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iiyori.02

05.

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なんだかもうぐったり疲れて、夕飯は新じゃがとキャベツの鍋にした。

当然のように買い物袋を持ってくれた穂月は、当然のようにキッチンで隣に立つ。郷に入っては郷に従えということか。殿様然として偉そうにご飯が出来上がるのを待つ、ということはなかった。

しかも。
お米を炊くこともうどんを茹でることも知らなかったようなのに、穂月は器用に肉を切り、野菜を切り、IHクッキングヒーターを扱った。教えたらすぐにマスターして、手際よく、なんなら合間に洗濯機を回したり、お風呂を掃除してくれたりする。

なにこの優秀家電サムライ。
出来る人は何でも出来るんだな。天下を取る人はいつの世でも天下を、…と信者モードが炸裂する。

「穂月って料理男子なんだね」

使った調理器具を洗ってくれていた穂月を見ると、

「見よう見まねだか、…お前よりはセンスがあるな」

穂月はいたずらに笑って触れるだけのキスをした。

「ちょ、…っ」

こんな。
不意打ちでキスするの止めてくれないかな!?
心臓がちょっと、ぶちあがり止みませんのでね??

何のリアクションも出来ずに固まっていると、穂月が優しく笑った。

「…恥じらうと耳が赤くなるところも、変わってないな」

…そんなの。多分みんな普通になるじゃん。

と、ちょっとひねくれ気味に思いながら、無意識に耳を触ると、その手にも唇が寄せられた。

「穂月、…っ!?」

自分でも、分かる。もはや耳どころか顔全体、何なら身体全体が爆発しそうに赤いことを。

「もう俺のこと好きになった?」

「…、なっ、…っっ」

小首を傾げて問いかけるイケメン侍の破壊力たるや。

「なっ、なっ、…なべっ!! 出来たよぉ~~~」

なった、とか言えるかああああ―――――っ

オーバーヒートした脳が無理やり鍋を割り込ませて、リビングで待つ卯月の元に逃げた。

「…ういやつ」

イケメン侍の笑みに背中から射られる。

「…ははうえ、かおがあかくござりまする。なべがおあついのですね」

「…あいすみません」

イケメン侍が最強すぎまする、…
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