【完結】乙女ざかりハゲざかり〜爆笑ハイテンションラブコメディ

remo

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「夫婦の契りはアイの気持ちが追いつくまで待つから、心配しないで」

レオンの長い指がオレの髪をすく。

夫婦の契りとか、ツッコミどころなんだけど、突っ込めねー。
レオンに優しくされると、泣きたくなってくる。

「レオン、…いい匂いがする」

オレがつぶやくと、レオンがオレを柔らかく抱きしめた。

「アイ。俺がいるから。…ずっと、いるから」

レオンの胸の中は、やっぱり泣きたくなってくる。

「…愛だわ!」

2段ベッドの上から雰囲気ぶち壊しの声がする。

「レオン様、素敵。包み込むような無償の愛。ハナはどこまでもレオン様に着いて行きますわ~」

…呼んでねーし。

「ハナさん。おはようございます」

レオンは朝から王子スマイル全開だ。

「お部屋にお邪魔させて頂いてありがとうございます」
「レオン様。アイに飽きたら、いつでもハナがお相手しますわ!」

ハナクソ、ハナイキ荒い。

「アイ。あんた、あんまりバチ当たりなことするんじゃないよ。レオン様を待たせるとかね、もはや神に対する冒とくなのよ」

ハナクソのくせに洗脳されている…

「いいよ、アイ。悩まなくて。俺はずっと、ここにいるから」

レオンがオレの頬を指で撫でる。

「レオン様ったら、全くアイを甘やかして」

上でハナクソがブツブツ言っている。

…離れてるのって、つらいな、リツキ。
何やってるかわからないって、怖いな。

リツキのこと疑いたくないのに、変な想像が消えない。

リツキに言わずにいるうちに、言いにくいことが増える。

オレ。
リツキより先に、レオンとオレのベッドで寝ちゃったんだな。

いつもみたいに、怒ってもいいから、オレを責めに来てよ。

「アイ。起きようか」

レオンに手を引かれてベッドから出る。

リツキ。なんかオレ、自分が怖いよ。



「アイったら~、目が死んでるよぅ。リツキくんがいなくたって、アイには王子がいるんだし、ほらほら、ウサギリンゴあげるから~」

チナツのテンションがおかしい。

「あ、レオン王子も食べます?リンゴ~」

幸せオーラに包まれて、世間がバラ色に見えているらしい。

「あ、美味しいね。チナツちゃん」
「私、こう見えても料理は結構得意なんです」
「見た目通りだよ。チナツちゃんは、いい奥さんになりそうだね」
「いや~ん、王子ったら、奥さんなんて~、もっと言って~」

…目を覚ませ、チナツ。

チナツの首にはハートモチーフのダイア入りネックレスが揺れている。

チナツの彼氏タケダカイトがこそこそしていたのは、チナツの誕生日に手作りネックレスをプレゼントするためだったらしい。
学校の知り合いの家がジュエリーショップを営んでいるとかで、そいつと何やらやってただけで、完全に疑惑は晴れたらしい。
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