【完結】乙女ざかりハゲざかり〜爆笑ハイテンションラブコメディ

remo

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『売ってねえよ。俺のオリジナルだから』

…マジか!

リツキにメールでネックレスのこと聞いてみたら、そんな返信がきた。

ピースネックレスはリツキがデザインして、ジュエリー工房で形にしてもらったらしい。名前は自分で彫ったっつってた。

なんつーか、嫌味なくらい器用なヤツだな、リツキ。

外したネックレスを目の前に掲げてみる。

胸の奥がギュッてなる。

俺のために、リツキが作ってくれた。カッパメールの陰でこんなの準備して、ホテルも予約して、…

リツキは、オレがさみしいってわかってたのかもしれない。
だから一晩中、一緒にいてくれたのかもしれない。

ネックレスを胸に握りしめた。

もう。大丈夫。

あと半年離れてても、オレはリツキを信じてるし、不安はない。

ずっと大事にしようと心底思った。
リツキがオレのためにくれたネックレス。

まさか。
なくしてしまうなんて。
オレはどこまでバカなんだろう。



「アイ、すごいね。1500mぶっちぎりじゃん」
「まあな、オレ、体育だけは小学校から満点だからな」

…他教科のことは語るまい。

「あ~、疲れたぁ」
「高校女子に長距離走らせるなっての」
「大林、マジ、鬼~」
「だから、オニバヤシだって」

体育の授業が終わって、ぶうぶう言いながら着替える更衣室。

さっさと着替え終わったオレは、もう習慣になっていて意識しないまま、ポケットを探る。

オニバヤシがうるせーから、体育の間はネックレスを外して制服のポケットに入れてある。

それ以外は学校でもずっと付けてる。オレのお守り。

…れ?

「お待たせ、アイ」

何度探っても指先に感触がない。

「どしたの、アイ?」

左右のポケットをひっくり返す。
体操着袋を裏返す。ロッカー、床を隈なく探す。

…ない。

指先が冷たくなって、背中に冷や汗が伝う。

…ネックレスがない。

「アイ、…どうしたの?」

床に這いつくばったまま、動けなくなったオレに、チナツが心配そうな目を向ける。

「…なくした」

口に出したら、余計に思い知らされる。

「リツのネックレス、…なくしちゃった」

自分でもギョッとするほど、声が震えていた。

どうしよう…!

「アイ、落ち着いて思い出してみなよ。最後に見たのは?いつ、どこで?」

チナツがオレの肩を抱く。

「体育の前に、ここで外してポケットに入れたんだ。確かに、入れたんだ…」

でも、ない。
何度確かめても、ない。

「ポケットからなくなるなんて…」

チナツがオレを立たせて目をのぞき込む。

「考えたくないけど、なくなったんじゃなくて、…」

「いや。オレ、どっかに落としてるのかも!」

しっかりしろ、と足に言い聞かせる。

「チナツ、オレ、今日通ったところ全部探してくるっ」
「アイ…!」

更衣室から走り出た。

考えるな。他の誰かのせいなんて。
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