【完結】乙女ざかりハゲざかり〜爆笑ハイテンションラブコメディ

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「こっ、…これがかの有名なレオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』!!」

ついにイタリア・ミラノにやってきた。
飛行機で12時間、時差8時間。
リツキがいる街。

はるばる飛んできて、思う。
この時差じゃ、電話のタイミングは難しいかもしれねー。
リツキはリツキで、考えていたのかもしれねー。

「はい、じゃあ、次は本多のいるサッカースタジアムに移動するぞ」

担任オギノの声がかかったとたん、心臓が止まりそうになった。

昨日、イタリアに着いて、まずはローマの遺跡を見学して、今日ミラノに移動したんだけど、一歩一歩リツキに近づいていくたびに、心臓が壊れそうになる。

嬉しいのに、会いたいのに、…怖い。
リツキがオレの知ってるリツキじゃなかったら、…

「アイ~、昼食のレストラン、楽しみだね~」

…せっかくのイタリア料理もてんで口に入らねー。

「アイってば、大丈夫だから。ほら、食べなよ、本場のラザ~ニア」
「お、…おぅ」

何を食べても味がわかんねー。
なんか、冷や汗さえ出てくる。
オレはもう終わりなのかも…

「なんで彼氏に会うのにそんな緊張するかね…」

そんなのオレが聞きてーし。
リツキなのに。
ガキん時からずっと一緒にいたリツキなのに。

セリエAの試合が開催されるスタジアムを見学した後、リツキが留学しているスクールに向かった。
せっかくだから、学生交流を図ることになっている。

バスで学校の門をくぐると、学生たちが歓迎してくれたけど、リツキの姿は見当たらなかった。

オレはもう胸が痛くて、腹も痛くて、

「大丈夫か、古町?」

担任にさえ心配される始末だった。

バスを降りて、ホールに移動すると、そこに、リツキがいた。

「リツキっ!」

ハセガワが一目散に駆け寄って、がっちり抱き合っている。

ニシモトの写真通り、少し日に焼けて、精悍になってる気がする。今さら背は伸びてねーかもしれないけど、なんかすらっとした気もする。
ハセガワを見て笑ってる。
笑顔がまぶしくて、目を合わせられねー。

「アイ、行かないの?」

すっかり立ちすくんで、小指一つ動かせずに固まるオレに、チナツがそっと触れるけど、どうにも足が動かねー。

動けない。

リツキが、そこにいる。
オレの目の前に。

視線を感じたのか、リツキが目を上げてこっちを向いた。

と思ったけど、誰かに引っ張られてステージ近くに連れて行かれてしまった。

あ。
あいつだ。
リツキの腕に絡みついてる、ブロンド美人。
ラウラ、っつったか。
足長げーし、細せーし、顔ちっさ!
すげー、写真よりずっときれいで、…リツキと並ぶと妙に似合う。

そういやリツキ、カワシマとか、美人系が好きなんだっけ。
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