セカンドラブ ー30歳目前に初めての彼が7年ぶりに現れてあの時よりちゃんと抱いてやるって⁉ 【完結】

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「警察で全力で行方を追っています。アンドラーシらは紘弥くんの能力を買っていますし、武装勢力ではないので、危害を加えられる可能性は少ないと思うのですが、…」

…柚くん!

『ボクの手伝いしてくれたら、解毒剤渡してアゲル―――』

私のせいだ。
私が変なもの飲まされたから、
だから柚くんが手伝わされる羽目になったんだ。

胃がきりきりする。
頭がむかむかする。

なんで。

自分を許せなくて、勝手に涙が溢れた。

柚くん、あの人のこと蹴り飛ばしてたし、あの人、柚くんのこと嫌いって言ってたし、刺されたり、変な薬持ってたりするし、…

柚くんに何かあったらどうしよう。

どうしよう。どうすればいい?

「紘弥くんを巻き込んでしまったことを心から申し訳なく思っています」

沈痛な面持ちで氷室さんが深々と頭を下げた。

…お願い。早く柚くんを助けて。
私のせいだけど、だけど、お願い、柚くんを助けて。

「私が接触した感じでは、彼らは国家に売却するシステム開発を目論んでいるようでした。恐らくそこに紘弥くんのスキルが必要なんだと思います。だから非道なことはしないと思うのですが、…必ず紘弥くんを見つけます。約束します」

パニックで涙が止められない私を労わるように言葉を尽くした後、しばらく黙って泣かせてくれた。

「すみません。もう一つ、…橘さんに謝罪しなければならないことがあります」

それからまた、徐に氷室さんが口を開いた。

「美雨のことで、多大なご迷惑をおかけしてしまいました。紘弥くんが私の立場を考慮して全ての矢面に立ってくれたのですが、…美雨との結婚は私がします」

美雨との結婚は、…私がします?

ショックで考えることを放棄している頭に氷室さんの言葉がとぎれとぎれに刺さる。

「…私は藤倉一族の外腹の子で、一族の権力者たちに認められる機会を待っていました。今回の任務はその絶好の機会でしたが、極秘に動く必要があったので、解決するまで紘弥くんが身代わりになってくれたのです。藤倉隆之介とその一団の失墜で、創業家で他に反対する者は居ません。美雨と結婚して一族を継ぎ、経営代表とグループのために尽力します」

氷室さんが再び立ち上がり、ひれ伏す勢いで頭を下げた。

「紘弥くんとあなたには辛い思いをさせてしまい、本当に申し訳ありませんでした」

そんなの。
今言われても。

余計に涙が止まらなくなって困る。

「落ち着くまでのフリ」ってそういうこと?
柚くんは最初から。
美雨さんとの結婚は考えてなくて。

『言ったのに、俺はお前がいいって』
『お前じゃなきゃ嫌だって』

柚くん。

『するよ。…お前がしたいなら』

柚くん。柚くん。

『あおいに手出したら殺すから』

ずっと。
柚くんがずっと。
どんなに大切に想ってくれてたか
今更ながら思い知らされる。

『あおい。…ごめんな』

どうしよう。
柚くんに会いたいのに。
柚くんの他には何もいらないのに。

…柚くんがいない。
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