111 / 118
hage.111
しおりを挟む
チナツがハンカチをくれて背中をさすってくれた。
「え…?えっと、…デキたの?え?え?終わったって、…?」
チナツがオレの顔色を見ながら恐る恐るって感じで尋ねる。
デキ…?
「…てねーしっ!!」
おかげで涙が引っ込んだ。
ヤればデキることくらいオレにもわかる。
確かにリツキとイタリアでヤりまくったけど、あれは二ヶ月以上前だし、リツキはちゃんと着けるし、…
「ごめん。ちょっと混乱して。食いしん坊のアイが吐くなんて相当具合悪いんだろうけど、リツキくんと終わったなんてあり得ないし、デキちゃった方がよっぽどありかと…」
もごもご言ってるチナツを見たら、ちょっと笑えた。
マジでデキてたら、リツキ、オレのこと捨てなかったかな。
一瞬そんな考えがよぎって、やっぱりオレは壊れかけてると思った。
そんな理由でそばにいてくれても嬉しくねー。
「…リツキくんが心変わりって、…いやいや、それはないよ。天地がひっくり返ってもそれだけは絶対ない!!」
チナツがきっぱりはっきり、力強く断言する。
気持ちは嬉しいけど、
「…アイツ、はっきりそう言ったしな」
ベッドに仰向けに横になる。
目がヒリヒリして、喉がイガイガする。
リツキはラウラの手をとった。
「百歩譲って、リツキくんがそう言ったなら、…」
チナツがオレの目をのぞきこむ。
「アイのためだよ。それしか考えられない」
チナツの言うことがよくわからなくて、目をしばたたいた。
ネックレス無くしたり、小細工してごまかしたりしたオレに、愛想尽かしたんじゃねーの?
んで、従順そうなイタリア美女に走った…
「な、わけないじゃん!」
イジイジぶつぶつ言ってるオレをチナツがスッパリ斬り捨てる。
「ネックレスのことはさ、そりゃあ怒ってるかもしれないけど、他に理由があるんだと思うよ。リツキくん、アイしか見えてないもん、絶対そうだよ」
チナツが冷たく絞ったタオルを目の上に乗せてくれた。
「こんなアイ見たら、…リツキくんだって辛いと思うな」
オレの髪を軽く撫でると、また後で来ると言って、チナツは教室に戻っていった。
オレのため?
リツキが辛い?
そんなこと、あるか?
だって、そんなの、理由がわかんないよ。
『もう、…お前とは付き合えない』
リツキ。
何かあったのかな。
イタリアで、オレが知らないうちに、何か…
思考がぐるぐる回って、いつしか緩やかな眠気に襲われていた。
オレを撫でるリツキの長い指。
優しい感触。
甘いリツキの匂い。
力強い腕。熱い胸。
わかんないよ、リツキ。
何があって、何を考えてんのか、ちゃんと教えてほしいよ…
「え…?えっと、…デキたの?え?え?終わったって、…?」
チナツがオレの顔色を見ながら恐る恐るって感じで尋ねる。
デキ…?
「…てねーしっ!!」
おかげで涙が引っ込んだ。
ヤればデキることくらいオレにもわかる。
確かにリツキとイタリアでヤりまくったけど、あれは二ヶ月以上前だし、リツキはちゃんと着けるし、…
「ごめん。ちょっと混乱して。食いしん坊のアイが吐くなんて相当具合悪いんだろうけど、リツキくんと終わったなんてあり得ないし、デキちゃった方がよっぽどありかと…」
もごもご言ってるチナツを見たら、ちょっと笑えた。
マジでデキてたら、リツキ、オレのこと捨てなかったかな。
一瞬そんな考えがよぎって、やっぱりオレは壊れかけてると思った。
そんな理由でそばにいてくれても嬉しくねー。
「…リツキくんが心変わりって、…いやいや、それはないよ。天地がひっくり返ってもそれだけは絶対ない!!」
チナツがきっぱりはっきり、力強く断言する。
気持ちは嬉しいけど、
「…アイツ、はっきりそう言ったしな」
ベッドに仰向けに横になる。
目がヒリヒリして、喉がイガイガする。
リツキはラウラの手をとった。
「百歩譲って、リツキくんがそう言ったなら、…」
チナツがオレの目をのぞきこむ。
「アイのためだよ。それしか考えられない」
チナツの言うことがよくわからなくて、目をしばたたいた。
ネックレス無くしたり、小細工してごまかしたりしたオレに、愛想尽かしたんじゃねーの?
