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8章.なな色ウエディング
12.
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「なんか、…お前に触んの、初めてみたいな気がする」
そう言って、ななせはものすごく優しく私に触れた。まあ、ななせはいつも優しいんだけど。このところ、そこにいたけどいなかったような状態だったから。なんだか私も、初めてみたいな気がして、すごく恥ずかしくて、すごくすごく緊張した。…のに。
「な、なせ、…っ」
私を辿るななせの手のひらも、指も唇も甘やかな舌も、長い手足も滑らかな肌も、しなやかに動く身体全てが、心地よくて嬉しくて、涙が零れて、凄まじい快感に耐え切れずに、あっという間に溶け落ちた。
「お前、…可愛いな。そんなに欲しかった?」
息も絶え絶えな私を宥めるようなななせのキスが笑いを含んでる。だけどそんなの。
「…決まってるじゃん、…っ」
ななせが欲しくて。ななせに触れたくて。どんなにななせに会いたかったか。どんなにななせを求めてたのか。ずっとずっと。どんなにななせが恋しかったか。
「…ごめん。俺もつぼみが欲しかった」
ななせのキスも、吐息も舌も、声も温度も、涙に滲む。崩壊した涙腺は、馬鹿みたいに涙が止まらない。恋しくて恋しくて焦がれてた、ななせの手が、指が、私を優しく撫でながら、瞼に涙に、たくさんのキスを降らせる。
「…全部。お前のだよ」
ななせの少し掠れた甘い声に身体の奥がきゅうきゅう鳴く。
ななせと繋がって。肌も吐息も体温も。全部一つに混ざり合って。手も足も胸もお腹も。境界線が分からないくらい交わり合って。溶けてとろけて。ななせに満たされる。奥深くまで穿たれて注がれて隅々まで浸透して。細胞の一つ一つが歓喜に震えて。身体全部で実感する。
ななせがここにいること。私のところに帰ってきてくれたこと。その奇跡みたいな幸せに窒息しそうで、堪らなくて、魂が喘いだ。
「…気づいたら、お前が俺のこと好きで、すげぇ嬉しかった」
ななせが少しはにかみながら可愛く笑って、ちゅっとキスする。けど、もうどう頑張っても身体に1ミリも力が入らない。
「ななせぇ、…」
もっと。いっぱいいっぱい抱きしめたいのに、私を揺らすななせがめちゃくちゃ甘くて、セクシーで、快感がすご過ぎて限界を超えてしまった。
「うん。もっと、な」
ななせの腕の中で未だぴったりくっついて、緩やかに揺られながら甘い唇に繰り返し水を注いでもらう。潤って、満ち満ちて、幸せが溢れる。ななせだけが私を満たしてくれる。
詳しい検査をしてもらっていないから確かなことは分からないけど、どうやらななせは今までの記憶をほぼすべて取り戻したらしい。イギリスでの列車爆破事故以降の記憶も含めて。
つまり、今ここにいるななせは。
おたんこななせにして、ピュアななせにして、最愛のオリジナルななせである、らしい。侑さんの腕が素晴らしくいいのか、ななせが特殊なのか、或いはその両方か。分からないけど奇跡的な幸運に恵まれたことは間違いない。
ななせが愛しい。
自分を消してでも元のななせを取り戻そうとしてくれた、あの意地悪優しいななせも、若干10歳にして結婚を誓おうとしてくれた、大人可愛いななせも、ちゃんと今もななせの中にいるんだ、と思うと、愛しさが増す。
「…お前、あいつに甘かったよな」
私はななせをなくしたんじゃなくて、新しく好きを積もらせていたんだ、…と感慨にふけっていたら、なんかななせに耳を噛まれた。
「お前が俺以外の男に好きとか言っててムカつく」
どうやら頭の中が透けて見えたらしい。
…って。本人にだからね?
「自分からキスするの初めてとか、ウエディングドレス脱がせやがったり、…お前の初めては全部俺が欲しかったのに」
耳を喰まれて痛いっていうか、むずがゆいっていうか、甘い痺れが身体を巡る。
…って、だから。全部本人にだからね!?
