戦国男子高校生に言い寄られてます!?【完結】

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「つまり、…覚えてないのか」

大声で喚いたせいで起きてしまった卯月を抱き上げ、器用にあやしながら、穂月が愕然とつぶやく。

覚えてないというよりは、そんな荒唐無稽な話、信じろって方が無理だろうってとこだけど、

「そうか、…覚えてないのか」

穂月があんまりにも落胆していて悲しそうなので、こっちも居た堪れない気分になってきて、ちょっとはなんか思い出す努力をしなさいよ、みたいな無茶振りを、脳にしてみる。

「えっと、でも、…穂月のキスは、…」

そんな無茶振りに応えようと脳が最大限頑張って捻り出した一言を、それとなく口にして、

「…好、…」

全力で後悔して自分の横っ面を引っぱたいた。

「痛った!!」

「…なえ、どうした? 落ち着け?」

穂月に揺られてまた健やかな寝息を立てた卯月を床に寝かせると、穂月が私の手を取る。

「…赤くなっている」

そしてもう片方の手の甲でそっと私の頬を撫でると、そのまま親指で私の唇を撫でた。

「…俺のキスは好きか」

息が止まる。動けない。答えられない。
穂月の親指、破壊力強すぎるでしょう!?

指先一つで魂を抜かれたみたいな気分になって、呆然と見惚れている私の顎に指をかけて、

「なら、いい」

長いまつ毛を伏せると、

「また、俺を好きになればいい」

穂月はゆっくり口づけた。

柔らかく。優しく。
甘く。食むように。

避けようと思えば避けられた。多分。
でもそんなことは1ミリも考えられず、

…うん、穂月、…

って、ウンじゃないだろぉおお―――いっ!!

頭の後ろの方から聞こえる理性の警告を根こそぎ無視して、穂月のキスに溺れてしまった。
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