いかけて自分の横っ面を引っぱたいた。
待て、私。正気を保て!! 老成した18歳に一体どんだけダメージを、…
「…なえちゃん。恋しちゃったの?」
自分を立て直していたら急に声をかけられてビック―――っと大げさに後退ってしまった。
「な、…なんだ、鷹峰くん」
無駄に動揺した心臓を鎮める。最近過労気味なんだから脅かさないで欲しい。
「あのイケメン過ぎる隠し子となんかあった??」
窓枠に腕をついて、なんか可愛い感じで私を覗き込む鷹峰くんは、ちょっとチャラい陽キャの塊みたいな生徒で、ピアス穴がジャラジャラ開いてて、女性教師とみるやからかってくる男子生徒の典型ともいえる。
「なっ!? なんにもないよ? あるわけないじゃん!!」
そう、そうだ。ここは毅然とっ!!
と、至って冷静に返答するも、
「風呂で裸見られたりぃ? キスしちゃったり??」
なんでかぴったり言い当てられた。
「え、…っ!?」
…エスパー??
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説


忙しい男
菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。
「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」
「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」
すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。
※ハッピーエンドです
かなりやきもきさせてしまうと思います。
どうか温かい目でみてやってくださいね。
※本編完結しました(2019/07/15)
スピンオフ &番外編
【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19)
改稿 (2020/01/01)
本編のみカクヨムさんでも公開しました。

追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

辺境伯へ嫁ぎます。
アズやっこ
恋愛
私の父、国王陛下から、辺境伯へ嫁げと言われました。
隣国の王子の次は辺境伯ですか… 分かりました。
私は第二王女。所詮国の為の駒でしかないのです。 例え父であっても国王陛下には逆らえません。
辺境伯様… 若くして家督を継がれ、辺境の地を護っています。
本来ならば第一王女のお姉様が嫁ぐはずでした。
辺境伯様も10歳も年下の私を妻として娶らなければいけないなんて可哀想です。
辺境伯様、大丈夫です。私はご迷惑はおかけしません。
それでも、もし、私でも良いのなら…こんな小娘でも良いのなら…貴方を愛しても良いですか?貴方も私を愛してくれますか?
そんな望みを抱いてしまいます。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 設定はゆるいです。
(言葉使いなど、優しい目で読んで頂けると幸いです)
❈ 誤字脱字等教えて頂けると幸いです。
(出来れば望ましいと思う字、文章を教えて頂けると嬉しいです)
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~
吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。
結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。
何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる