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柚くんは、とにかく優しかった。
身体中あらゆるところに滑らかな手と綺麗な長い指で触れて、
柔らかい唇と甘い舌で辿る。
「…あおい」
泣きたくなるくらい優しく、掠れた甘い声で、
宝物のように私を呼ぶ。
震えるくらい優しく、温かく滑らかな肌で
余すところなく全て包み込まれる。
全部。溶けて。溢れて。溺れる。
とめどない快感の波に揺られて、
導かれて何度も何度も高みから舞う。
どこまでも一つに溶け合って、
心地良い海をゆらゆら漂う。
目を開けると綺麗な瞳が
すごく優しく私を見つめている。
「…柚くん」
幸せすぎて溢れる涙も吐息も
全部甘いキスで受け止めてくれる。
「大好き…」
このままずっと離れたくない。
ずっとずっと柚くんと。
一緒に生きていきたい。
「…飲む?」
何度目かに目を開けた時、柚くんがペットボトルに入った水を渡してくれた。
「…ん」
受け取ったつもりがつかめなくてボトルがベッドに転がった。
声が出ない。力が入らない。
起き上がれない。蓋開けられない。
奮闘している私を見て、柚くんがちょっと楽しそうな顔をする。
「はい」
私を抱き起こすとあごに手を添えて、キスで水を飲ませてくれた。
冷たい。甘い。潤う。
…もっと。
口を開けてねだると、柚くんが繰り返し注いでくれる。
なんか情けないけど、どうしようもない。
それに、…心地良い。
解毒剤を飲ませてくれた時もそうなんだけど、
柚くんて、なんか、…上手い。
多分、ものすごく、上手い。
昔から上手だったと思うけど、なんか余裕が違うっていうか、…
胸の奥がチクチクする。
この部屋で、このベッドで、こんな風に飲ませてくれたりとか、
あんな風にあんなこと、…
分かってるけど。
私が悪いんだけど。
幸せすぎて余計なこと考えた。
柚くんのばか。
どれだけ経験値上げてるんだよ―――――っ
抱きしめてくれてる柚くんの胸のあたりを叩いた。
なんだか勝手に涙が出てくる。
どうしようもないけど、柚くんのばか。
力を振り絞って柚くんを叩いていると、
「なに? おねだり?」
甘いキスで溶かされて、上から甘い視線にさらされた。
「ち、が、…っ」
なんか悔しい。
唇を引き結んで柚くんを見ると、柚くんがすごく優しい顔をして涙に唇を寄せた。
「…ないから。部屋に入れたのあおいだけだから」
なんで何でもわかるのよ―――っ
「あおい。…好きだよ」
ずるい。
甘い声。優しい声。心に沁みる声。
「俺はあおいがいい。あおいじゃなきゃ嫌だよ」
柚くんの澄んだきれいな瞳が真っ直ぐに私を見て、溢れる涙にキスの雨を降らせた。
「柚くん…」
柚くんが優しく私を包み込む。
その温かい腕でもう一度私を抱きしめて、甘い快感に誘う。
「俺も2回目だしね」
柚くんの嘘つき。…大好き。
身体中あらゆるところに滑らかな手と綺麗な長い指で触れて、
柔らかい唇と甘い舌で辿る。
「…あおい」
泣きたくなるくらい優しく、掠れた甘い声で、
宝物のように私を呼ぶ。
震えるくらい優しく、温かく滑らかな肌で
余すところなく全て包み込まれる。
全部。溶けて。溢れて。溺れる。
とめどない快感の波に揺られて、
導かれて何度も何度も高みから舞う。
どこまでも一つに溶け合って、
心地良い海をゆらゆら漂う。
目を開けると綺麗な瞳が
すごく優しく私を見つめている。
「…柚くん」
幸せすぎて溢れる涙も吐息も
全部甘いキスで受け止めてくれる。
「大好き…」
このままずっと離れたくない。
ずっとずっと柚くんと。
一緒に生きていきたい。
「…飲む?」
何度目かに目を開けた時、柚くんがペットボトルに入った水を渡してくれた。
「…ん」
受け取ったつもりがつかめなくてボトルがベッドに転がった。
声が出ない。力が入らない。
起き上がれない。蓋開けられない。
奮闘している私を見て、柚くんがちょっと楽しそうな顔をする。
「はい」
私を抱き起こすとあごに手を添えて、キスで水を飲ませてくれた。
冷たい。甘い。潤う。
…もっと。
口を開けてねだると、柚くんが繰り返し注いでくれる。
なんか情けないけど、どうしようもない。
それに、…心地良い。
解毒剤を飲ませてくれた時もそうなんだけど、
柚くんて、なんか、…上手い。
多分、ものすごく、上手い。
昔から上手だったと思うけど、なんか余裕が違うっていうか、…
胸の奥がチクチクする。
この部屋で、このベッドで、こんな風に飲ませてくれたりとか、
あんな風にあんなこと、…
分かってるけど。
私が悪いんだけど。
幸せすぎて余計なこと考えた。
柚くんのばか。
どれだけ経験値上げてるんだよ―――――っ
抱きしめてくれてる柚くんの胸のあたりを叩いた。
なんだか勝手に涙が出てくる。
どうしようもないけど、柚くんのばか。
力を振り絞って柚くんを叩いていると、
「なに? おねだり?」
甘いキスで溶かされて、上から甘い視線にさらされた。
「ち、が、…っ」
なんか悔しい。
唇を引き結んで柚くんを見ると、柚くんがすごく優しい顔をして涙に唇を寄せた。
「…ないから。部屋に入れたのあおいだけだから」
なんで何でもわかるのよ―――っ
「あおい。…好きだよ」
ずるい。
甘い声。優しい声。心に沁みる声。
「俺はあおいがいい。あおいじゃなきゃ嫌だよ」
柚くんの澄んだきれいな瞳が真っ直ぐに私を見て、溢れる涙にキスの雨を降らせた。
「柚くん…」
柚くんが優しく私を包み込む。
その温かい腕でもう一度私を抱きしめて、甘い快感に誘う。
「俺も2回目だしね」
柚くんの嘘つき。…大好き。
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