セカンドラブ ー30歳目前に初めての彼が7年ぶりに現れてあの時よりちゃんと抱いてやるって⁉ 【完結】

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「えー、いいじゃん。付き合っちゃいなよ」

ナミちゃんは、小柄な身体を忙しく動かして豪快に笑った。

土曜日。夕暮れ。郊外の団地。
餃子鍋パーティー。

大学時代から唯一の友だちとも言えるナミちゃんは、
3年前に結婚して、2歳のイクちゃんを育てている。
やんちゃ盛りのイクちゃんを追いかけまわして忙しそうだが、
建設会社に勤務する旦那様は穏やかで優しく、
団地住まいの奥様方とも仲良くやっている。

「いいなぁ、セカンドラブ」

その証拠に、せっせと餃子を包むタコさんこと多佳子さんも、

「ね、でも奥さんのことははっきりさせた方がいいね」

熱々のイワシ餃子を惜しみなく振舞ってくれるマコさんこと昌子さんも、
全く気取りがなく自然体。

「旭町団地妻ズの会」に突如乱入した私を温かく迎えてくれた。

和気あいあいとビールを片手に餃子鍋をつつくナミちゃんのお家は、
賑やかでとても居心地がいい。

恋愛スキルがない私はナミちゃんに泣きつき、団地の奥様方に指南を仰いでいるのだった。

「昔の彼も前に進んでるみたいだし、あおいももう新しい恋をしてもいいと思う」

イクちゃんの分を取り分けて食べさせながら、ナミちゃんが私に優しい目を向けた。

「せっかく見つけてもらえたんだから」

ナミちゃんは、私がこれまで頑なに恋愛してこなかったことを知っている。

そんな私を心配して、私に合いそうな人を何人も紹介してくれた。
素敵な人ばかりだった。

でも。

自分にはそんな資格はないと思った。

中学生に手を出したことは許されないし、
現実を認める勇気もなかった。

「そうよ。恋愛なんて出来るうちにした方がいいわよ」
「そうよそうよ。ずっと恋してたいって思ったって、結婚して10年もすりゃ、こいつの靴下洗いたくないってなるんだから」

タコさんとマコさんが唾を飛ばしながら同調する。

「ホントにね~、娘にまで、お母さんオトコ見る目ない、とか言われてさ」
「やだウケる。お宅のリサちゃんそんなこと言うの」
「そうよ、もうやんなっちゃう」
「いいじゃない、まだ。女の子は話してくれて。ウチなんかろくに返事もしないくせに脱毛ローションとか使ってんの」
「へえ~、今どきは男の子も気を遣うのね」

お二人は中高生のお子さんを持つ先輩ママであるらしい。
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