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柚くんが話してくれたのは。
お父さんが再婚して藤倉グループの経営代表になったんだけど、
創業家が敵視して対立関係になり、会社に混乱をもたらした。
そこで総帥が創業家側と経営側の結婚を提案して和解させ、事態を収めようとした。
表向き収まったんだけど、水面下で過激派が動いていて、
あらゆる手段を用いて経営側の失脚を狙っている。
カズマ容疑者はその一部で、経営データやシステムをクラッキングしたので、
対応に柚くんが借り出された。
自分のスキルを阻止されたカズマ容疑者は個人的に柚くんに恨みを募らせ、報復に手段を選ばなくなっている。
「あいつの標的は俺だけど、あいつには仲間もいるし、違法な武器も所持してるみたいだし、会社のセキュリティも破られているから、…気を付けて」
柚くんが辛そうな顔をしている。
柚くんがカズマ容疑者に刺された時の恐怖を思い出すと、切実なものがある。
…柚くんを、抱きしめたい。
「警察も追ってるんだろうけど、簡単に脱走できるんなら何か組織的なものがついているのかもしれない。…万全の対策をするべきだろうな」
桐生さんは首をひねってから、
「ところで、お前が経営側であのモデルが創業家ってこと?」
私的に目下一番の懸案事項にいきなり切り込んだ。
いや、気になることはいろいろありますよ。それどころじゃないっていうかね。刺されないようにするにはどうすればいいか、とか。組織とかもう別世界過ぎてイメージもできない、とか。カズマさんがどこにいるのか考えると怖い、とか。
でも、でも、でもね。
やっぱりそこはスルー出来ないでしょう!
「まあ、そんな感じ」
もはやどうでも良さそうというか、若干だるそうな柚くんに、
「柚くん、結婚するの?」
ちょっと食い気味に突っ込んでしまった。
柚くんは一瞬驚いたように私を見てから、何でもないことのようにさらりと言った。
「…するよ」
するの―――――っ!?
本気で目の前が真っ暗になって何の音も聞こえなくなって鉛を飲み込んだみたいに胸の奥が重くなって、…
ちゅ。
全ての感覚が麻痺したみたいに凍りついていた私の唇に柚くんが触れた。
え、…
「お前がしたいなら」
すぐ目の前に、きれいな瞳を意地悪にきらめかせている柚くんがいた。
な、な、な、…!?
なに!? なに!?
どういうこと―――――!?
もう何が何だかよくわからなくて、とりあえず滝のように涙が溢れた。
「…はいはい」
柚くんが片腕で私を抱き寄せて、壊れたようにだばだば涙を流している私をその胸の中で泣かせてくれた。
「…お前、ドSだな。絶対好きな子いじめて泣かせてただろ」
呆れたような桐生さんの声がする。
「まあ、…これでも結構ムカついてるんで」
柚くんがしゃべると胸から振動が伝わる。
温かくて心地よくていい匂いがする。
なんか柚くんがムカついてるみたいなんだけど、それでもやっぱりこの胸の中は誰にも渡したくない、なぁ…
お父さんが再婚して藤倉グループの経営代表になったんだけど、
創業家が敵視して対立関係になり、会社に混乱をもたらした。
そこで総帥が創業家側と経営側の結婚を提案して和解させ、事態を収めようとした。
表向き収まったんだけど、水面下で過激派が動いていて、
あらゆる手段を用いて経営側の失脚を狙っている。
カズマ容疑者はその一部で、経営データやシステムをクラッキングしたので、
対応に柚くんが借り出された。
自分のスキルを阻止されたカズマ容疑者は個人的に柚くんに恨みを募らせ、報復に手段を選ばなくなっている。
「あいつの標的は俺だけど、あいつには仲間もいるし、違法な武器も所持してるみたいだし、会社のセキュリティも破られているから、…気を付けて」
柚くんが辛そうな顔をしている。
柚くんがカズマ容疑者に刺された時の恐怖を思い出すと、切実なものがある。
…柚くんを、抱きしめたい。
「警察も追ってるんだろうけど、簡単に脱走できるんなら何か組織的なものがついているのかもしれない。…万全の対策をするべきだろうな」
桐生さんは首をひねってから、
「ところで、お前が経営側であのモデルが創業家ってこと?」
私的に目下一番の懸案事項にいきなり切り込んだ。
いや、気になることはいろいろありますよ。それどころじゃないっていうかね。刺されないようにするにはどうすればいいか、とか。組織とかもう別世界過ぎてイメージもできない、とか。カズマさんがどこにいるのか考えると怖い、とか。
でも、でも、でもね。
やっぱりそこはスルー出来ないでしょう!
「まあ、そんな感じ」
もはやどうでも良さそうというか、若干だるそうな柚くんに、
「柚くん、結婚するの?」
ちょっと食い気味に突っ込んでしまった。
柚くんは一瞬驚いたように私を見てから、何でもないことのようにさらりと言った。
「…するよ」
するの―――――っ!?
本気で目の前が真っ暗になって何の音も聞こえなくなって鉛を飲み込んだみたいに胸の奥が重くなって、…
ちゅ。
全ての感覚が麻痺したみたいに凍りついていた私の唇に柚くんが触れた。
え、…
「お前がしたいなら」
すぐ目の前に、きれいな瞳を意地悪にきらめかせている柚くんがいた。
な、な、な、…!?
なに!? なに!?
どういうこと―――――!?
もう何が何だかよくわからなくて、とりあえず滝のように涙が溢れた。
「…はいはい」
柚くんが片腕で私を抱き寄せて、壊れたようにだばだば涙を流している私をその胸の中で泣かせてくれた。
「…お前、ドSだな。絶対好きな子いじめて泣かせてただろ」
呆れたような桐生さんの声がする。
「まあ、…これでも結構ムカついてるんで」
柚くんがしゃべると胸から振動が伝わる。
温かくて心地よくていい匂いがする。
なんか柚くんがムカついてるみたいなんだけど、それでもやっぱりこの胸の中は誰にも渡したくない、なぁ…
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