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「橘くん、ちょっと」
本日の監査業務では、柚くんの代わりに課長がコンピュータ担当になっています。会議室内は白々とした空気に満ちていて、沙織さんも加藤さんも黙々と業務をこなしています。
だって、…
柚くんがいない。
柚くんはあっという間に美雨さんと一緒に広報課へ連れていかれてしまった。
柚くんがいなきゃ、会議室なんてちょっと広いだけの物置同然。
「橘くーん、ちょっと、ちょっと」
…外堀を埋める、か。
表面的とはいえ和解したのにすぐに覆したら、かえって関係が悪化するだろうから、今はまだ否定できない。
その隙に世間の認知を味方につけてしまえ、と。
あったまいいなー、おい!
「橘くんってば!!」
「はいっ!?」
課長が大声で私を呼んでいた。
余りの大音量に沙織さんと加藤さんもちょっと椅子から浮きかけていた。
「失礼しました、何でしょうか」
課長の席にいそいそと近づくと、課長が小声で耳打ちしてきた。
「さっきから、パソコンに変なメッセージが出るんだけど」
「は、…?」
課長が操作しているパソコンを横からのぞき込むと、
三角印のエクスクラメーションマークとエラーメッセージ。
『あなたは不正なプログラムを開きました。
3分以内にコンピュータを破壊します。』
そして残り時間を示す数字と『破壊に同意』か『No』のアイコン。
課長と顔を見合わせる。
何これ。ぞっとするんだけど、…
「の、No、なんじゃないですか?」
「…だよね?」
コンピュータに明るくない者同士、運命共同体みたいな気分で一か八か『No』をクリックする。
と、
『It's great to see you again, Usagi!』
四角で囲まれた英文のメッセージが表れ、その後ろの画面では訳の分からない英語と数字と記号の羅列が流れ始めた。
本日の監査業務では、柚くんの代わりに課長がコンピュータ担当になっています。会議室内は白々とした空気に満ちていて、沙織さんも加藤さんも黙々と業務をこなしています。
だって、…
柚くんがいない。
柚くんはあっという間に美雨さんと一緒に広報課へ連れていかれてしまった。
柚くんがいなきゃ、会議室なんてちょっと広いだけの物置同然。
「橘くーん、ちょっと、ちょっと」
…外堀を埋める、か。
表面的とはいえ和解したのにすぐに覆したら、かえって関係が悪化するだろうから、今はまだ否定できない。
その隙に世間の認知を味方につけてしまえ、と。
あったまいいなー、おい!
「橘くんってば!!」
「はいっ!?」
課長が大声で私を呼んでいた。
余りの大音量に沙織さんと加藤さんもちょっと椅子から浮きかけていた。
「失礼しました、何でしょうか」
課長の席にいそいそと近づくと、課長が小声で耳打ちしてきた。
「さっきから、パソコンに変なメッセージが出るんだけど」
「は、…?」
課長が操作しているパソコンを横からのぞき込むと、
三角印のエクスクラメーションマークとエラーメッセージ。
『あなたは不正なプログラムを開きました。
3分以内にコンピュータを破壊します。』
そして残り時間を示す数字と『破壊に同意』か『No』のアイコン。
課長と顔を見合わせる。
何これ。ぞっとするんだけど、…
「の、No、なんじゃないですか?」
「…だよね?」
コンピュータに明るくない者同士、運命共同体みたいな気分で一か八か『No』をクリックする。
と、
『It's great to see you again, Usagi!』
四角で囲まれた英文のメッセージが表れ、その後ろの画面では訳の分からない英語と数字と記号の羅列が流れ始めた。
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