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hage.107
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「おかえり、アイ。本多リツキに会った?今日はクリームブリュレを焼いたから、なんだったら本多リツキにも、…」
家に入ると、甘い匂いとレオンが迎えてくれた。
その優しい香りと表情に、なんだか泣きたくなった。
「アイ?何かあった?リツキにネックレスのことバレて怒られた?」
レオンがオレの頭に手をのせて顔をのぞき込む。
自分が無様すぎて、今度は笑いたくなる。
リツキは。
怒ってもくれなかった。
「大丈夫だよ、レオン。リツキ、出かけたみたい」
リツキは。
ダメ過ぎるオレを、切り捨てた。
「アイ…」
心配そうなレオンに、なんとか笑う。
「ブリュレ楽しみ!ちょっと着替えてくるな」
部屋に入ったとたん、力尽きてへたり込んだ。
ラウラが来るなんて、聞いてねーし、…
『…離せ』
オレを拒絶して、ラウラと腕組んでた…
「あのね、アイ。ラウラってイイにおいするんだよ」
はにかみながら、こっそり教えてくれたナツキの声は、ラウラにも聞こえていただろう。
ラウラは人好きのする笑みを浮かべて、オレを見た。
背が高くてスラリと手足が長くて、ブロンドが風に揺れて、長いまつ毛に縁取られた目は茶色くて、…眩しい。
オレは引きつった顔のまま、軽く頭を下げてリツキを見たけど、リツキはほんの少しもオレには目を向けなかった。
「…行くぞ」
ラウラとナツキをうながして、さっさと歩いていくリツキの背中は果てしなく遠い。
…オレ、調子に乗ってたのかな。
イタリアでリツキが甘くて優しくて、オレを好きって実感して、お守りまでくれたから。
もう大丈夫って。
オレたちはこれから先もずっと大丈夫って。
『アイは俺が好きで、俺はアイが好きだ。それが全てだろ』
リツキがオレを好きじゃなくなったら、…全て終わりなのに。
クリームブリュレが柔らかくて甘くて、涙が出そうに美味くて、
「アイ…」
頬張るオレを、レオンが優しく抱きしめた。
「リツキがアイを泣かせるなら、俺のとこにおいで」
きれいな碧い瞳がオレを映す。
優しい腕がオレを抱く。
甘くて爽やかなレオンの匂い。
「…りがと、レオン」
だけど、オレが欲しいのはこの腕じゃなくて。
世界で一つだけ、いじわるで甘い、…
「レオンのおかげで落ち着いた。後でリツと話してくる」
リツキが欲しい。
団地の共有通路でリツキの帰りを待った。
ラウラと一緒かと思うとひるむけど、まだオレはリツキに何にも話せてない。
向けられた背中にビビってる場合じゃねー。
…謝ろう。
ちゃんとリツキを見て、ちゃんとリツキに伝わるように。
結構な冷え込みで手足の感覚があやしくなってきた頃、賑やかなナツキの声が聞こえて、リツキの家族が帰ってきた。
家に入ると、甘い匂いとレオンが迎えてくれた。
その優しい香りと表情に、なんだか泣きたくなった。
「アイ?何かあった?リツキにネックレスのことバレて怒られた?」
レオンがオレの頭に手をのせて顔をのぞき込む。
自分が無様すぎて、今度は笑いたくなる。
リツキは。
怒ってもくれなかった。
「大丈夫だよ、レオン。リツキ、出かけたみたい」
リツキは。
ダメ過ぎるオレを、切り捨てた。
「アイ…」
心配そうなレオンに、なんとか笑う。
「ブリュレ楽しみ!ちょっと着替えてくるな」
部屋に入ったとたん、力尽きてへたり込んだ。
ラウラが来るなんて、聞いてねーし、…
『…離せ』
オレを拒絶して、ラウラと腕組んでた…
「あのね、アイ。ラウラってイイにおいするんだよ」
はにかみながら、こっそり教えてくれたナツキの声は、ラウラにも聞こえていただろう。
ラウラは人好きのする笑みを浮かべて、オレを見た。
背が高くてスラリと手足が長くて、ブロンドが風に揺れて、長いまつ毛に縁取られた目は茶色くて、…眩しい。
オレは引きつった顔のまま、軽く頭を下げてリツキを見たけど、リツキはほんの少しもオレには目を向けなかった。
「…行くぞ」
ラウラとナツキをうながして、さっさと歩いていくリツキの背中は果てしなく遠い。
…オレ、調子に乗ってたのかな。
イタリアでリツキが甘くて優しくて、オレを好きって実感して、お守りまでくれたから。
もう大丈夫って。
オレたちはこれから先もずっと大丈夫って。
『アイは俺が好きで、俺はアイが好きだ。それが全てだろ』
リツキがオレを好きじゃなくなったら、…全て終わりなのに。
クリームブリュレが柔らかくて甘くて、涙が出そうに美味くて、
「アイ…」
頬張るオレを、レオンが優しく抱きしめた。
「リツキがアイを泣かせるなら、俺のとこにおいで」
きれいな碧い瞳がオレを映す。
優しい腕がオレを抱く。
甘くて爽やかなレオンの匂い。
「…りがと、レオン」
だけど、オレが欲しいのはこの腕じゃなくて。
世界で一つだけ、いじわるで甘い、…
「レオンのおかげで落ち着いた。後でリツと話してくる」
リツキが欲しい。
団地の共有通路でリツキの帰りを待った。
ラウラと一緒かと思うとひるむけど、まだオレはリツキに何にも話せてない。
向けられた背中にビビってる場合じゃねー。
…謝ろう。
ちゃんとリツキを見て、ちゃんとリツキに伝わるように。
結構な冷え込みで手足の感覚があやしくなってきた頃、賑やかなナツキの声が聞こえて、リツキの家族が帰ってきた。
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