「ちょ、…ななせ、…っ!?」
「…無理。お前を俺だけでいっぱいにしたい」
繋がったままのななせに揺られて恍惚の海に漂い出す。
無理なのに。もう無理なのに。限界を超えて快感が込み上げる。
全部ななせなんだけど。
自分で自分に、妬いてるみたいなななせが、おかしくて可愛くて、愛しい。
「大好き、…」
瞬く間に快感に飲み込まれて必死でななせにしがみつく。息が切れて声が掠れてちゃんと言葉になっているか分からない。けど、ななせはその美しい身体全てで応えてくれた。
「…ななせが一番だよ」
二番も三番も、ななせしかいないけど。
そう言って、ななせはものすごく優しく私に触れた。まあ、ななせはいつも優しいんだけど。このところ、そこにいたけどいなかったような状態だったから。なんだか私も、初めてみたいな気がして、すごく恥ずかしくて、すごくすごく緊張した。…のに。
「な、なせ、…っ」
私を辿るななせの手のひらも、指も唇も甘やかな舌も、長い手足も滑らかな肌も、しなやかに動く身体全てが、心地よくて嬉しくて、涙が零れて、凄まじい快感に耐え切れずに、あっという間に溶け落ちた。
「お前、…可愛いな。そんなに欲しかった?」
息も絶え絶えな私を宥めるようなななせのキスが笑いを含んでる。だけどそんなの。
「…決まってるじゃん、…っ」
ななせが欲しくて。ななせに触れたくて。どんなにななせに会いたかったか。どんなにななせを求めてたのか。ずっとずっと。どんなにななせが恋しかったか。
「…ごめん。俺もつぼみが欲しかった」
ななせのキスも、吐息も舌も、声も温度も、涙に滲む。崩壊した涙腺は、馬鹿みたいに涙が止まらない。恋しくて恋しくて焦がれてた、ななせの手が、指が、私を優しく撫でながら、瞼に涙に、たくさんのキスを降らせる。
「…全部。お前のだよ」
ななせの少し掠れた甘い声に身体の奥がきゅうきゅう鳴く。
ななせと繋がって。肌も吐息も体温も。全部一つに混ざり合って。手も足も胸もお腹も。境界線が分からないくらい交わり合って。溶けてとろけて。ななせに満たされる。奥深くまで穿たれて注がれて隅々まで浸透して。細胞の一つ一つが歓喜に震えて。身体全部で実感する。
ななせがここにいること。私のところに帰ってきてくれたこと。その奇跡みたいな幸せに窒息しそうで、堪らなくて、魂が喘いだ。
「…気づいたら、お前が俺のこと好きで、すげぇ嬉しかった」
ななせが少しはにかみながら可愛く笑って、ちゅっとキスする。けど、もうどう頑張っても身体に1ミリも力が入らない。
「ななせぇ、…」
もっと。いっぱいいっぱい抱きしめたいのに、私を揺らすななせがめちゃくちゃ甘くて、セクシーで、快感がすご過ぎて限界を超えてしまった。
「うん。もっと、な」
ななせの腕の中で未だぴったりくっついて、緩やかに揺られながら甘い唇に繰り返し水を注いでもらう。潤って、満ち満ちて、幸せが溢れる。ななせだけが私を満たしてくれる。
詳しい検査をしてもらっていないから確かなことは分からないけど、どうやらななせは今までの記憶をほぼすべて取り戻したらしい。イギリスでの列車爆破事故以降の記憶も含めて。
つまり、今ここにいるななせは。
おたんこななせにして、ピュアななせにして、最愛のオリジナルななせである、らしい。侑さんの腕が素晴らしくいいのか、ななせが特殊なのか、或いはその両方か。分からないけど奇跡的な幸運に恵まれたことは間違いない。
ななせが愛しい。
自分を消してでも元のななせを取り戻そうとしてくれた、あの意地悪優しいななせも、若干10歳にして結婚を誓おうとしてくれた、大人可愛いななせも、ちゃんと今もななせの中にいるんだ、と思うと、愛しさが増す。
「…お前、あいつに甘かったよな」
私はななせをなくしたんじゃなくて、新しく好きを積もらせていたんだ、…と感慨にふけっていたら、なんかななせに耳を噛まれた。
「お前が俺以外の男に好きとか言っててムカつく」
どうやら頭の中が透けて見えたらしい。
…って。本人にだからね?
「自分からキスするの初めてとか、ウエディングドレス脱がせやがったり、…お前の初めては全部俺が欲しかったのに」
耳を喰まれて痛いっていうか、むずがゆいっていうか、甘い痺れが身体を巡る。
…って、だから。全部本人にだからね!?
「ちょ、…ななせ、…っ!?」
「…無理。お前を俺だけでいっぱいにしたい」
繋がったままのななせに揺られて恍惚の海に漂い出す。
無理なのに。もう無理なのに。限界を超えて快感が込み上げる。
全部ななせなんだけど。
自分で自分に、妬いてるみたいなななせが、おかしくて可愛くて、愛しい。
「大好き、…」
瞬く間に快感に飲み込まれて必死でななせにしがみつく。息が切れて声が掠れてちゃんと言葉になっているか分からない。けど、ななせはその美しい身体全てで応えてくれた。
「…ななせが一番だよ」
二番も三番も、ななせしかいないけど。
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