んで、従順そうなイタリア美女に走った…
「な、わけないじゃん!」
イジイジぶつぶつ言ってるオレをチナツがスッパリ斬り捨てる。
「ネックレスのことはさ、そりゃあ怒ってるかもしれないけど、他に理由があるんだと思うよ。リツキくん、アイしか見えてないもん、絶対そうだよ」
チナツが冷たく絞ったタオルを目の上に乗せてくれた。
「こんなアイ見たら、…リツキくんだって辛いと思うな」
オレの髪を軽く撫でると、また後で来ると言って、チナツは教室に戻っていった。
オレのため?
リツキが辛い?
そんなこと、あるか?
だって、そんなの、理由がわかんないよ。
『もう、…お前とは付き合えない』
リツキ。
何かあったのかな。
イタリアで、オレが知らないうちに、何か…
思考がぐるぐる回って、いつしか緩やかな眠気に襲われていた。
オレを撫でるリツキの長い指。
優しい感触。
甘いリツキの匂い。
力強い腕。熱い胸。
わかんないよ、リツキ。
何があって、何を考えてんのか、ちゃんと教えてほしいよ…
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
ヤマネ姫の幸福論
ふくろう
青春
秋の長野行き中央本線、特急あずさの座席に座る一組の男女。
一見、恋人同士に見えるが、これが最初で最後の二人の旅行になるかもしれない。
彼らは霧ヶ峰高原に、「森の妖精」と呼ばれる小動物の棲み家を訪ね、夢のように楽しい二日間を過ごす。
しかし、運命の時は、刻一刻と迫っていた。
主人公達の恋の行方、霧ヶ峰の生き物のお話に添えて、世界中で愛されてきた好編「幸福論」を交え、お読みいただける方に、少しでも清々しく、優しい気持ちになっていただけますよう、精一杯、書いてます!
どうぞ、よろしくお願いいたします!
深海の星空
柴野日向
青春
「あなたが、少しでも笑っていてくれるなら、ぼくはもう、何もいらないんです」
ひねくれた孤高の少女と、真面目すぎる新聞配達の少年は、深い海の底で出会った。誰にも言えない秘密を抱え、塞がらない傷を見せ合い、ただ求めるのは、歩む深海に差し込む光。
少しずつ縮まる距離の中、明らかになるのは、少女の最も嫌う人間と、望まれなかった少年との残酷な繋がり。
やがて立ち塞がる絶望に、一縷の希望を見出す二人は、再び手を繋ぐことができるのか。
世界の片隅で、小さな幸福へと手を伸ばす、少年少女の物語。

拝啓、あしながおじさん。 ~令和日本のジュディ・アボットより~
日暮ミミ♪
恋愛
現代の日本。
山梨県のとある児童養護施設に育った中学3年生の相川愛美(あいかわまなみ)は、作家志望の女の子。卒業後は私立高校に進学したいと思っていた。でも、施設の経営状態は厳しく、進学するには施設を出なければならない。
そんな愛美に「進学費用を援助してもいい」と言ってくれる人物が現れる。
園長先生はその人物の名前を教えてくれないけれど、読書家の愛美には何となく自分の状況が『あしながおじさん』のヒロイン・ジュディと重なる。
春になり、横浜にある全寮制の名門女子高に入学した彼女は、自分を進学させてくれた施設の理事を「あしながおじさん」と呼び、その人物に宛てて手紙を出すようになる。
慣れない都会での生活・初めて持つスマートフォン・そして初恋……。
戸惑いながらも親友の牧村さやかや辺唐院珠莉(へんとういんじゅり)と助け合いながら、愛美は寮生活に慣れていく。
そして彼女は、幼い頃からの夢である小説家になるべく動き出すけれど――。
(原作:ジーン・ウェブスター『あしながおじさん』)
カフェノートで二十二年前の君と出会えた奇跡(早乙女のことを思い出して
なかじまあゆこ
青春
カフェの二階でカフェノートを見つけた早乙女。そのノートに書かれている内容が楽しくて読み続けているとそれは二十二年前のカフェノートだった。 そして、何気なくそのノートに書き込みをしてみると返事がきた。 これってどういうこと? 二十二年前の君と早乙女は古いカフェノートで出会った。 ちょっと不思議で切なく笑える青春コメディです。それと父との物語。内容は違いますがわたしの父への思いも込めて書きました。
どうぞよろしくお願いします(^-^)/
「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~
kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる