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blue.91

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「…のいちゃん? 大丈夫?」

どのくらい経ったのか、出来る限り身体を縮めて衝撃に耐え、固く目を閉じて爆風と振動が収まるのを待った。

私に覆いかぶさって衝撃から守ってくれた武邑さんが、背中の上で身動きし身体を退かせると暗かった視界が少し開けた。けれど、まだ周囲には灰色の煙が立ち込めている。

頭から砂塵をかぶり、吸い込んでしまったおかげで鼻や口がむずがゆい。
頭を振って砂だらけの顔を袖で拭った。

「ありがとうございます」

武邑さんが起き上がるのに手を貸してくれた。
武邑さんがかばってくれたおかげで身体を動かしても特に痛いところはなかった。

「ひどいな、…」

折れた木やタイルや割れたガラスなど、周りに瓦礫が散乱していた。
ウィンエンターテイメントのビルが一部倒壊し、露出した柱の元に崩れた外壁やコンクリートの山が出来ている。
火の手は見えなかったが、黒い煙がもうもうと上がっている。
突然の飛来物に周辺の道路は大混乱に陥っていた。

消防車と救急車のサイレンが響く。
人々を誘導したりけが人を救出したり瓦礫の下敷きになった人を助け起こしたりする作業が始められていた。

「…地震、じゃないですよね?」

倒壊しているのはウィンエンターテイメントのビルだけだ。

「うん。…ビルの地下で何か激しい爆発が起こったんだと思う」

地下で。激しい爆発。

「…奏くん」

心臓をえぐり取られたような恐怖を感じて、倒壊したビルの瓦礫に駆け寄った。

奏くんは、このビルの地下にいた。
まさかまだ、この中にいる…?

「奏くんっ‼」
「のいちゃん、危ない」

武邑さんに腕をつかまれて阻まれた。

「まだ倒壊の危険がある。近づいちゃダメだ」

そんな。だって、…
武邑さんが悲痛に顔を歪め、

「救助活動に行ってくる。のいちゃんは安全なところに居て」

言い残すと駆けつけた消防と警察の中に合流していった。

足元の地面が抜け落ちたみたいに力が入らなくてその場にへたり込む。

そんな。
奏くんがこの倒壊したビルの下にいるなんて、そんなの嫌だ…‼
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