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hage.98
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リツキと離れて、初めてわかった。
会えないって、
何してるかわからないって、
怖いくらい不安になる。
バカみたいに小さいことで、
疑ったり、悲しくなったり、
悪い想像ばかりする。
「リツ、…」
当たり前みたいにずっとそばにいたけど、それは全然当たり前じゃなくて、
「離さないで」
奇跡みたいに、幸せなことだったんだ。
リツキにしがみついた。
夜が明けたら、オレは日本に帰らなきゃならないし、リツキはまだ半年以上イタリアに滞在する。
リツキのキスも、リツキの温もりも、忘れたくないのにどんどん時間に追いやられて、つないだ手も確かな熱も幻みたいに消えてしまう。
リツキとまた、離れるのが怖い。
いつもリツキのそばに。
誰よりも一番近くに。
オレが居たいよ。
「アイ…」
リツキがオレの涙に口づける。
「離すわけないだろ」
押しつぶされそうなほど、強く強く抱きしめられた、リツキの腕の温もりを、忘れたくない。
泣きたくなるほど、優しく優しくオレを抱くリツキの手も、指も、唇も、全部残しておきたい。
リツキと重なりあって、どこまでも溶け合って、もうこのまま一つになれたらいいと思った。
もう離れなくていいように、
いつでもリツキを感じていられるように。
夜の間、オレとリツキはずっと1ミリの隙間もないくらい、お互いのすぐそばにいた。
リツキがオレを内側から優しく揺らして、何度も飛ばされたけど、気づくとそのまま、まだリツキがいて、オレを抱きしめていた。
朝が来なければいいって、初めて思った。
だけど。
夜が明け切る前に、リツキとホテルを後にした。
リツキと離れたら、自分の半分が、なくなったみたいな気がした。
多分オレは、すごく不安な顔をしてたんだと思う。
リツキが、オレの頭を撫でて、
「アイ、後ろ向いて」
オレの首にネックレスを付けた。
ヘッドにパズルのピースみたいなのが付いてて、小さいダイヤが散っている。
裏返すと、Ritsukiって彫ってあった。
オレが振り返ってリツキを見たら、リツキの胸元にも同じものが揺れていた。
「俺のと対になってる」
リツキが自分のをつまんでオレのと合わせるとピースがはまった。
裏のRitsukiとAiがつながる。
う、わ。
リツキのくせに、ロマンチックで言葉が出ない。
かわりになんか、涙が出て、そんなオレをリツキが引き寄せた。
「お前だけだから。もうちょっとだけ、待ってて」
リツキの腕の中で頷くと、リツキがオレの髪を撫でて、ハゲにキスした。
「お前のハゲが全面に広がっても、マジでカッパになっても、お前は俺がもらってやるから」
リツキのバカ。
涙が止まらない。
「…リツ、好きだよ」
つぶやいたオレを、リツキが強く抱きしめた。
「知ってるよ、バーカ」
リツキの声が、切なくかすれていた。
チナツがネックレスをして、幸せそうだったのが、今はよくわかる。
モノより気持ちだって分かってるけど、好きなヤツからもらったモノはやっぱり特別で。
それを身に付けていられたら、心強くなる。
離れている時のさみしさも不安も知ってしまったから、また離れるのはつらいけど、頑張れそうな気がするんだから、オンナノコなんて現金だ。
現金で、バカなオレは、リツキでいっぱいいっぱいで、すっかり忘れていた。
レオンのこと。
オレらの学校の生徒が滞在しているホテル近くでタクシーを降りて、半ばリツキに抱きかかえられながら戻ったオレの前に、
レオンが仁王立ちして待っていた。
会えないって、
何してるかわからないって、
怖いくらい不安になる。
バカみたいに小さいことで、
疑ったり、悲しくなったり、
悪い想像ばかりする。
「リツ、…」
当たり前みたいにずっとそばにいたけど、それは全然当たり前じゃなくて、
「離さないで」
奇跡みたいに、幸せなことだったんだ。
リツキにしがみついた。
夜が明けたら、オレは日本に帰らなきゃならないし、リツキはまだ半年以上イタリアに滞在する。
リツキのキスも、リツキの温もりも、忘れたくないのにどんどん時間に追いやられて、つないだ手も確かな熱も幻みたいに消えてしまう。
リツキとまた、離れるのが怖い。
いつもリツキのそばに。
誰よりも一番近くに。
オレが居たいよ。
「アイ…」
リツキがオレの涙に口づける。
「離すわけないだろ」
押しつぶされそうなほど、強く強く抱きしめられた、リツキの腕の温もりを、忘れたくない。
泣きたくなるほど、優しく優しくオレを抱くリツキの手も、指も、唇も、全部残しておきたい。
リツキと重なりあって、どこまでも溶け合って、もうこのまま一つになれたらいいと思った。
もう離れなくていいように、
いつでもリツキを感じていられるように。
夜の間、オレとリツキはずっと1ミリの隙間もないくらい、お互いのすぐそばにいた。
リツキがオレを内側から優しく揺らして、何度も飛ばされたけど、気づくとそのまま、まだリツキがいて、オレを抱きしめていた。
朝が来なければいいって、初めて思った。
だけど。
夜が明け切る前に、リツキとホテルを後にした。
リツキと離れたら、自分の半分が、なくなったみたいな気がした。
多分オレは、すごく不安な顔をしてたんだと思う。
リツキが、オレの頭を撫でて、
「アイ、後ろ向いて」
オレの首にネックレスを付けた。
ヘッドにパズルのピースみたいなのが付いてて、小さいダイヤが散っている。
裏返すと、Ritsukiって彫ってあった。
オレが振り返ってリツキを見たら、リツキの胸元にも同じものが揺れていた。
「俺のと対になってる」
リツキが自分のをつまんでオレのと合わせるとピースがはまった。
裏のRitsukiとAiがつながる。
う、わ。
リツキのくせに、ロマンチックで言葉が出ない。
かわりになんか、涙が出て、そんなオレをリツキが引き寄せた。
「お前だけだから。もうちょっとだけ、待ってて」
リツキの腕の中で頷くと、リツキがオレの髪を撫でて、ハゲにキスした。
「お前のハゲが全面に広がっても、マジでカッパになっても、お前は俺がもらってやるから」
リツキのバカ。
涙が止まらない。
「…リツ、好きだよ」
つぶやいたオレを、リツキが強く抱きしめた。
「知ってるよ、バーカ」
リツキの声が、切なくかすれていた。
チナツがネックレスをして、幸せそうだったのが、今はよくわかる。
モノより気持ちだって分かってるけど、好きなヤツからもらったモノはやっぱり特別で。
それを身に付けていられたら、心強くなる。
離れている時のさみしさも不安も知ってしまったから、また離れるのはつらいけど、頑張れそうな気がするんだから、オンナノコなんて現金だ。
現金で、バカなオレは、リツキでいっぱいいっぱいで、すっかり忘れていた。
レオンのこと。
オレらの学校の生徒が滞在しているホテル近くでタクシーを降りて、半ばリツキに抱きかかえられながら戻ったオレの前に、
レオンが仁王立ちして待っていた。
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