セカンドラブ ー30歳目前に初めての彼が7年ぶりに現れてあの時よりちゃんと抱いてやるって⁉ 【完結】

remo

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「ちょっと、あおちゃん!どういうこと?どういうこと? 一体どういうこと―――――っ」

昼休み。食堂階通路。端に位置する女子トイレ。
結子さんが、貸してくれた自分のブラウスの襟を握りしめ、私の首を締め上げている。

「ぎ、ぎ、ギブです!ギブギブ!」

可憐な結子さんのどこにこんな力が。
これは真面目に首の骨が折れる。

「話して!」

やっと入ってきた空気を吸うと、のどの奥がひゅうひゅう鳴った。

結子さんは、私と桐生さんが朝一緒だったという話を耳にしたらしく、目がすわっている。

「や、やましいことは何にもありません。昨日たまたま居合わせたので飲んだだけでして」

話し始めた自分の声ががっさがさでぞっとしたが、結子さんは気にも留めない様子で恨みがましい視線を送ってくる。

恋は人を狂わせる。
名言だ。

「…昨日のあの着信。……そう」

一通り話を聞いた結子さんはトーンダウンしたが、

「でもっ!意地でも呼んで欲しかった!颯人のマンションに泊まったなんてずるいよ!」

頬を膨らませる怒り顔は可愛いが、再び私の襟元をつかんでグラグラと揺さぶる力は強い。

二日酔いはだいぶ醒めてきたけれど、頭が揺れて、遠くで鐘の幻聴がする。

「…それで、…あの女は?」
「あの、…?」
「……サオリ」

沙織さんというのは、桐生さんの奥様の名前だ。

動転していて定かではないけれど、インテリアも小物も素っ気なく、
アメニティグッズみたいなものも、奥様の気配を感じさせなかった。

だいたい、私が寝ていたベッドは、…夫婦のベッドにしては小さい気がする。

「相変わらず嫌みったらしく奥様然としてたわけ?」

結子さんが吐き捨てる。

「それが、ちょっと、…会えなくて」

桐生さんと沙織さんは学生時代からの付き合いらしく、誰もがうらやむ美男美女カップルで、海外赴任前に挨拶に来た時もきびきび立ち回って、桐生さんとお互いを尊敬し合って支え合っている感じだった。

「だからですね、…ホント、玄関先でちょっと寝かせてもらった感じで、お部屋を拝見したり、奥様にご挨拶したりするような状況じゃなくて、ですね、…」

結子さんの視線が怖すぎて言い訳めいた口調になりながら、
桐生さんのプライベートについては黙っておこうと思った。

まして、桐生さんと一緒に寝たなど、口が裂けても言うまいと思った。

…殺される。
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