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1章. ゆい
machi.6(回想)
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「この後、時間あったら遊びに行こう?」
日差しに透けた髪がキラキラ光って、左耳のピアスが眩しくて、とても真っ直ぐ見ることなんて出来ない。
この人が私の方を向いてくれるなんて奇跡だ。
ゆい。
この人が私を見て、ハスキーな甘い声で切なくなるほど、優しく名前を呼んでくれるなんて。
奇跡だって、ちゃんとわかってる。神様がくれた気まぐれだって。
わかってるから、言わない。
好き。なんて、
思い上がりで迷惑をかけたりしない。
今だけ、神様が許してくれた気まぐれな時間だけ、そばにいられたら。
桜井悠馬と手をつないで夕暮れの街を歩いた。
映画を観て、ポップコーンを食べた。
閉園前の観覧車に乗って、きらめくイルミネーションを眺めた。
観覧車の頂上で、出来すぎてる、初めてのキス。
ゆい。…抱きたい。
地味にまじめに生きてきた私に、神様が一晩だけ、奇跡をくれたんだって思った。
この先何があっても、その記憶を抱えて、生きていけると思った。
ゆい。
彼の声が耳をくすぐる奇跡。
飢えたように、繰り返されるキス。
抱きしめられた身体が熱い。
一晩中、彼が離れることはなく、快感と羞恥と感動で、
あまりにも非現実すぎて、夢かもしれないと思った。
……夢でも良かった。
彼はほとんどずっと中にいて、内からも外からも優しく揺らした。
唇と舌も溶け合って肌は隙間なく張り付いて、
奥深くで混ざり合って、境界線がわからなくなりそうだった。
どこまでも一つに繋がっていた。
あの声を発する彼の口から、何度か水を得た。
甘くて、切なくて、うまく飲めなくても、繰り返しそそがれた。
眠ったのか気を失ったのか、記憶が途切れて気がつくと、
彼の腕の中に固く閉じ込められていて、彼は中に留まったまま、また揺らし始める。
文字通り頭のてっぺんから足のつま先まで、
指の一本一本に、震えるまつ毛に、繋がる身体の中心に、
…彼は至る所に触れ、熱く口づけた。
身体が内側から溶けてなくなり、
彼が注いだものだけが残って、
彼が刻んだものだけが確かで、
自分が新しく創り変えられた時にはもう、
彼はどこにもいなかった。
日差しに透けた髪がキラキラ光って、左耳のピアスが眩しくて、とても真っ直ぐ見ることなんて出来ない。
この人が私の方を向いてくれるなんて奇跡だ。
ゆい。
この人が私を見て、ハスキーな甘い声で切なくなるほど、優しく名前を呼んでくれるなんて。
奇跡だって、ちゃんとわかってる。神様がくれた気まぐれだって。
わかってるから、言わない。
好き。なんて、
思い上がりで迷惑をかけたりしない。
今だけ、神様が許してくれた気まぐれな時間だけ、そばにいられたら。
桜井悠馬と手をつないで夕暮れの街を歩いた。
映画を観て、ポップコーンを食べた。
閉園前の観覧車に乗って、きらめくイルミネーションを眺めた。
観覧車の頂上で、出来すぎてる、初めてのキス。
ゆい。…抱きたい。
地味にまじめに生きてきた私に、神様が一晩だけ、奇跡をくれたんだって思った。
この先何があっても、その記憶を抱えて、生きていけると思った。
ゆい。
彼の声が耳をくすぐる奇跡。
飢えたように、繰り返されるキス。
抱きしめられた身体が熱い。
一晩中、彼が離れることはなく、快感と羞恥と感動で、
あまりにも非現実すぎて、夢かもしれないと思った。
……夢でも良かった。
彼はほとんどずっと中にいて、内からも外からも優しく揺らした。
唇と舌も溶け合って肌は隙間なく張り付いて、
奥深くで混ざり合って、境界線がわからなくなりそうだった。
どこまでも一つに繋がっていた。
あの声を発する彼の口から、何度か水を得た。
甘くて、切なくて、うまく飲めなくても、繰り返しそそがれた。
眠ったのか気を失ったのか、記憶が途切れて気がつくと、
彼の腕の中に固く閉じ込められていて、彼は中に留まったまま、また揺らし始める。
文字通り頭のてっぺんから足のつま先まで、
指の一本一本に、震えるまつ毛に、繋がる身体の中心に、
…彼は至る所に触れ、熱く口づけた。
身体が内側から溶けてなくなり、
彼が注いだものだけが残って、
彼が刻んだものだけが確かで、
自分が新しく創り変えられた時にはもう、
彼はどこにもいなかった。
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