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hage.100

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ハセガワ、マジでリツキのこと好きなワケじゃねーよな?

想像しかけて、…やめた。
へこむ。

「おっ、お前がなんと言おうと、俺はアイ一筋だから!お前がここでグズグズしてる間に、アイは俺がもらうっ!」

なんとかリツキを押し退けたレオンが叫んでいる。

声に気づいて誰かが出てきそうでハラハラするけど、今のところ気配はない。

「無理だな」

レオンに押し退けられたリツキが余裕そうな笑みを浮かべた。

「アイは俺が好きで、俺はアイが好きだ。それが全てだろ」

リツキの言葉に、レオンが動きを止めた。
オレも、動けなくなった。

あんまりにも単純で。
あんまりにも真実だった。

オレもリツキもまだ高校生で、社会的地位も収入も、レオンみたいに確固たるものは何にも持っていないけど。

「俺はっ、…」

レオンが両手を強く握りしめる。

「他に何があっても幸せにはなれない」

リツキの言うとおりだと思った。

オレはリツキが好きで。

「アイ」

リツキがオレに向き直ると、

「だから、大丈夫。イイ子で待ってろよ」

片手を上げて、朝霞が漂う街の向こうに消えていった。

リツキはオレが好き。

リツキの言葉が胸に落ちる。

「…ふん。本多リツキは相変わらずふざけてキザな野郎だな」

レオンが少しふてくされたような顔で戻ってきた。

「レオン、オレ、…」
「あー、アイ。俺はまだいるからな、お前のそばに」

レオンがオレの頬をつつく。

「本多リツキにイイ格好ばかりさせてたまるか。アイがさみしくないように、アイツがいない間は俺がそばにいる」

「レオちゃん、けなげ~。それでリツキの点数を稼ごうと?」

「おい、長谷川。聞き捨てならないな。俺は本多リツキとは無縁だ!余計なことは絶対言うなよ!」

言いあっているレオンとハセガワの両方に、感謝している。

オレ、イタリアに来てよかった。



「ちょっと、リっくん、どこよ~? 万事上手くやったら、熱いハグとチューしてくれるって約束なのよ~」

ホテルに入って、こっそり部屋に戻ろうとしたら、カワシマにつかまった。

「あー、…その話」

けど、カワシマはとっくにリツキに懐柔されているらしい。

ギロリと恨みがましさ全開でオレを見るカワシマの視線がこえー。

「ちょっとコマちゃん? 何かしらこのキラキラした幸せの象徴みたいなモノはぁ?」

カワシマが力任せにネックレスをつかむから首が締まる。

「…ギギギ、ギブギブ」

カワシマ、ハナクソとキャラ被ってんじゃねーかよ。

「あー、あの件は、タカヤが代わりにやるってことになったらしい、デスよ」

ハセガワとレオンがカワシマを取り押さえてくれた。

「シュンくん?…んもぉ、シュンくんてば、照れ屋さんなんだからぁ。昨日もせっかく夜這いに行ったのに~」

カワシマはオレを離すと微妙に頬を染める。

「も~う、待ってて、シュンくん!アヤは今行くわぁ~」

怒涛のようなカワシマが去って行くのを見送って、

「哀れ、タカヤ。幸運を祈る」
「本多リツキ、つくづくヒトデナシだな」
「あの、カワシマの前向きパワーは尊敬に値するよな」

オレたちの感想はそれぞれだった。

「アイ~っ、よかったねぇ」

部屋に戻ったオレを待ち構えていたかのように、チナツが飛んで来て、抱きしめてくれた。

「ハセガワくんに聞いたよ。リツキくんとラブラブしてきたんでしょ?」

起床時間までチナツのベッドにもぐりこんでひそひそ話した。

「うん、オレ、…イタリアに来てよかった」
「ねぇ!これ、すごく素敵~っ、さすがリツキくん!女心わしづかみっ!」

チナツがオレのネックレスを見て興奮している。

「高そう…」

そういや、ホテル代もタクシー代も全部リツキが払ってたな。
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