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1章. ゆい
machi.19
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「お疲れ」
仕事が終わったタイミングを見計らったかのように、結城先生からメールが届いた。地下駐車場に行くと、先生が車で待っていた。
「翔が待ってるな。行こうか」
「はい」
結城先生がいたわるように私の頭に手を乗せて、優しくなでる。
暗闇に沈む門の脇に佇んでいる背の高い人が、一瞬、悠馬に似ていたような気がして胸が軋んだ。
悠馬の携帯番号が書かれたメモは、手帳に挟んだまま。
職員控室でずっと眺めたまま、動けずにいたところに
先生からのメールが届いた。
電話できなかった。
だって、なんて言えばいい?
結婚している悠馬に、翔のことを告げたら。
『あたし絶対離れない』
きっと、このままの方がいい。
発車してからも、病院の敷地を出るまで、結城先生が髪や頭をなでていてくれた。
その夜。
「ゆい」
翔が寝入ってから、先生は私を正面から抱きしめた。
隙間がないくらいぴったりと抱きしめられて、否応なしに男の人らしい身体を感じさせられる。
「…先生?」
「黙って…」
腰が引けそうになるのを逃がさないように先生が全身でがっちり抱きすくめ、唇で私の輪郭をなぞる。
「ゆい…」
優しい触れるだけのキスじゃなかった。
「…俺のことだけ、考えとけ」
少し強引に、性急に舌が入り込み、口内をまさぐられる。
誘い出された舌を絡められ、唇を食まれる。
息をするのが精いっぱいで、もう、頭がついていかない。
悠馬のキスが、消えていく―――……
「リナとYumaがツーショットで来てたらしいじゃん!」
「特別室のお見舞いでしょ。音楽関係のお偉方らしいね」
「外にマスコミもいたらしいじゃん。新婚初のツーショットとか、狙ってんのかね」
「あたし、リナ、チラ見しちゃった~。すっごいすっごい細くてきれいっ!」
「え~。いいな~」
正月明けのナースステーションは、リナさんと悠馬ネタで盛り上がっていた。
「あたし、Yuma見た!めちゃめちゃかっこいいよ!やばいよ!あれはマジでかなりやばい!」
「いやぁ!ウソ、ウソ、ずるいぃぃ~~」
ナースさんたちが黄色い歓声を上げる。
「正月返上で仕事来たかいあったね。さ、行くわよ」
興奮冷めやらない様子のナースさんたちを連れて、杏子師長がステーションを出ていく。
「けどさ、なんか…、リナ、泣いてたって…」
出がけに、ナースさんの声が届いて、胸に鉛を押し込まれたような息苦しさを感じた。
仕事が終わったタイミングを見計らったかのように、結城先生からメールが届いた。地下駐車場に行くと、先生が車で待っていた。
「翔が待ってるな。行こうか」
「はい」
結城先生がいたわるように私の頭に手を乗せて、優しくなでる。
暗闇に沈む門の脇に佇んでいる背の高い人が、一瞬、悠馬に似ていたような気がして胸が軋んだ。
悠馬の携帯番号が書かれたメモは、手帳に挟んだまま。
職員控室でずっと眺めたまま、動けずにいたところに
先生からのメールが届いた。
電話できなかった。
だって、なんて言えばいい?
結婚している悠馬に、翔のことを告げたら。
『あたし絶対離れない』
きっと、このままの方がいい。
発車してからも、病院の敷地を出るまで、結城先生が髪や頭をなでていてくれた。
その夜。
「ゆい」
翔が寝入ってから、先生は私を正面から抱きしめた。
隙間がないくらいぴったりと抱きしめられて、否応なしに男の人らしい身体を感じさせられる。
「…先生?」
「黙って…」
腰が引けそうになるのを逃がさないように先生が全身でがっちり抱きすくめ、唇で私の輪郭をなぞる。
「ゆい…」
優しい触れるだけのキスじゃなかった。
「…俺のことだけ、考えとけ」
少し強引に、性急に舌が入り込み、口内をまさぐられる。
誘い出された舌を絡められ、唇を食まれる。
息をするのが精いっぱいで、もう、頭がついていかない。
悠馬のキスが、消えていく―――……
「リナとYumaがツーショットで来てたらしいじゃん!」
「特別室のお見舞いでしょ。音楽関係のお偉方らしいね」
「外にマスコミもいたらしいじゃん。新婚初のツーショットとか、狙ってんのかね」
「あたし、リナ、チラ見しちゃった~。すっごいすっごい細くてきれいっ!」
「え~。いいな~」
正月明けのナースステーションは、リナさんと悠馬ネタで盛り上がっていた。
「あたし、Yuma見た!めちゃめちゃかっこいいよ!やばいよ!あれはマジでかなりやばい!」
「いやぁ!ウソ、ウソ、ずるいぃぃ~~」
ナースさんたちが黄色い歓声を上げる。
「正月返上で仕事来たかいあったね。さ、行くわよ」
興奮冷めやらない様子のナースさんたちを連れて、杏子師長がステーションを出ていく。
「けどさ、なんか…、リナ、泣いてたって…」
出がけに、ナースさんの声が届いて、胸に鉛を押し込まれたような息苦しさを感じた。
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