【完結】乙女ざかりハゲざかり〜爆笑ハイテンションラブコメディ

remo

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「見下げ果てた振る舞いだな、本多リツキ。これがお前の愛情か?」

レオンの尖った声が夜明けのひんやりした空気を切り裂く。

「…誰だよ?」

リツキがオレを抱き寄せたまま、レオンと対峙する。

「あー、…リツキ、わりぃ。レオンがどうしても退かなくて、…」

よく見ると、レオンの後ろに苦い表情のハセガワがいた。

「俺はアイと将来を固く誓い合った婚約者だ。桐島レオン、覚えているだろう?保育園でお前がさんざん嫌がらせを、…」

「レオちゃんか!」

リツキが思い当たったようで、明るい声を上げた。

「マジか。久しぶりだな。うわー、お前、昔から美少女だったけど、まんまキレイな、…」

「寄るな、本多リツキ!好きモノめ」

リツキがレオンに近づくと、なぜかレオンがひるんだ。

「なんで?俺ら、将来を誓い合ってキスした仲じゃん」

はぁ?

リツキの日本語が理解できねー。

リツキとレオンが将来を誓い合って、…!?

「アイっ、ヤツの戯れ言を真に受けるなよ。こいつは、嫌がらせで俺に付きまとって…!」

レオンが慌てている。心なしか顔が赤らんでいるような気もする。

え。
レオンって、リツキが好きなの??

レオンとリツキを見比べていると、リツキがニヤリと意味深な笑みを浮かべて、ハセガワを呼び、オレを手渡す。
エロリツのせいで、足腰が立たねー。

「レオちゃん。会いたかったよ?俺のハジメテを奪って消えちゃうんだから」

「ひっ、人聞きの悪いことを言うな!あれはお前が無理やり…っ、アイっ!誓って俺はお前だけだ!」

リツキがレオンに迫って、レオンが後退している。

オレとハセガワは完全に蚊帳の外で。

「バレないうちに、戻ろうぜ、アイ」

ハセガワがオレにささやきかけた。

「…だな」

オレって、レオンに遊ばれたのか?

「しっかし、オトコもイケるなんてさすがリツキだな」

…え。

オレの顔色を見て、ハセガワが思わせぶりな笑いを浮かべる。

「どうする、アイ?昨日までの求婚者が今日からはライバルだぜ?」
「てめー、ハセガワっ、…」

え。
でも、リツキって、…え?

「…お前、今日からあんま、リツに近づくなよ」

オレは、オンナノコだけじゃなくて、オトコノコにも気を張らなきゃならないのか?

「…ふ」

めまいがしそうになっているオレをハセガワが笑う。

「こんなの付けて。満ち足りてんじゃん」

オレの胸元のネックレスを軽くつつくと、

「まぁ、お前のためなら、オトコだろうとオンナだろうと、リツキは何でもやるだろうけどな」

ほんの一瞬だけ、声に寂しそうな気配を漂わせて、ハセガワがリツキとレオンに目を向けた。

…リツキがレオンに頬ずりしている。
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