【完結】乙女ざかりハゲざかり〜爆笑ハイテンションラブコメディ

remo

文字の大きさ
上 下
88 / 118

hage.88

しおりを挟む
何はともあれ!
2か月後には、リツキに会える!

オレが浮かれて、『会いに行くぜ』メールを送ると、
『待つカッパ』メールが返ってきた。

おい、リツキ、もっと浮かれろよ!
オレはカッパじゃねー。

と思いながらも、ハゲに薬を塗り込むのは欠かせない。
クソ。乙女の行為じゃねー。

でも、まあ。
リツキに会えるなら。

「白雪姫、愛の力であなたを目覚めさせましょう!」

嫌がらせとしか思えない文化祭の白雪姫劇場も乗り越えられるってもんだ。

たとえ王子がレオンで、オレが白雪姫だとしても。

レオンが王子なのはわかるけど、なんでオレが白雪?
どこが白雪?

「アイ~、ほら、キスシーンの練習しよっ」

…全部レオンの陰謀なんだけど。

「お前、イタリア行く前にレオンのことちゃんとしろよ?
リツキが気の毒だろ」

ハセガワに言われるまでもない。

「Oh,白雪!どうしてあなたは白雪なの?お前のすべてを食べてしまいたいっ」

わかってる。
レオンはオレのそばにいるべきじゃない。

「レオン様、ナイスセリフです~っ」

オレはレオンに想ってもらえる価値はない。

「白雪~、ほら、目覚めのキスだよ~」
「ちけーよっ」

こんな風に冗談交じりでいつもそばにいるけど、こんなのレオンもリツキも傷つけるだけだって、…ちゃんとわかってるんだ。

「とは言え、あからさまに避けるわけにもいかないしねぇ。レオン王子、結構、強引だし」

昼休みの中庭。
レオンが仕事で一時会社に戻っている合間のチナツとのランチタイム。
相変わらず、チナツの弁当は格別にうまい。

「アイ、さりげに何度も王子とキスしてるけど、…全然王子には傾かないの?」
「ぐふぁっ」

クソ。超絶美味な卵焼きを吹いてしまった…!

「んもぉ~、動揺し過ぎ~。別に、心変わりしたって責めないよ?」

チナツが優しくハンカチで拭ってくれる。

「してねーよ!?」

慌てて言い募るオレに、

「ああ、うん。えーと、じゃあ、一時の過ち?」

チナツは落ち着いてさやいんげんのピーナツ和えを頬張る。

レオンのことは…

「…過ってねー」

レオンは、団地のオレんちにもあっという間に馴染んで、隙あらばちょっかいをかけてくる。
おかげでオレはしみじみする暇もなく、レオンには感謝してるんだけど…

オレは、リツキのいない寂しさを、レオンで埋めているのか。

「うお~、オレ、最低じゃん!」

思わず絶叫するオレに、

「アイってば、落ち着いて。誰も責めてないから。…リツキくんに置いて行かれて、寂しいんだから仕方ないよ」

達観したようなセリフを吐くチナツ。

「リツキくん、素っ気ないしね。
あの王子に全力で迫られて、ちょっとくらいフラフラしても罰は当たらないっていうかね」

「…チナツ、何かあった?」

チナツの発言に若干トゲを感じて、恐る恐る聞いてみると、

「…カイトくん。なんか、隠してるっぽい。心変わりしてるのかも」

ぎょっとするようなことを言い出した。

お前ら、この前めちゃめちゃラブラブしてなかった?

「…最近ちょっと会えなくて。他校だし、…やっぱりそばにいる人がいいのかな」

おいおい。

肩を落としているチナツになんて声をかけていいかわからないから、頭をなでてみた。

そばに、ね。
なんだか胸がチクチクする。

オレはリツキが今、誰と一緒にいて何をしているんだか、さっぱりわかんねー。
チナツみたいに隠してるっぽいとか、感じることもできねー。

でも。

リツキは心変わりなんか、しねーよな?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ヤマネ姫の幸福論

ふくろう
青春
秋の長野行き中央本線、特急あずさの座席に座る一組の男女。 一見、恋人同士に見えるが、これが最初で最後の二人の旅行になるかもしれない。 彼らは霧ヶ峰高原に、「森の妖精」と呼ばれる小動物の棲み家を訪ね、夢のように楽しい二日間を過ごす。 しかし、運命の時は、刻一刻と迫っていた。 主人公達の恋の行方、霧ヶ峰の生き物のお話に添えて、世界中で愛されてきた好編「幸福論」を交え、お読みいただける方に、少しでも清々しく、優しい気持ちになっていただけますよう、精一杯、書いてます! どうぞ、よろしくお願いいたします!

拝啓、あしながおじさん。 ~令和日本のジュディ・アボットより~

日暮ミミ♪
恋愛
現代の日本。 山梨県のとある児童養護施設に育った中学3年生の相川愛美(あいかわまなみ)は、作家志望の女の子。卒業後は私立高校に進学したいと思っていた。でも、施設の経営状態は厳しく、進学するには施設を出なければならない。 そんな愛美に「進学費用を援助してもいい」と言ってくれる人物が現れる。 園長先生はその人物の名前を教えてくれないけれど、読書家の愛美には何となく自分の状況が『あしながおじさん』のヒロイン・ジュディと重なる。 春になり、横浜にある全寮制の名門女子高に入学した彼女は、自分を進学させてくれた施設の理事を「あしながおじさん」と呼び、その人物に宛てて手紙を出すようになる。 慣れない都会での生活・初めて持つスマートフォン・そして初恋……。 戸惑いながらも親友の牧村さやかや辺唐院珠莉(へんとういんじゅり)と助け合いながら、愛美は寮生活に慣れていく。 そして彼女は、幼い頃からの夢である小説家になるべく動き出すけれど――。 (原作:ジーン・ウェブスター『あしながおじさん』)

榛名の園

ひかり企画
青春
荒れた14歳から17歳位までの、女子少年院経験記など、あたしの自伝小説を書いて見ました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~

kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。

カフェノートで二十二年前の君と出会えた奇跡(早乙女のことを思い出して

なかじまあゆこ
青春
カフェの二階でカフェノートを見つけた早乙女。そのノートに書かれている内容が楽しくて読み続けているとそれは二十二年前のカフェノートだった。 そして、何気なくそのノートに書き込みをしてみると返事がきた。 これってどういうこと? 二十二年前の君と早乙女は古いカフェノートで出会った。 ちょっと不思議で切なく笑える青春コメディです。それと父との物語。内容は違いますがわたしの父への思いも込めて書きました。 どうぞよろしくお願いします(^-^)/

学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。

たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】 『み、見えるの?』 「見えるかと言われると……ギリ見えない……」 『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』  ◆◆◆  仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。  劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。  ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。  後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。  尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。    また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。  尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……    霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。  3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。  愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー! ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

処理中です...