【完結】君への祈りが届くとき

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Ⅱ.有輝

18.

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こんな風に、答えを求められることもなく、
急かされることもなく、ただ見上げていると、
この空がずっと続いていることを実感できた。

あかりの上にも。
慎弥さんにも。父親にも。兄貴にも。
あらゆる人の上に平等に。

俺は間違えてばかりだけど、それでも、まだ。
やり直せるだろうか。

今は、この世の中で一番価値のない人間だとしても、
誰かに必要としてもらえる日が来るだろうか。

「それを見つけるために、あきらめるなよ、有輝」

政さんの言葉がオレの中に降り積もった澱みを洗い流し、
空から降り注ぐ明るい日差しを浴びさせてくれるような気がした。

「…はい」

果てなく青い空に感化されて、その日の夜はいつもより穏やかな気持ちで電話をかけた。

「---…俺」

真夜中、ほんの一時だけ、相槌をもらうだけで、十分だったのに、

その夜、天使が俺を呼んだ。



「…会いたい」



驚いて、思わず通話を切ってしまった。

あかりが俺に何かを願うのは初めてで。
あかりが俺に何かを求めるのも初めてで。

胸の奥が掴まれて、たまらない気持になった。

小さな子どものように俺の腕の中で泣いていたあかりを思い出して、
今すぐに抱きしめたくて、
政さんの家まで自転車で駆け抜けた。

「政さん!俺、行かなきゃ!」

真夜中にたたき起こされて、眠そうに眼をこすりながら、政さんが笑った。

「有輝、お前、いい顔してるなぁ」

その声を聞いたら、急に、政さんへの思いが溢れて、年甲斐もなく政さんに抱き付いてしまった。

「大丈夫だ、有輝。お前は大丈夫だよ」

俺は誰かを守れるほど強くないけれど、
いつか、政さんや慎弥さんみたいに、人の心の内を灯してあげられるような人間になりたいと思う。

そんな風に生きることが、恩返しになるような気がした。
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